ザ・スミスのシングルEPボックス発売
なんだかんだ言って、洋楽チャート俺部門のベスト1であり続けているザ・スミスのシングルEPボックスセットが、10,000セット限定アイテムとして12月8日に発売されるという。
本ボックスは復刻モノ取り扱いレーベルとして俺の評価が高いRhinoのUKによる企画で、12枚の7インチ・アナログ盤を収録。うち10枚は当時のオリジナル盤を復刻したもので、残り2枚は超レア・アイテム。もともと4thシングルとして発売される予定だった「Still Ill」のDJプロモ用プレス盤と、オランダのみで発売された「The Headmaster Ritual」が今回復刻されるとのこと。
Singles Box [7 inch Analog] / The Smiths
これは果たして買うべきか。音源という側面から言えば不要。全部持っているし、全部歌えるし、ギターも全部弾ける(←ここはジョーク)。ただ、7インチのシングルEPという「モノ」、そして「ジャケ」、という価値はどうか。7インチのシングルEP、そう、俺にとって音楽とは、7インチのシングルEPだった。すべてはここから始まったのだ…。あの時、俺がそんなものに夢中になっていなかったら、きっと今頃は、裁判官か文部科学省の役人にでもなっていた事だろう。ジュリー・デルピーあたりと結婚し2、3人の子供をもうけ、田園調布に家を建てていた事だろう。
そういうイージーな道を選ばなかったのは、すべて7インチのシングルEPのせいだ、そう言い切ってかまわない。
たらればは、もう止そう。
ザ・スミスは言わずもがな、シングルとジャケットが、いい。
「僕たちのシングルに独自の命がある。『ザ・クイーン・イズ・デッド』だけを聴いてもこのグループの事は分からない。僕たちのシングル観を知らなくてはだめなんだ」(ジョニー・マー)
特別企画「ザ・スミス シングル写真館」
<参考文献>
●http://www.passionsjustlikemine.com/smiths-d.htm
●「スミス:モリッシー&マー全曲解説」 ジョニー ローガン
●「ザ・スミス・ストーリー—心に茨を持つ少年」 ミック ミドルズ
●「ザ・スミス ファイル」
Hand In Glove
(May 1983)
写真は、1972年にサンフランシスコのターゲット・スタジオでルー・トーマスが撮ったジョージ・オマラ(マーガレット・ウォルターの1978年の本「The Nude Male」に収録)。バンド名がプリントされているのはUKオリジナル盤のみ。このジャケットは、1984年に12インチ・シングルとしてリリースされた「Still Ill」のドイツ盤でも使われた。
This Charming Man
(October/December 1983)
写真は、ジャン・コクトー原作・監督・脚本の映画『オルフェ』(1949年)のジャン・マレー。
What Difference Does It Make?
(January/April 1984)
このUKオリジナル版のモデルは、1965年の映画『The Collecor』のテレンス・スタンプ。ただし当人の許可を得ていたなかったため、後にモリッシーが同じ構図で同じポーズをとった写真に差し替えられた。
Heaven Knows I'm Miserable Now
(May 1984)
1984年4月にはサンディ・ショウのボーカルでのシングルもリリースしている。写真はShoplifters Of The World Unite Nicholson。彼女の自伝「Spend Spend
Spend」(1977年)から採られた。同書からは、85年4月のシングル「Barbarism
Begins At Home」、88年に切られたCDシングル「Headmaster Ritual」でも使われている。
William, It Was Really Nothing
(August 1984)
1980年から1982年に“A.D.S. speakers”の広告に使われた写真がカバーを飾っている。法的理由から(こういうの多し)、1987年の再発時には、後に、アルバート・フィニーの1967年の映画「チャーリー・バブルズ」のビリー・ホワイトローの画像に差し替わった。さらに、1988年のCDシングルとしての再発時には、1964年の映画「ザ・レザー・ボーイズ」のコリン・キャンベルの画像に差し替わっている。その画像は、それ以前の1986年にリリーされたシングル「Ask」のドイツ盤でも使われていたもの。コレクター泣かせ(喜ばせ?)のザ・スミスであった。
How Soon Is Now
(February 1985)
この曲は「William, It Was Really Nothing」のB面に収録されていたが、好評につき、1984年の秋に「William〜」と色あしらい違いの同画像ジャケで、EEC、オランダ、スペインでA面シングルとしてリリースされた。これは翌年2月にUK、アメリカで改めてシングルとしてリリーされた盤のジャケ。画像は1958年の映画「Dunkirk」のSean Barrett。アメリカ盤12インチには、1984年にグラストンベリーで撮られたメンバー写真がジャケを飾っている。
