ロック本3冊



出版不況が最早常態と化している昨今、出版でしかなし得ないものはやはり文学であろう。情報はPCやケータイでゲットンすれば事足りるが文学ばかりはそうはいかない。そんな思いを改めて痛感させられる良書が、今夏、一気に上梓された。


ドナルド・キーン「日本人の戦争 作家の日記を読む」

c0005419_4504568.jpg1941年12月12日の永井荷風の日記「開戦布告と共に街上電車飲食店其他到るところに掲示せられしポスタを見るに「屠(ほふ)れ英米我等の敵だ。進め一億火の玉だ」とあり。現代の人の作文には何だの彼だのと駄の字をつけて調子を取る癖あり。駄句駄字と謂ふべし」。などといった文士ならではの知性とユーモアが戦時という異常事態の中で炸裂する。



磯崎 憲一郎「終の住処」

c0005419_4534753.jpg「思春期の頃にロックを聴かなかったやつは人間としてだめだ」とまで言い切る作家、保坂和志は、「文學界」9月号での磯崎との対談で、本書を「百一行目がだめなら百行全部がだめになるほどのテンションを持った小説」と見抜いている。磯崎も同対談で忌野清志郎に触れて「「へっちゃら」というのはやっぱり思春期にロックを聴くことによって養われる大事なことなのかなとは思います」と言い放つ。


カズオ・イシグロ「夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」

c0005419_4533262.jpg「日の名残」の著者が、元共産国で育った流しのギタリストが、今は落ちぶれたアメリカのベテラン大物シンガーと出会う(「老歌手」)、という設定の物語を書く、というだけで、これはヤバい。


by ichiro_ishikawa | 2009-08-16 05:19 | 文学 | Comments(3)  

Commented by でぶやせ at 2009-08-17 00:47 x
めずらしく、ちゃんと3冊だ!
Commented by 当人 at 2009-08-18 16:58 x
それ気付けるのは相当の俺マニア
Commented by 朱に交われば修羅種種種 at 2009-08-22 22:50 x
マニアだなんて・・・。
単なる普通の人々です。

なんつって。
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