欧州旅雑記


9月の連休に各種休暇をつなぎ合わせて長期休暇を設定し欧州を回った。
人並みに携帯電話で写真を数枚撮ったし、そこそこの土産話もあるのだが、誰にも「見せて、聞かせて」と頼まれず、かといって自分から積極的に述べるのもなんなので、旅の手帖にいろいろ認めることで完了していたが、日々のヒマに任せ、時間が空いたがここに記しておくことにする。

時期は世間的な大型連休かつ出発1週間前の決断だったため、欧州行きのチケットはすでに売り切れ。キャンセル待ちもなし。「もはやヨーロッパだったらどこでもいいし、どんな航空会社でもいいからくれ」、と旅行会社に懇願して、なんとか「往路=香港経由・アムステルダム行き/復路=アムス発、香港・台北経由・成田行き」というのを確保できた。
ヨーロッパは鉄道の交通網が発達しているし、EU圏内なら各国の行き来がイージーなのでアムスで良かった。ただ、ただでさえ奴隷船のように12間以上狭いところに縛り付けられ続けた上に、「うぜえ待ち」が必ずつきまとうトランジットあり、というのは苦しかったが、出だしが遅れた自分が悪い、取れただけマシ、とてめえを論理的に誤摩化し、「とりあえずそれで」とチケットを入手した。

アムスに着いたのは午前5時。空港から町に出て、目ぼしいホテルを探しだしたが、「部屋はあるが12時まで空かない」というので、スーツケースだけ預かってもらい、早速町徘徊。何度か来ているので、アムスには運河とドラッグしか見るべきものはない事は知っている。ぶらぶらと町を散歩し、月並みにゴッホ美術館に入り、ミュージアム公園のベンチにたたずむ。それでもまだまだ午前中。再びアムスの町を隅々までぐるぐるまわってやっと12時になり、ホテルに戻ると、「先客が寝坊したから14時まで待て」という。パンをかじりながら、さらに町をぐるぐる回り続け、チェックインするまでに観光を終了した。

アムスは陽気が良く陽光輝く運河沿いの町並みが奇麗で穏やかなので好きだが、ドラッグ&セックスに溢れすぎていて40近くなった身にはきつい。
また、オランダ人は背が高過ぎる。男子の平均身長が185cmというからやばい。女性も175cm。若者などは2mもざらにいて、しかもきゃつらはぴょんぴょん飛び跳ねながら歩いているのですれ違うたびに何かあぶねえし、人が多いところなどはあたかも高層ビルが林立しているようで閉所恐怖症の黄色い猿には居心地が悪いのだった。
中には大人しくじっと座って、常に微笑をたたえている輩もたくさんいるのだが、それはラリっているのだった。

というわけで、アムスへ着くや否や、翌日にはタリスという高速鉄道による移動でパリに拠点を移し、鉄道でいろいろ各国各都市を回ることにした。

パリの人々はちっちゃくてぼそぼそ喋るし静かだから好きだ。町並みもすげえし、パンがうめえ。ラ・セーヌもいわずもがなすげえ。エッフェル塔もシャンゼリゼも凱旋門も行かず、たいていカルチェ・ラタン界隈を徘徊するに留まった。カルチェ・ラタンは素朴で落ち着く。派手でにぎやかなところより、重厚で穏やかで静かな場所が好きだ。あとは、モンマルトル。モンマルトルは夜がすげえ。だがやはりパリにはロックがないので、ロンドンに飛ばざるを得なくなるのだった。ロンドンは今でもやはりロックの感はあった。ただ、「またそのルートかよ」とてめえの突っ込みも聞こえたところで、ロンドンには留まらず、今回はベルギーを中心視した。アントワープとブルージュとブリュッセル。いずれも静かでよろしい。
なんか閑静ばかりを求めているようだが、まあそうだ。

今回は、とにかくずっと移動していた。それはいろいろなところを回りたかったからではなく、留まっていてもやる事が何もないからだった。ヒマはおそろしい。だから、朝早く起きて移動してホテルをとったら町を徘徊し、夜はその町に泊まり、翌朝また早く起きて移動して…という形だ。
なんだかせわしないな、と一見思えるが、実はこれでもスローな流れなのだった。なんなら、途中もう一都市行けるぐらいだ。ただ移動しているだけの旅。

今回の大きなポイントは一人旅ということだった。20代半ばまでは旅と言えば一人旅と相場が決まっていたが、「30代以降の一人旅はきつい」という事は、2001年に身を持って経験済み。以来、一人旅はした事が無かったが、今回は同伴してくれる人間がおらず、かといって激レア長期休暇が取れたのに「今ヨーロッパに行かねばもう行けない」という強迫観念からの断行だったわけだ。
とはいえ、行ったら行ったでやる事が無い。レストランに入りづらい。基本、カフェエでコーヒー飲みながら煙草を吸うという、ただそれだけの毎日。たまに趣向を変えてワインやスピリッツを飲むと、欧州モノは度がきついのか、速攻ドタマが痛み出し、持ち出したバファリンを服用、念のためストッパーも、という有り様。
また、金の節約と、かりそめの友人が出来るやもという淡い期待からドミトリーという相部屋のホステルに泊まるも、誰にも話しかけられず。目が合ったら挨拶〜世間話という展開に持ち込もうと思っても、相手、目を合わさず。間違って合おうものなら、そそくさと逸らされる。これは、おそらく、避けられている。こんなベッドしかねえトイレシャワー共同の6人部屋に泊まっているのは大抵ヨーロッパからのバッグパッカーの若者、推定10代で、この俺、ひげに白髪が混じった38のオッサン。いい年してユースホステルなんかに泊まるなよ的な、悲壮感が確実に出ていた。俺自身、20代前半の時は、オッサンには近づかなかったのを思い出す。

やはり、オッサンの旅とは、妻や愛人とともにビジネスクラスで飛び、陸移動は一等車かタクシー、ホテルはトイレシャワー付き、なのだろうな。
旅行って楽しくないんだな。
いや旅行に限らず、日々の生活が別に楽しくないから、旅行が取り立てて楽しくないというわけではないな。
では、どう生きようか。車の免許でもとれば少しはやる事出てくるか。
でも車を置くところが無いからな。まあ車買う金も免許代も無いしな。
生きるとは、起きて食って排便して寝てという循環に過ぎないが、人間はそれだけだと退屈すぎで気が狂うので、その合間合間に何かをせずにはいられない。
とはいえ、何をしたらいいか、まだ分からない。

なんか記した意味なかったな。

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みんなヒマでヒマでしょうがない。

by ichiro_ishikawa | 2009-10-18 22:42 | 日々の泡 | Comments(2)  

Commented by ミスターひま at 2009-10-19 02:45 x
でもこれを読んでいる時は暇じゃなかったな。まあ暇だから読んだんだけど。



おい、じゃあ早く始めろよ。
Commented by he get at 2009-10-19 09:10 x
おかえりなさい。
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