選択肢が複数あることの不快

There were bells on a hill

これは、

丘の上に鐘があつた

であらう。
中学英文法でまかなへる。

しかし、この
there is(are)〜
は、
〜がある、いる
と訳すが、
英語だと語順が、
there、が先に来てゐるわけで、
そのとき、聴くものはどういふ理解なのであらう。

日本語であれば、
丘、の、上、に、鐘、が、あつ、た
と時系列で理解できる。
英語の時系列を追うと、まづ
thereの段階で想起されるものは何だらう。
「そこへ」「そこで」
といふ可能性もあるだらう。
あるいはthere is構文が来ることを想定してゐるとして、かつ、次に来るbe動詞はまだわからないし、
そのbe動詞の後にくるのがどういふ名詞かも分からず、
しかもその名詞は物か人か、単数か複数かも分からないわけだから、
つまり「there」の段階では
「そこへ」「そこで」「(〜がある)」「(〜があつた)」「(〜がいる)」「(〜がいた)」
といふ様々な想念が去来してゐなくてはおかしい。
日本語だとこんなことは起こらない。
丘、と来たら丘を想定する。「丘が」なのか「丘は」なのか、などは次の助詞待ちなわけで、丘の時点では問題はない。丘と来たら丘だ。
英語のこの手のことばは一体どういふ自体なのか。

it's rainy
雨だ

など、「訳さないit」と学校で教わるものもある。
概念がないから言葉もなく訳語がないといふなら分かるが、では、日本語にはないとしても英語の人はitの段階で何を想起してゐるのか、といふ問題は残る。

問題は同じことなのでthereに戻る。
「there」の段階で
「そこへ」「そこで」「(〜がある)」「(〜があつた)」「(〜がいる)」「(〜がいた)」
が去来しながら、次に
「were」と来たところで、
「(〜)があつた」「(〜)がいた」に絞られる。
それでもまだ二択だ。選択肢が複数あること自体、解せないのだつた。
英語人は、いようが、あらうが、どうでもよく、
つまり人も物も、「存在する」的にひとまとめにしていると言へる。
だから「there were」と来たら、訳語として不自然としても、「存在した」といふ想念が去来している、といふこだ。

で次に、「bells」と来るので
「鐘」がとひとまづ落ち着く。
「鐘があつた」と。
厳密にはこれは逆に日本語には無いが「複数の鐘」といふことも確定してゐる。その前のwereの時点で複数の何らかである事は想定されていた。

ここまでをまとめると、

「there」
「そこへ」「そこで」「(〜がある)」「(〜があつた)」「(〜がいる)」「(〜がいた)」
※カッコは確定できないモヤモヤ
「were」
「(複数の〜)があつた」「(複数の〜)がいた」
「bells」
「(複数の)鐘」

全体で、「(複数の)鐘があつた」
となる。
全体でコンマ何秒だし、もしかすると
there wereを一語扱ひにして考へてゐるのやもしれぬが、単語レベルではそれぞれ独立してゐる以上(実際「そこへ」といふ副詞として単独で意味を完結させる場合だつてある)、
there wereであつても、thereの時点で何らかの判断を下してゐなくてはおかしい。といふか気持ち悪い。

on a hill
は、
on
(〜の)上に
a
ひとつの

hill


と、onは前置詞といふだけあつて次に名詞がくることを想定して「(〜の)上に」と、待ち構える姿勢が気持ち悪いが、thereほどひどくないからまあよしとする。

全体を時系列に沿つて、
聴くものが想定する意味を書くと、

「there」
「そこへ」「そこで」「(〜がある)」「(〜があつた)」「(〜がいる)」「(〜がいた)」
※カッコは確定できないモヤモヤ

「were」
「(複数の〜)があつた」「(複数の〜)がいた」

「bells」
「(複数の)鐘(が)」

「on」
「(〜の)上に」

「a」
「ひとつの」

「hill」
「丘(の)」

日本語だけで示すと、

「そこへ」「そこで」「(〜がある)」「(〜があつた)」「(〜がいる)」「(〜がいた)」(モヤモヤ)

「(複数の〜)が存在した」(確定)
「(複数の)鐘(が)」
「(〜の)上に」
「ひとつの」
「丘(の)」

という順序で意味を把握しているといふことになる。

やほり日本語で英語を解しやうとすることにそも無理がある。英語は英語のまま、その感じを解するしかない。

でも、単語レベルで選択肢が複数ある、
といふのは日本人にはどうしても考えらない。

以上。


by ichiro_ishikawa | 2017-02-22 13:25 | 日々の泡 | Comments(0)  

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