大丈夫ではない


たとへばつまづいたり転んだり、何らかの罹災があつときに、傍らにゐた人から咄嗟に「大丈夫?」と聞かれる場面が日々においてはままあらう。
もちろんその何らかの災難の度合いによるが、大抵の場合、「大丈夫」と答える。答えざるを得ない。

でも本当は、大丈夫ぢやない。
正確に言へば、大丈夫ぢやないといふほど大げさでもないが、決して大丈夫ではない、つまり「うーん…さうさなあ…まあ…いい気分ではないのは確かだ…つうかほつといてくれ、いやごめん、好意で言つてくれてるのはわかるが……こんなときに質問形式はやめれ」だ。
しかし、そんな悠長なことを言つてゐると、会話のリズムを損なうから、とりあへず「大丈夫」と言つて済ます。

但しその大丈夫は、繰り返すが、
「うーん…さうさなあ…まあ…いい気分ではないのは確かだ…つうかほつといてくれ、いやごめん、好意で言つてくれてるのはわかるが……こんなときに質問形式はやめれ」
であることを踏まへて置くことはよいことだ。
ぢやあどう言へばよいか。難しいが、とりあへずベストは、「なるほど」だらう。

だいぢやうぶかと訊くひとがゐる大丈夫であるはずがないと言つてみようか  永田和宏

by ichiro_ishikawa | 2017-12-06 20:37 | 日々の泡 | Comments(0)  

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