池田晶子 最新作リリース

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 池田晶子の新作が出た。「週刊新潮」での連載エッセイ「人間自身」をまとめたもので、そのシリーズ第3弾となる。タイトルが、
「知ることより考えること」。
 ここでの「知る」は、「情報を得る」という意味だ。つまり、この情報過多のネット社会やらなんやらでいろいろと知識を増やすのはいいが、本当に大事なものは何だ? それを見極める目を持て。
 要するに、己が頭で(手ぶらで)考える、ということをせんでは、何をしたことにもならないぜ、という意味が込められている。
 池田晶子は、常々「考える」ということの重要性を述べているが、この「考える」という言葉の深い意味に注意するのは良いことだ。
 小林秀雄は言う。

 「考える」は、「かんがふ」で、「かむかう」の音便だから、もともとは「迎える」という言葉だ。
 「彼(か)」を「迎える」で、つまり、考える主体である「私」と考えられる「モノ」とが、相対するということだ。
 さらに「むかふ」の「む」は「身」であり、「かふ」は「交ふ」である。
 
 つまり、小林秀雄および本居宣長が、手ぶらで、てめえの頭で、自己流にグワッと思索したところによれば、

 「考える」とは、物に対する単に知的な働きではなく、物と親身に交わることだ。物を外から知るのではなく、物を身に感じて生きる、そういう経験を言う。
(62年「考えるといふこと」小林秀雄)

 池田晶子の「考える」は、この「考える」なのだと思う。

by ichiro_ishikawa | 2006-10-27 16:15 | 文学 | Comments(0)  

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