報告「聲のライブラリー」


第62回 聲のライブラリー
(文=Haru Sumiya/文責=ロックンロール・ブック2)


 日 時 2010年9月11日(土) 2:00~4:00
 会 場 日本近代文学館
 出席者 永田和宏(歌人・細胞生物学者)
     野谷文昭(ラテンアメリカ文学研究者、翻訳家)
     稲葉真弓(作家・詩人)
 司 会 樋口 覚


 永田先生は、「今日は妻(河野裕子)の歌を朗読します」と、歌、エッセイを20分間朗読。
 短歌の朗読は、初めて。「短歌は、朗々と節つけるのは何か恥ずかしいな。だから浪々と節はつけず、自然に読みたい」。
 途中で、何度も声を詰まらせながら、泣きながら読まれました。歌人、短歌はこんなにも、裸の自分を見せることなのかと改めて気がつかされる時間でした。
「永田さんと出会ってなかったら、私はね、もう若い時に死んでいたのよ」と2ヶ月前に河野先生から聞いた言葉をまた思い出しました。

 「私が死んだらあなたは風呂で溺死する」そうだろう酒に溺れて
 白梅はあちらこちらと見えながら病後のひとの歩幅はかなし
 君よりもわれに不安の深きこと言うべくもなく二年がこえる


 以下は死の前日に河野先生が詠われた歌。河野先生が口で話したことを永田先生が原稿用紙にうつしたのだそうです。

 あなたらの気持ちがこんなにわかるのに言ひのこすことの何ぞ少なき
 手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が


 朗読のあと、座談会。学問の根底、学ぶことの根底が「愛」なんだということに気がつかせてもらいました。
 以下、永田先生の言葉。

「一人の人間のなかにある遺伝子を全て伸ばせば、地球と太陽を往復できるくらいの長さ。一人ですよ!! 人間みんなが太陽と地球を往復できちゃうような距離と同じ長さを遺伝子を持っているんです。すごいでしょ。それ知ってたらなあ、殺人も自殺もいじめも起きないちゃうんかなあって思うんですよ。これは子どもたちに一番教えてあげたいこと。」

「昔、藤原俊成の『古来風体抄』読んで感動したことがあって。俊成はね、日本人が桜を美しいというのは、桜そのものを愛でているのではなくて、桜を詠った歌を日本人が蓄積しているから桜を美しいというと書いてるんです。なるほどと思いましたね、これを読んだとき何だか新しく見えてくることがありましたね。」

by ichiro_ishikawa | 2010-09-12 16:38 | 文学 | Comments(0)  

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