ハードボイルド短編「ミッドナイト・ギャンブラー」


 晩酌を覚えた。あれはいい。小林秀雄や池田晶子は毎日晩酌をやっていたというので、機会があったらやってみたいと思っていたら機会があったので始めた。酒は当然の助動詞、バーボンだ。バーボンといえば宮下あきら、宮下あきらの最高傑作といえば「激!極虎一家」(1981~83)だ。ちなみに学帽政は俺だ。銘柄はジャック・ダニエルズだ。テネシー・ウィスキーだ。アメリカ南部産だ。輸入元のサントリー的にはジャック・ダニエルだが俺は原語通りにジャック・ダニエルズと呼ぶ。インディ・ジョーンズもインディアナ・ジョーンズだ。 
 晩酌とはいえ飲るのは寝るまさに直前だ。ストレートでグイッと飲むと、10秒後ぐらいに頭がぐるんぐるん回ってくるからそのスキに寝ちまう。頭が痛くなるヒマを与えないって言う寸法だ。たまに2時間後ぐらいに激烈な頭痛で目覚めるが、そういうときは、以前俺が開発し特許申請中のヘッドギアを装着し、念のためバファリンで鎮静させ、さらに安眠剤「グ・スリーP」を投与する。「グ・」がいい。あたかもそういう定冠詞が普通に存在するかのように何食わぬ顔で「グ・」と言ってるところが気に入ってマツモトキヨシで買った。陳列はしておらず、店員との信頼関係のみで手に入る6錠で2000円弱という上等のハードドラッグだ。
 だが、そのジャック・ダニエルズが良い方に効き、そのまま普段よりすやすやと熟睡できるときもある。ジャック・ダニエルズは極端な酒なのだ。そこが俺に合っている。俺はオール・オア・ナッシングな男なので、毎晩、激烈な痛みか、安眠かの、一か八かに賭けている。切なさが殺せない晩秋というこの季節、緊張感のある丑三つ時というのも悪くない。

by ichiro_ishikawa | 2009-11-18 17:06 | 日々の泡 | Comments(2)  

Commented by ラ・ポンセ at 2009-11-20 20:12 x
水で割ったほうがいいよっ!
Commented by ichiro_ishikawa at 2009-11-21 00:37
割ることにします。
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