ニューオーリーンズにて

 ニューオーリーンズといえば、ジャズ発祥の地にして、サッチモことルイ・アームストロングの生誕地というのは、音楽の試験でもよく問われるので有名だし、ちょっとした音楽ファンならニューオーリンズ風ピアノといった言葉を耳にする機会も多いことだろう。
 もとは自分もその程度の知識だったのだけれど、バンバンバザールのライブでよくピアノを引いていたヤンシーは、ニューオーリーンズ・ピアノの名手で、1999年頃のライブでの「ニューオーリーンズ・ピアノを弾かせたら日本一……ギャラの安い男!」というボーカル&司会進行の福島康之の名紹介がずっと頭に残っていた。ウキウキするような弾んだ、荒々しいリズムという漠としたとらえ方でこと足りており、殊更、注意をするわけでもなく時は過ぎた。
 その後、やはりバンバンバザールの現ベーシストの黒川修氏にベースを教わる機会があって(『バンバンマガザン』創刊号/2004年8月発売に記事掲載)、宅にお邪魔した際、ミーターズの面々を紹介してもらい度胆を抜かれた。その時は、ミーターズの面々のツラとサウンドをメモライズしただけで、ニューオーリーンズという言葉は特に意識していなかった。
 さらに時が経ち、てめえの中で大滝詠一リヴァイヴァルが起こったのが決定打だったのやもしれぬ。例の『ナイアガラ・ムーン』をヘビー・ローテーションで聴きまくっていた時、ニューオーリーンズという言葉がグワッと立ち現れてくるのを認めた。「福生ストラット」「ロックンロール・マーチ」といったニューオーリーンズ・ナンバーのあの独特のグルーヴ感といったらない。林立男のドラミング。あれはコンピュータープログラミングでは出せない、生のグルーヴが充溢している。
 一方、アメリカン・ルーツ・ミュージックを繙く際に、参考書等において常に、例外的扱いとしてニューオーリーンズが出てくることに気が付いた。
 あそこは元フランス領ということ、比較的黒人と白人の交流が盛んだったこと、混血のクレオール文化というものが育っていたこと、などアメリカ南部において独特の発展を遂げたという歴史がある。
 そんなニューオーリーンズ・ミュージックを支えているのが、あの独特なリズムで、それはセカンド・ラインと呼ばれる。葬式などで本体(ファーストライン)について、ブラスバンドなどで独特のシンコペーションしたリズムを刻んでいくというのが、そのリズムの発祥らしいのだが、葬式でこの明るい音楽がと思うと、死者を弔うということに対する民族性の違いというものをまざまざと感じ入る。
 ニューオーリーンズ・ミュージック界では、まず、長髪教授ことプロフェッサー・ロングヘアという人がいて、デイヴ・バーソロミュー&ファッツ・ドミノ、アラン・トゥーサン、ミーターズ/ネヴィル・ブラザーズ、ドクター・ジョンと、リストは連綿と続く。

 以下、ニューオーリーンズ・サウンド爆発、ベスト5

c0005419_22525031.jpgProffesor Longhair
『New Orleans Piano』
はじめにブロフェッサー・ロングヘアありき。セカンド・ライン・ビート、R&B、ブギウギはもちろんマンボにルンバ、カリプソなどの南国・島国音楽がグワッとブレンド。嫌が応にも陽気にダンスせざるをえない


c0005419_2253126.jpgFats Domino
『20 Greatest Hits』
エルヴィス“キング”プレスリーと並ぶロックンロール・オリジネイター。ニューオーリーンズR&B、ジャンプサウンドの名曲がズラリ。


c0005419_22534262.jpgDave Bartholomew
『The Chronological Dave Bartholomew』
50年代ニューオーリンズ・サウンドの最重要人物デイヴ・バーソロミュー。ファッツ・ドミノを陰で支えたプロデューサー。バーソロミュー、名前がいい。


c0005419_233658.jpgThe Meters
『Funkify Your Life: Anthology』
ニューオーリーンズ・セカンド・ライン・ファンクの帝王、ザ・ミーターズ! 独特の間(ま)は、独特の腰使いを要求してくる。ドラムとベース、すげえいい!


c0005419_2255292.jpgAllen Toussaint
『The Allen Toussaint Collection』
Dave Bartholomew
ニューオーリンズ界の敏腕プロデューサー、アラン・トゥーサン。洗練されたエクセレントなニューオーリーンズ・サウンドが気持ちいい。バックはミーターズ! 75年作品

c0005419_22551556.jpgDr. John
『Dr. John's Gumbo』
ニューオーリンズ・サウンドの親善大使ドクター・ジョン。映画『ラスト・ワルツ』でもお馴染み。ニューオーリーンズを知りたいならまずこれだ。72年作品


c0005419_22553589.jpgNeville Brothers
『Yellow Moon』
ミーターズで活躍したアート、シリルに、アーロン、チャールズの4兄弟を中心に77年に結成されたネヴィル・ブラザーズ。カリブ〜アフロまで取り込んだリズムがいい。プロデュースはU2でお馴染みダニエル・ラノア。

c0005419_22555212.jpgGalactic
『Coolin' Off』
天才ドラマー、スタントン・ムーア率いる今のバンド、ギャラクテイックの1st。98年作品。



c0005419_22561267.gifバンバンバザール
『リサイクル』
世紀の楽団バンバンバザールの記念すべき1st。名曲「ニューオリンズにて」収録。94年作品。 ニューオーリーンズ・サウンドというわけではないが、ニューオーリーンズのウキウキ感は行間に横溢。プロデューサーは吾妻光良!

by ichiro_ishikawa | 2005-06-04 00:01 | 音楽 | Comments(4)  

Commented by BECK at 2005-06-04 04:06 x
今回の記事はいい!
Commented by 龍村上 at 2005-06-04 13:40 x
5枚超えてるよ! って突っ込ませるという魂胆か。
今回の記事はいい! 
Commented by Terry KATO at 2005-06-10 04:40 x
すばらしい、リコメンデーションリストですね。
ハリー&マック(細野春臣と久保田麻琴)は、聴かれたことありますか?
ちょっと、今月は予算が無くて、聴くとしたら、お茶の水ジャニスで借りてくるしか方法がないですが、出来るだけ、未聴のものは聴いてみます。
Commented by saiki_0 at 2005-12-08 11:42
どーもー、初めまして。凄い勉強になるblogで楽しいですね!
60’s 前半のROCKは好きですか?
実はHOLLIESなどをカバーでやってるバンドでして、
よかったら遊びに来て下さいね。という宣伝でした。
ではではー。
http://secrets4.exblog.jp/
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