バンバンバザール& jazz in Yokohama

『バンバンバザール& jazz in Yokohama』〔第2部〕
2004年8月14日(土)
 横浜・BAR BAR BAR

 JR横浜駅から根岸線で関内へ。南口を出て横浜市役所を抜けると、近くの横浜スタジアムではTUBEのライヴが行われており、音と歓声が漏れ聞こえてくる。「夏といえばTUBEだよなあ。あそこに飛行機突っ込まねえかな…」と危険な考えが頭を過った。と、ドーン! という爆音。曲終りか何かにのどかな花火が打ち上げられたのだった。そんな、人にはあまり言えないエピソードをこっそり削除しながら、横浜信用金庫脇の道を入る。3ブロック目右角に老舗ジャズライブレストラン「BAR BAR BAR」はあった。品のいい、ちょっとブルジョワジーな雰囲気の店内。今宵、サタデーナイトライヴは、ちょっと大人のライヴが観れそうだ。

 10時少し前、ステージに福島康之、富永寛之、黒川修の3人が集まり、第2部の幕が開けた。1曲目は会場で先行発売されていた最新アルバム『夏はあきらめた』収録の「たくわん」。憂歌団のナンバーだ。富永はウクレレ、黒川はウッドベース、福島はギターをそれぞれ奏でる。ウクレレでブルースを弾く富永のなんてカッコいいこと。福島はいよいよ声がしわがれてきて、まるでブルースシンガー。2曲目は「スウィート・スー」。福島はサックス風スキャットを披露した。ここで、「昼間、船上でトランペットを吹いていた」下田卓が登場。トレードマークのロカビリー風リーゼントは、前髪を降ろしたルーズなヘアースタイルに変わっている。グラサンは変わらない。「I'VE GOT THE WORLD ON A STRING」を、福島がレイドバックしたルーズでジャジーなヴォーカルでキめる。次に、富永はウクレレからギブソンのセミアコ・ギターに持ち替え、下田率いるカンザスシティ・バンドの最新作『だいぶジャイブ』から「モーニング・グローリィ」を下田がメインヴォーカルをとって披露。コケコッコーのコーラスは福島が。ギターを弾きながらも右手をきちんと頭に載せてトサカを作るアクションは欠かさない。というか、このアクションありきでのコーラス担当ということをきちんと踏まえている。もちろん気持ち猫背だ。ポカスカジャン大久保乃武夫を「嫉妬」させた、芸人・福島康之の凄さがチラッと現れたひとコマだった。
 「恋はねずみ色」「歌は終わりぬ」と続く。この辺りは富永のギターがものすごかった。下田のトランペットと富永のギターが交互にリードを取る形でのイントロで始まった「家庭教師2003」で、その凄さは爆発。コードの響きがすごくいいことと、下田がソロをとるときのバッキングのストローク。ザッザッザッザッズラーン! クワッと来る。極め付けは「明るい表通りで」。ここでギターのソロパートを富永はストロークで魅せた。この日の富永は恐るべしストローカーぶりを如何なく発揮していた。

 ここまでは、福島がブルージーでジャジーなヴォーカルをかましていたが、次に始まったのは、な、なんと! 「別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ」!!! 「5年ぶり」という、つまり21世紀初披露となったこの初期の名曲が、今宵、甦った。ライヴでは初めて聴く人も多かっただろう。この辺りの名曲は前ギタリストの安立クンのキャラとセットで成り立っていた感も多かったため、福島は封印してるのだろうと思っていたが、まさか、である。そして絶品だったのが、富永の「奇遇だなあ」のセリフ。顔、トーン、完璧だった。「昔は良かった」ということとはまったく違うのだけれど、下手なお笑いより、いや結構凄いお笑いより面白かった初期のライヴのあの空気が甦ったことは、嬉しい限りだ。また、「ひよこを買ってきたぜ」も秀逸だった。
 そのあと続いたのが「盛り場に出ていこう」。銀座、赤坂、六本木、歌舞伎町をライヴ場所によって適宜変換する、例の“地元の盛り場回し”では「横浜、関内、石川町、長者町(ちょうじゃまち)、浅間下(せんげんした)」と並べた。長者町あたりから空気はヤバくなってきて、いわずもがな、浅間下がものすごい。名ライヴアルバム『HIGHLIGHT』での牛込柳町に匹敵するものすごさがあった。
 「明るい~」からのラインナップに、いい意味での変な汗が出てきた頃、「FRIDAY NIGHT エビフライ」が爆発。そしてインストゥルメンタル・ナンバー(ちょっと歌アリ)の「スウィングしなけりゃ意味ないね」。コード進行もカッコいいこのジャズ・ナンバーは、最近のバンバンのレパートリーのスパイスだ。しっとり&激しい、デリケートでフラジャイルな富永のギター。ストロークも相変わらずすごい。思わず目を閉じて聞き惚れる。目をあけると体重0.1トンの富永。このギャップがカッコいい。あの富永がこういうギターをグワッと弾く、ここがいい。
 富永と下田のソロ・バトルも凄まじかった。この時の福島の嬉しい顔ったらない。ジャズ・ナンバーはやはり演奏者が一番楽しいのだろう。そして黒川がソロをとる。黒川はMCのツッコミもさることながら、最近のベース・プレイにはかなり注目だ。バンバンのネクスト・レベルのカギを握る男、黒川オサーミー。渾身のソロに、ジャズリスナーよろしく「イェイ!」が思わず口をついた。今宵のハイライトはここだった。
 いよいよ終盤。「FREE 」「君微笑めば」、そしてメンバー紹介を経て、「四回も五回も 」でしめた。「ヒーリヒーリヒー!」「まーるだーいハ~ム」では福島は和田アキ子ばりのソウルフルなヴォイスを響かせる。「まーるだーいハ~ム」の「~」が素晴らしかった。「丸大ハム、伊藤ハム、プリマハム、高崎ハム、明峰ハム(岐阜)、札幌ニッポンハム」と並べ、やたら嬉しそうに「まーるだーいハ~ム」とコーラスで叫んでいた黒川にニヤリ。「四回も五回もできないぜ、赤玉出ちゃうぜ」までイッたサタデーナイトライヴは終えんを迎え、アンコールナンバー「ほんじゃね」を、福島はウクレレに持ち替えてさよならの挨拶とした

セットリスト
1.たくわん(『夏はあきらめた』)

2.スウィート・スー(『歌は廻る』)

3.I'VE GOT THE WORLD ON A STRING(『HIGHLIGHT』)

4.モーニング・グローリィ(カンザスシティ・バンド『だいぶジャイブ』)vo.下田卓

5.恋はねずみ色(『夏はあきらめた』)

6.歌は終わりぬ(『できました』)

7.家庭教師2003(『Suge・Ban・Ba!!』『ALL NIGHT POTATO LONG』)

8.明るい表通りで(『リサイクル』『HIGHLIGHT』『Suge・Ban・Ba!!』)

9.別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ(『できました』『HIGHLIGHT』)

10.盛り場に出ていこう(『リサイクル』『Suge・Ban・Ba!!』)

11.FRIDAY NIGHT エビフライ(『4』『Suge・Ban・Ba!!』)

12.スウィングしなけりゃ意味ないね(アルバム未収録)

13.FREE (『Suge・Ban・Ba!!』『ALL NIGHT POTATO LONG』)

14.君微笑めば(『夏はあきらめた』)

15.「四回も五回も 」(『リサイクル』『ALL NIGHT POTATO LONG』)

16.ほんじゃね(『歌は廻る』)


by ichiro_ishikawa | 2004-08-16 03:12 | 音楽 | Comments(0)  

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