布袋寅泰 25周年総括ギグ at NHKホール

 布袋が、81年にBOφWYでプロのキャリアをスタートさせて今年2006年で25年ということで、全キャリア総括をしている。過去、現在、未来という時間軸において、常に現在にしか興味がないと言って憚らなかった氷室と布袋が、ここにきてBOφWYを衒いなく披露するようになったのは、BOφWYを捨て、BOφWYとは全く違う場所に、ソロミュージシャンとしてのキャリアを一から積み上げてきて、ついにはBOφWYを超えた、という自負による所が大きい。と同時に、自らの20代という貴重な季節は、BOφWYという「一瞬の奇跡」そのものであったと素直に懐古できるようになったということだろう。「全く違う場所」とはその音楽性と意思においてであった。BOφWY的なるものを禁じ手としたということだった。だがベースにはやはりBOφWYがあり、それを円熟、発展、深化させたのがソロだったのだ。特に布袋は。
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 布袋は、そも、ガリガリでひょろ長いその風貌が象徴するように、中性的というより女性的なものを持ち味としていた。ハードロック的なものからは最も遠く、パンクとも異なる、やはり70-80sニューウェーブと言うべきスタイリッシュなインテリアートが根っこにあった。ギタープレイにおいては、冗長なギターソロを排除した切れ味鋭いカッティング、リフ、ブリティッシュなポップフレーズ、クラフトワーク、トーキングヘッズ的なダンスセンスを身上としていた。BOφWYはそうした趣味がもろに出ていたし、“Guitarhythm”は、その延長であったと言える。“Guitarhythm”においては、「セックス・ピストルズのギタリストが、ジグジグ・スパトニックのリズム隊を従えて、真っ赤なスーツでビートルズの曲を歌う」と唱った。これはある意味、「BOφWYー氷室」の具現化に他ならない。BOφWYから氷室的要素を排除した上でBOφWYを深化させるという試みが“Guitarhythm”だ。ジグジグ・スパトニック(ニールX)やジーザス・ジョーンズ(マイク・エドワーズ)といった同世代のイギリス人が提示する新しいロックの形に触発されながら、ギターとリズムの深化を追求し続けた。
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 その“Guitarhythm”が最高の形になったとき、布袋はDavid Bowieとの共演を実現させた。そして、完成した“Guitarhythm”をたたき壊す。目指したのは、歌謡/J−POPシーン。芸術家としてやるべきことを成し遂げた後、popをやるというのは、自然な流れだ。このとき布袋は33歳。奇しくも大滝詠一が『A Long Vacation』というポップをリリースした年齢だ。
布袋は持ち前のポッピズムを全快にし、なんと、ギタリスト/シンガーとしてミリオンアーティストになった。だがやはり歌謡/J−POPシーンで結果を出したということは、アホ、ブタ野郎にも受け入れられているということで、女性っぽさが売りだった布袋は、男っぽさをグングン増しテレビサイズの兄キ的キャラを確立、テクニックは飛躍的に向上したがそれと引き換えに、繊細さ、エキセントリクポップ、シャープネスを失い、テレビ的/J−POPギターを「はい、一丁上がり」と差し出すようになってしまった。
今回、25周年総括ライブを見て思ったのは、布袋はやはりメロディ、リズム感のセンスがもの凄い。が、歌謡/J−POPシーン以前の肩肘張った布袋はもっと凄かった…ということだった。

以下、
布袋「All Time Super Best Tour」(2006 3/25 NHKホール)
すげえ曲、ベスト10

第14位
さらば青春の光(アクースティック・バージョン)
(Single/『Guitarhythm IV』94年)
アクースティックというのが、やはりいただけない。
布袋にはブルーズ/フォーク性が希薄だから、アクースティックにすると、
折角の佳曲も、センチメンタルなバラードになってしまう。

第13位
LONELY★WILD(アクースティック・バージョン)
(『Guitarhythm III』92年)
同上。

第12位
バンビーナ
(Single/『Guitarhythm II』96年)
Pop! Pop! Pop!

第11位
スリル
(Single/『King & Queen』95年)
江頭2:50は、すげえおもしれえ。
布袋2:50

第10位
Starman
(David bowieのカバー/『Guitarhythm II』91年)

第9位
Beat Sweet
(BOφWY/『Beat Emotion』 86年)

第8位
C'mon Everybody
(Eddie Cochranのカバー/『Guitarhythm』88年)

第7位
Dancing With The Moonlight
(『Guitarhythm』88年)

第6位
Merry-Go-Round
(『Guitarhythm II』 91年)
間奏のカッティング、とんでもない。

第5位
サレンダー
(Single/『Guitarhythm IV』94年)
不滅の1音ギターソロ。イントロもすげえ。

第4位
Dreamin'
(BOφWY/『BOφWY』 85年)
ヴォーカルはオーディエンス。サビの布袋のコーラスがBOφWYを思い起こさせた。
布袋はやっぱコーラスがすげえ。

第3位
Bad Feelin'
(BOφWY/Single/『BOφWY』 85年)
不滅のリフ。

第2位
Poison
(Single/95年)
布袋ポップの金字塔。イントロもすげえ。

第1位
Be My Baby
(Complex/Single/『Complex』 89年)
不滅のイントロ。

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by ichiro_ishikawa | 2006-03-26 15:52 | 音楽 | Comments(0)  

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