バンバンバザール、この10曲


 今、日本でいちばんすげえバンドは、バンバンバザールだ、という事実に異論を唱える人はいないはずだが、いや、そも「事実」に異論を挟む余地などないわけだが、話が「その中で、どの曲が最もすげえのか」というトピックに及ぶと、これは、一筋縄ではいかない。決定するのに2〜3年はかかるし、その間に新曲が出たりすると、またそれらを全体の中に位置づけて考えざるを得ず、かつ既存曲の位相もそれら新曲によって変わってくるので、一から決め直しということになってなかなか終わらないし、さらには、その時々の気分というやつも、かなりセレクトに作用して来るが故に、いよいよ「こりはもうだむだ」となる。この仕事に比べたら国家の外交政策や予算決議なんてのは、一瞬で済むのでは? と思えてしまう、そんな難事に真っ向から挑んだ力作が、今回の企画である。この文は以下のセレクトを終えてから書いているが、相当疲弊している。セレクトの時点でかなりドタマを消耗しているから、とにかく解説がぐだぐだで「すげえ」としか言っていないが、ブロムという特性を生かして、ちょくちょく加筆訂正をしていく所存。言い訳ではない。こういうのは、とにかく走り出す事に意義がある。あまり時間が経つとすぐまたランキングが変わって来るから、それでは参りましょうか、レディース&ジェントルメン、マダメムシュー、「バンバンバザールこの10曲」。

11
江戸川橋
(from『リサイクル』94年)
c0005419_054137.gif「もうレコードは帰らない」。貸しレコード屋というのが繁盛した80年代。3200円もするLPなんてそうそう買えない子供は、貸しレコード屋に足繁く通った。そして「もしも良かったら レコード返して ついでに映画でも観ましょう なんて言えるわけがない」

10
君のいない夏
(from『4』99年)
c0005419_0542718.gif「去年の今頃はベタベタはりついて暑苦しかった 君はいないのね」「君のいない夏のりきる」。ほんとそうだ。

09
夏だったのかなぁ
(from『4』99年)
c0005419_0542718.gif吉祥寺の路上時代からのナンバーで、バンバンバザールのテーマと言える。これぞ楽団。来るぞ、来るぞ、あの楽団がやって来る。という、高揚感。

08
プリーズ・ドント・トーク・アバウト・ミー
(from『歌は廻る』97年)
c0005419_0551157.jpg30年代に作られたアメリカのスタンダード。フランク・シナトラやサミー・デイヴィスJr.といった大エンターテイナーから、ビリー・ホリデイ、サッチモといったジャズマンまで実に様々な人が演(や)っている。曲は言わずもがなだが、なんといっても訳詞がすげえ。「今んなってぐすぐず言うんじゃないよ 2人の間もはいこれまでよ」。「どうぞあなたは右に 私は左に 別れのキスしたら ほんじゃ達者でなっちこって」。お前みたいな女とはさっさと別れるぜ、なのか、それとも、哀しみ故の強がりなのか、もしや、君を哀しませないためのわざとの憎まれ口なのか。

07
盛り場に出ていこう
(from the Live Album『HIGHLIGHT』00年)
c0005419_0562152.jpg「女にフラれて哀しい時 借金抱えて苦しい時 布団かぶって寝込んでないで 盛り場に出て行こう」。『できました』(95年)にも収録されているが、ここでは吾妻光良が参加しているというのが凄い。スキャット合戦、シャレ合戦は圧巻だし、少しディレイさせてかぶせてくる吾妻のコーラスには、ゾクッとくる。歌詞もふざけていながら、グワッと立ち上がる気にさせてくれる、明るいものとなっている。「タクシー乗ったら2割増 ほんとは明日6時に目覚まし だけとウチより全然マシ」のライミングもいい。今タクシーは3割増で、物価の変動が見て取れる。

06
別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ
(from『できました』95年)
c0005419_0564258.jpg「盛り場に出ていこう」と並ぶジャイヴ・ミュージックの最高傑作。「近所の床屋で髪の毛刈りに来たんだぜ 別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ」「紳士服の青山でスーツ仕立てに来たんだぜ 別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ」。最近、こう、嘯(うそぶ)ける男がいなくなった。ちなみに、途中のスキャットも最高だ。


