布袋寅泰 in 渋谷公会堂

布袋寅泰
渋谷公会堂

 渋谷公会堂で前から2列目という奇跡的状況。ホール用のパフォーマンスを間近で見るといささか滑稽だった。仕種が大袈裟だ。だが、ギターを弾く両手だけ物凄い緊張感が漂っていて精緻だった。片足を大きく上下させてダンスする際も、ギターを抱えた上半身はピタッと静止しているという。
 渋谷公会堂の思い入れを語るシーンで、「フォークのバンドじゃねえんだから」というセリフ(文脈に沿わない形で、というのは愛嬌)を発するあたり、BOφWYを引き摺っている。というか、布袋はBOφWYが大好きだ。氷室がBOφWYを完全に葬り去ったのと対照的だ。氷室抜きのBOφWYというのは考えられないが、無理矢理考えてみると、今の布袋がすなわち氷室抜きのBOφWYだ。あたりまえのことを言っているようだが、BOφWYとは、布袋の音楽的指向に氷室が賛同していた幸福な6年間であり、布袋の音楽を氷室が放っていたということなのだ。布袋の音楽が氷室のフィルターを通って放たれたのがBOφWYだった。
 ただし、氷室が布袋のマリオネットであったら、BOφWYはBOφWYではなかった。音楽的成熟度において布袋より幼かった氷室が、布袋の深みに触発され、成長していった過程がBOφWYなので、布袋を卒業して新たに培われた指向に則って進もうとした氷室という存在と布袋の才能が真っ向からぶつかりバンドサウンドとして昇華したことが、特に後期BOφWYをBOφWYたらしめたことも言わねば片手落ちであるので付言しておく。

by ichiro_ishikawa | 2003-12-02 11:43 | 音楽 | Comments(0)  

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