Ryu's Bar 気ままにいい夜
1991年4月以降テレビを観なくなつた俺が、最後に観たテレビ番組は「Ryu's Bar 気ままにいい夜」(TBS)だ。
司会の村上龍の朴訥としたベシャリやゲストと交わされる地味な内容は、ポップな80年代が終焉に向かひ、絶望の90年代に入つて行く時代の空気を象徴してゐる。
この番組は1987年10月〜1991年3月、日曜23.00からの放送で、その期間はちょうど俺が高校1年〜大学入学直前の3年半にあたる。
一般的に昭和の終はりとは、ボウイの解散(1987年12月)と長渕剛の『昭和』(1989年3月)および紅白歌合戦初出場(1990年12月)を指すが、この「Ryu's Bar」もその流れと軌を一にする。
1991年4月、俺は絶望の時代の空気の中、大学に入学し本格的に社会と交わつて行くことになるのだが、状況はこの時から変はつてゐない。俺がいまだ19歳であるのはかのやうな事由による。
最終回は村上龍(当時39)の人選で、70年代の著作が当時続々文庫入りしカリスマ化してゐた柄谷行人(49)と、講談社を2年で退社しヒップホップと小説でストリートのリアルな知性を爆発させてゐた、いとうせいこう(30)。柄谷行人は喋り方が井上陽水に似てゐる。
村上龍×忌野清志郎
村上龍×シティボーイズ
by ichiro_ishikawa | 2017-06-26 11:36 | 文学 | Comments(0)