エセー「運を支配する」


 俺がいま運を支配している事は、支配されている運、当人が一番思いもよらないだろう。

 運を支配するとは、運気を呼び寄せる事ではない。そんな事は誰にも出来ない。いま運が向いているか、向いていないかをじっと見極める事だ。向いているならガンガン攻める。向いていないなら、静観する。退陣ではない。ジタバタしてもいけない。向いていないまさにその時、いかに向いていないか局面をしかと見つめていなければならない。これはしんどい。だが、その観察の努力こそが、女神を微笑ませる唯一の手段だ。

 的な事を、ある賭博者が言っていて、なるへそ、さもありなん、とひとりごちた。
 いま俺は、かなり静観している。
 今日は、回転寿しで、隣りに座り合わせた孤独なキャリアウーマンが、シメに玉子のツマミを注文するも、箸使いが覚束ず、下に落とした。すべてを静観していた俺と目が合うと、キャリアはニコリと微笑み、「おあいそ」といって、颯爽と回転を後にした。
 その後、ドトールで一服していると、ただ生きているだけのオッサンがコーヒーをテーブルに置くときの手が覚束ず、俺の目の前で、派手にこぼした。テーブルと床をふき終わると、ただ生きているだけのオッサンは、そのまま店を出た。コーヒーをひっくり返しにきただけだ。一部始終を静観していた俺は、それ何やってんの、と、その後ろ姿に心で投げかけた。
 静観していると、世界ではいろいろな事件が続発していることに気づかされる。

by ichiro_ishikawa | 2010-03-10 00:50 | 日々の泡 | Comments(0)  

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