連載 小林秀雄が考えるように考える 1


「本居宣長」に、「死者は去るのではない。還って来ないのだ」 という言葉がある。
平易だがよくよく考えると難解な言葉だ。
去ると還らないは結果、同義ではないか。何だか煙に巻かれたようだ。

この、結果、を持ち出すのが我々の悪い癖である。
結果を求める。

去る、と還って来ない、は全く違う。

どう違うか。

全体の中でワンフレーズを切り取って考えてみてもしょうがないのだが、
小林秀雄は全編サビでできた散文詩なので、切り取ってもよい。

とはいえ、続きを見てみる。

「死者は去るのではない。還って来ないのだ。と言うのは、死者は、生者に烈しい悲しみを遺さなければ、この世を去る事が出来ない、という意味だ。それは、死という言葉と一緒に生れて来たと言ってもよいほど、この上なく尋常な死の意味である。」

つまり、これは
美しい花がある、花の美しさ、というようなものはない。と同じことを言っているのではないか。



by ichiro_ishikawa | 2016-04-12 21:08 | 文学 | Comments(0)  

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