ジャズ・ギター

 グラント・グリーン(1935〜1979)という主に60年代に活躍した黒人ジャズ・ギタリストが最近いい。昔からいいのだろうが、自分にとってよくなったのは最近のことだ。
 そも、ジャズ・ギターというものにあまり馴染みがなかった。ギターはロックの専売特許だという感が強かったし、ジャズにおいてはやはりピアノやサックスが花形で、ギターはザッザッザッザッとリズムを刻む、ベースやドラムと役割的には近いバッキング楽器だから、“すげえいいさ加減”も地味なものだった。70年代マイルズ・デイヴィス・バンドのジョン・マクラフリンなどはロック寄りなので好きだけれど、パット・メセニーとか、マイク・スターンはよりフュージョンぽくて、楽器ベタ、味オンチの自分にとってはあまり楽しめるものではなかった。 
 それがここに来て、ジャズギターブームが到来。チャーリー・クリスチャン、ジム・ホール、ウェス・モンゴメリー、パット・マルティーノがものすごく好きになった。ここ最近、バンバンバザールや、戦前のブルーズや、40〜60年代のリズム&ブルーズをかなりサイコパセティックに聴いてきた耳が、ジャズの繊細さ、アーティスティックさを許容しはじめたのやもしれぬ(やっと)。

 とはいえ、グラント・グリーンは、実はド・ジャズではない。アーシーでブルーズ・フィーリングあふれ、ゴスペルっぽくもあり、朴訥で素朴な、いなたいギターを弾く。
 このダウン・トゥ・アースなギタリストは、フットワークが実に軽く、いろいろなところに駆り出されては、気軽にセッションを展開している。アドリブ回しにおいては、主役をバンバン喰っちまう。主役であるサックスやトランペット、ピアノはそんなグラントに挑発され、レベルがグワッとあがっていく。結果、全体がファンキーな大セッション大会となり、嫌が応にも聴く者の腰を変拍子で痙攣させるといった塩梅だ。
 自分のリーダーアルバムよりいい演奏を膨大に残している——そこに目を付けたピーター・バラカンは、グラント・グリーン客演集といった趣のコンピレーション・アルバムを編集して東芝EMIからリリースさせた(だいぶ前に)。
 その名も『Have Guitar, Will Travell』。
 このタイトルが実に秀逸。ピーターが若き頃に見ていたテレビドラマ『Have Gun, Will Travell』をもじったものらしく、そのドラマは、殺し屋の主人公がチャカひとつで世界を飛び回るもので、タイトルの意味は「当方、銃あり。出張致します」といった意味合いだと、日本人より日本語が堪能なイングリッシュマン・イン・トーキョーことピーターは言う。つまり、この客演集も、「当方、ギターあり。出張致します」となる。
 その殺し屋ぶり、ギター1本での道場破り的な豪放感が、すげえいい。

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      これは2作目のリーダー作。メロディとか、すげえ

by ichiro_ishikawa | 2006-03-01 19:47 | 音楽 | Comments(0)  

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