エセー「キッチンと俺」


 俺の家にはキッチンと居間と書斎があるが、起きているとき、最もどこにいる時間が長いか。
 このブログをよく読んでいる人なら、書斎と思うだろうが、違う、かといって居間でもなく、実はキッチンだ。
 というとイージーな輩は、料理に目覚めたか?などと思いそうだが、今さらそんなものに目覚めねえ。ではなぜキッチンに居続けているかというと、煙草を吸う為だ。我が家は賃貸なので居間や書斎で煙草を吸うと壁が汚れ、出て行くときに張り替え料として30万円取られるから、そこでは吸えないのだ。かといってベランダはさみい。そんなわけで、自ずと換気扇のあるキッチンに行くことになる。だが、キッチンは本来料理をするところなので、料理しやすい様な作りになっており、そこでは、ただ煙草を吸う、という行為しか出来ない。しかも、煙草を持つ手を常に換気扇に掲げ、かつ、煙を吐き出す時も口を上に向けて、と不自由極まりない。煙草を吸うのはリラックスする為なのはずだ。これでは所期の目的に適っていない。
 そこで、キッチンに脚の長いリクライニングチェアと高い小テーブルを配置し、塩こしょうなどの小物入れにはライターと煙草を収納し、水とジャックダニエルズとヴァンを並べ、そこで煙草を吸いながら読書や書き物が出来る様にした。つまりキッチンを書斎風にあしらった。幸いなのか不幸なのか、我が家には冷蔵庫やレンジという根幹たるキッチングッズがないため、そういうスペースを確保する事が出来た。逆境を勝負所として認識し、新しい試みをこなしていく俺の技術が発揮されたというわけだ。

by ichiro_ishikawa | 2009-12-20 00:23 | 日々の泡 | Comments(0)  

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