フランス語と俺

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 マイルズ・デイヴィスの『イン・ヨーロッパ』(1963年、仏アンティーブ・ジャズ・フェス)をここ数週間、在宅時はエンドレスで流し続けているが、冒頭にアンドレ・フランシスによるメンバー紹介が入る。そのフランス語の響きが素晴らしく、思わず復唱なんかしている次第だ。以下、聞こえるままカナに訳す。

クワンッテッド・マイルス・デイヴィース
アヴェク・ロジョーンノ。
トニ・ウィリアームス・アラバトリ。
ミラビッセッピョン。
アヴェッ、コン・カッフェエ、アラ・コントラバース。コン・カッフェエ。
アヴェッ、エル・ビヤンコック、オ・ピアノ
ジョールジュ・コルマーン、オ・サックスフォン・テノオ
エン、マイルス・デイヴィス

 何度が復唱しているうちに、意味が知りたくなってくる。ただ意味と言っても、人名で何となく察しがつく。上記、青くした部分が一聴して分かったものだ。そこからの連想で何となく判明していった過程を、以下に記す。

 最初に「マイルス・デイヴィース」と言うから、その前の「クワンッテッド」は五人編成を意味する「クインテット」、マイルズ・デイヴィス・クインテットのメンバー紹介が始まるのだろう。

 次につぶやかれる「アヴェク・ロジョーンノ」はちょっと分からないが、「トニ・ウィリアームス」はドラマーだから、「アラバトリ」はドラムという意味だろう。「アラバトリ」は「a la ba drums」か? 「a la ba」がなんだか分からないが、「drums」はトリと発音するのか。「ドリ」と言っているのかもしれない。

 続く「ミラビッセッピョン」は、不明。

 次の「アヴェッ」は日本語にもなっているアベックで、英語のwithだろう。「コン・カッフェエ」はよく分からぬが続いて「アラ・コントラバース」と言うので(アラってなんだよ)、ベーシスト名だろう。コン・カッフェエって誰だ?

 そして、「アヴェッ、エル・ビヤンコッ、オ・ピアノ」。ピアニストだ。エル・ビヤンコッって誰だ?。ビヤンコ? カリブ系か? 「ピアノ」の前に言っている「オ」は冠詞か? フランス語の冠詞っていっぱいあるからな。スペルを知りたい。

 最後は分かりやすい。「ジョールジュ・コルマーン・サックスフォン・テノオ」。ジョージ・コールマン・サックスフォン・テナーだろう。微妙な発音とアクセントが全く異なるだけだ。「エン、マイルス・デイヴィス」は、アンド・マイルズ・デイヴィスだ。「エン」は「et」で「and」か?

 さて、問題は下線部、ベーシストとピアニストだ。コン・カッフェエ? エル・ビヤンコッ?
 マイルズの60年代の編成を思い出してみると、ベースは、ロン・カーターでピアノはハービー・ハンコックなのだった。
 ロン・カーターがコン・カッフェエ。ロン「Ron」の「R」は、絡んだ痰を吐くようなあの発音なので「コン」と聞こえたのだ。しかし「カッフェエ」は何だ?「Carter」の「ter」が「フェエ」となるのは解せない。もしや「Carfer」と誤認していたのか?
 ハービー・ハンコックの「エル・ビヤンコッ」は、完璧に区切り間違いだった。フランス語は「H」を発音しないので、「Herbie」は、「エルビ」となり、「Hancock」は「アンコッ」。続けて言うと「エルビヤンコッ」と見事なるではないか。この最後の発見は、眼から鱗。俺の中で「ビアンコ」の印象が強すぎたため、「エル」もある事だしと、勝手にラテン系と判断していた。

by ichiro_ishikawa | 2011-08-13 15:23 | 日々の泡 | Comments(0)  

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