Shakespeare's Sister
(March 1985)
写真は、1960年から現在まで続くイギリスの長寿ソープ・オペラ「Coronation Street」のPat Phoenix。
Barbarism Begins At Home
(April 1985)
「Heaven Knows I'm Miserable Now」でも使われていた「Spend Spend Spend」(1977年)から採られたViv Nicholsonの別画像。
The Headmaster Ritual
(early summer 1985)
これは12インチ盤のジャケットで、ロデオ服の若い少年は、1965年の映画「The
Uncle」から採られたロバート・ダンカン。7インチ盤は、赤地にタイポグラフィをあしらったものだが超レア・アイテムとなっている。1988年のCDシングル化の際には、「Spend Spend Spend」(1977年)から採られたViv Nicholsonのまた別の画像が使われている。
That Joke Isn't Funny Anymore
(July 1985)
ウクライナのJulia Solntsevaの映画「The Enchanted Desna」(1965年)より。フランス盤は色の処理が若干異なっている。
The Boy With The Thorn In His Side
(September 1985)
Cecil Beatonが1949年に撮影したトルーマン・カポーティ。カナダ盤はバンド名が黒になっている。
Bigmouth Strikes Again
(May 1986)
1948年にNelva Jean Thomasが撮ったジェームズ・ディーン。バンド名が「Smiths」だけなのは、本作と「Panicの2枚のみ。
Panic
(July/September 1986)
1967年のイギリスのテレビ番組「Man In A Suitcase」のスター、Richard Bradford(て誰だよ)。
Some Girls Are Bigger Than Others
(Autumn 1986)
写真はYootha Joyce。「Ask」 と同様で色のあしらい違い。7インチと12インチではわずかにタイポグラフィーが異なる。
Ask
(October 1986)
1965年の映画「Catch Us If You Can」(アメリカでは「Having A Wild Weekend」として知られる)のYootha Joyce。ドイツ盤とオーストラリア盤以外はすべて共通の画像だが、色のあしらいとバンド名の色が各国盤で全て異なる。ドイツ盤は1963年の映画「The
Leather Boys」のColin Campbell で、同画像は、1988年のCDシングル「Headmaster Ritual」でも使われている。オーストラリア盤は、1986年のツアー・ポスターの前に立つモリッシーの画像。
Shoplifters Of The World Unite
(January 1987)
1955年のエルヴィス・プレスリー。彼のヘアドレッサーが撮影したエルヴィス最初のプレスショット。ついにミュージシャンの画像をジャケにしちゃうつけ。エルヴィスのレコードだと思ってしまうが、ある意味エルヴィスのレコードなのでOKだ。
There Is A Light That Never Goes Out
(January 1987)
アイス・キャンディーを食らう少年。この写真のポスターは、1986年の「The Queen Is Dead」ツアーでも売られていた。
Sheila Take A Bow
(April 1987)
映画「Women In Revolt」(1971年)のCandy Darling。Candy Darlingは、James Lawrence Slatteryと言う名のドラッグ・クイーン。
Girlfriend In A Coma
(August 1987)
画像は、「A Taste Of Honey」の1961年版から採られた劇作家Shelagh Delaney。アルバム「Louder Than Bombs」でも使われた。
I Started Something I Couldn't Finish
(6 November 1987)
Bill Naughtonの芝居「All in Good Time」(1963年)を基としたイギリスのコメディ映画「The Family Way」 (1966年)のAvril Angers。
Stop Me If You Think You've Heard This One Before
(November 1987)
「The Family Way」(1966年)のMurray Head。例によって各国盤で色違い。
Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me
(11 December 1987)
写真は、50年代後半から60年代前半に活躍したイギリスのポップシンガー、Billy
Fury。
by ichiro_ishikawa | 2008-11-03 02:41 | 音楽 | Comments(1)