小林秀雄アンダーライン

この孛星が
自らその美神を絞殺するに至る迄
彼のみの秘密である幾多の暗面
彼がその脳漿を斫断しつつ、建築した眩暈定著の秘境は
素晴らしい駄々っ子
机の一隅に不器用に肘をついて沈黙している他は無かった
流鼠の天使は
性急な絶対糺問者
彼等の心情が、不幸にもあまり純情すぎたという事であった。各々その情熱の化学に忙しかった
吾々の灰白色の脳細胞が壊滅し再生すると共に吾々の脳髄中に壊滅し再生する
純粋単一な宿命の主調低音
最初に虚無を所有する必要がある
自身の坩堝から取り出した黄金に、何物か未知の陰影を読む
彼の眼は、痴呆の如く、夢遊病者の如く見開かれていければならない
芸術家の脳中に、宿命が侵入するのは必ず頭蓋骨の背後よりだ
彼は「絶対」に参与する
私は絶え入ろうとして死刑執行人を呼んだ、彼等の小銃の銃尾に噛み附く為に
逃走する美神
彼は美神を捕えて刺違えた
瑰麗な夢を満載して解纜する

過去も虚栄も
月並みな嘆きのただ中で
やむを得ず無意味な溜息なぞついている
同感するほど阿呆でもない代わりには、腹を立てる程の自惚れもない、仕方がないから一種嫌な汗をかいて黙っている。これはかなり憂鬱な事である
黙っていた方がましだろう、だが口を噤んだ自分のみすぼらしさに堪える術を知らないとすれば──
苛立たしい顔に出会うごとに、なぜ君はもっと苛々してみないのか、とそう思う

by ichiro_ishikawa | 2001-10-15 03:40 | 文学 | Comments(1)  

Commented by みみm at 2009-02-01 06:25 x
だが、どうすればいい
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