05
スウィングしなけりゃ意味ないね
(from Bootleg)
オリジナル盤未収録。重鎮デューク・エリントンの超有名曲で、たいていのジャズメンが演(や)っている。バンバンヴァージョンは、前半がグワッと演奏、後半にヴォーカルが入ってくるという構成で、日本語も交じる。こういう事が出来るからバンバンバザールはすげえ。

04
Wild About My Lovin'
(from Bootleg)
オリジナル盤未収録。ライヴで披露されたこの曲は、トラディショナルナンバーで、1928年録音のJim Jackson、現代では、Lovin' SpoonfulやJim Kweskin & The Jug Band、DAN HICKS & THE HOT LICKSなど、アメリカン・ルーツ・ミュージックに造詣の深い粋なミュージシャンが、こぞって演奏している。アメリカの原風景を思い起こさせるルーズでブルージーなギターと歌が、すげえいい。決して流暢ではないが、音から真似たと思われるアクセントやイントネーションといったツボをおさえた、福島流英語が冴え渡っている。


03
5月の午後
(from『Gentleman』03年)
c0005419_057292.gifなんといってもボブ・ディラン「Blowin' In The Wind」ばりのイントロのギターがとんでもない。こういうシンプルで朴訥な素晴らしい曲を聴くと、ほんと死にたくなる、いや、間違い、ほんとクワッときてしまう。


02
夏のイメージ
(from『十』05年)
c0005419_057899.gifブルーズからジャイヴ、ジャズ、カントリー、フォーク、ロック、昭和歌謡とあらゆる音楽をやり尽くして来たバンバンバザールは、最新作においてまたひとつ新たな側面を見せつけた。「夏の扉」とか「渚のカンパリソーダ」とかを連想させる80sフレイヴァー色濃い歌謡曲。イントロのギターリフがすでにすげえし、歌伴でのリフもシンプルですげえし、「本当は何もいらな〜いけれど」の「な〜い」のところがものすげえ。こういうシンプルな演奏とポップなメロディというのは、超絶技巧でマニアックな曲を作るのより、よほど難しい。


01
さよならと言ってくれ
(from『スゲ・バン・バ!!』01年)
c0005419_0575570.gif『4』(99年)で世界を完成させたかに見えたバンバンバザールは、この曲によってさらに新たなる地平へと歩み出た。「2001年・俺レコード大賞」の大賞受賞曲。ギターのイントロだけですでにすげえし、「道ばたで見つけた小さな恋の思い出は タバコの吸い殻みたいに捨てる」「君の部屋で流れてた小さな恋のメロディは へたくそな鼻歌みたいに忘れる」「いつもの調子で いつもの感じで 階段降りてゆくから 泣いたりしないで さよならと言ってくれ」と、抜き書きしている最中になんだか泣けて来た。最高のラブソングは何故にいつも別れの歌なのか。



参考までに
WILD ABOUT MY LOVIN'

Well, now, listen here people
'Bout to sing a song
I'm goin' to St. Louis
And I won't be long.

Cause I'm wild about my lovin'
I like to have my fun.
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come.

Well, now Sargent Jones
Chief of police
The women 'round here
Won't let me see no peace

Chorus:
Cause I'm wild about my lovin'
I like to have my fun.
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come

Well, now hello central
What's the matter with your line
I want to talk to that
High broad of mine

Cause I'm wild about my lovin'
I don't bite my tongue
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come.
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come.

by ichiro_ishikawa | 2006-12-14 01:06 | 音楽 | Comments(2)  

Commented by 流星からの贈り物キッズザUSA at 2006-12-14 19:27 x
だから10曲だって言ってんでしょーが!
意外なような納得なような10曲
こりゃ難事ですわ
バンバンはオリジナルもスゲェしカヴァーもスゲェところがスゲェ!
あっスゲェェェェェェェェェェェェェェェェエェ!
Commented by ichiro_ishikawa at 2006-12-14 20:39
ちなみに1日経った今は、「Wild About My Lovin'」が1位。
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