ザベストテン2006 音楽編
というわけで、本ランキングでは、「普遍的な正しさ」という、誰にも納得のいく指標を、神に頼んで設けてもらった。「普遍的な正しさ」というと、概念的に過ぎるかもしれない。例を挙げると、「地球は回る」というのは普遍的な事実でしょう。また同様に、ポテトチップスにおいて、もっともすげえのは「のりしお」、次に「うすしお」、3位が「コンソメパンチ」というのも誰もが納得する普遍的な真理でしょう。要するに、個人の趣味、好き好きでない、誰がどう考えてもそうでしかない、というところでのランキングである。
12
At War With The Mystics
The Flaming Lips
ウェイン・コイン(Vo/G)、マイケル・アイヴァンス(B)、スティーヴン・ドローズ(Ds)による3ピースバンド。83年米オクラホマにて結成。前々作『ザ・ソフト・ブレティン』(99)、前作『ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ』(02)には残念ながら及ばないが、なかなかどうして良作だ。
11
Songs And Other Things
Tom Verlaine
NYパンクの重鎮バンド、テレヴィジョンのボーカル&ギターで、パティ・スミスが「ロックの世界で一番美しい首の持ち主」と称したトム・ヴァーレインのソロ作。独特の世界は健在。もっとギターを聴きたかった。
10
Ringleader Of The Tormentors
Morrissey
言わずもがな元ザ・スミスのヴォーカル、モリッシー。とにかくジャケットが最高。曲はすげえポップで元気。声は相変わらずすげえ。ただ、Still Ill。
9
The Information
Beck
説明不要のベックちゃん。ジャケがいい。音は普通だ。『One Foot In The Grave』の世界をもう一度、という俺のラヴコールは届いているかい?
8
Surprise
Paul Simon
言わずと知れたガイモン&サーファンクルのサイモンさん。『Graceland』(86)ばりという書評を目にしたが、さすがにそこまではいかないというのが正直なところ。だが老いて尚盛ん。いい。
7
Living With War
Neil Young
反戦〜世界平和希求アルバム。歌詞はココで全部読めるし、曲自体ネットでダウンロードできる。商売云々よりもとにかく流通ありきというニールの姿勢が見て取れる。一発録り風の楽曲群は、すげえザラザラしていて普通に金出して買いたい傑作だ。
6
I Am Not Afraid Of You And I Will Beat Your Ass
Yo La Tengo
現代のヴェルヴェット・アンダーグラウンド。『Electr-o-pura』(95)、『アイ・キャン・ヒア・ザ・ハート・ビーティング・アズ・ワン』(97)ばりの傑作やもしれぬ。
日本人の音楽編
日本の音楽業界は、どこまで不景気なんだろうか。もうどん底らしく、2006年は3作品しかリリースされなかったようだ。
3
Soul Session
布袋寅泰
様々なミュージシャンとのセッション曲全10曲を収録。デイヴィッド・サンボーン、ブライアン・セッツァーとの共演が素晴らしいが、他はあまり良くない。Rip Sryme、土屋アンナは最悪。Charと中村達也はいい。
2
In The Mood
氷室京介
先日購入したばかりなのでまだよく聴いていないのだが、声がいい。今回は、ビート系の曲が多いようで、さほど過剰な期待は抱いていない。バラッドはさすがにすげえ。
1
Re-Cool Reflections
寺尾聰
これはずるい企画だ。大名盤、25年ぶりのセルフカバーで、井上鑑(Key)、今剛(g)、アレックス・アクーニャ(perc)、 高水健司(b)、ヴィニー・カリウタ(ds)、林立夫(ds)、山木秀夫(ds)というとんでもないメンツで新録。悪いわけがない。
5
Overnight Sensational
Sam Moore
「ちょっと待って、今行くから」「魂男」でお馴染み、史上最高のソウル男性デュオ「サム&デイヴ」の高音担当サム・ムーアのセッション作。ゲストは、故ビリー・ブレストンから、スティーヴ・ウィンウッド、スティング、エリック・クラプトン、ロバート・ランドルフ、ブルース・スプリングスティーン、そしてマライヤン・キャリーまで。アン・ピーブルズの「I Can't Stand The Rain」でいきなりTKO。
4
What’s Going On
Dirty Dozen Brass Band
ニューオーリーンズの粋な楽団がマーヴィン・ゲイの傑作をまるまるカヴァー。ニューオーリーンズR&B爆発!
3
Modern Times
Bob Dylan
ボブ・ディランが地味で渋い、すげえアルバムを創った。06年で65歳だが、この人はやはりとんでもねえ。
2
Rather Ripped
Sonic Youth
毎年のようにアルバムをリリースしているソニック・ユース、ジム・オルークが日本文化を勉強するために脱退して、再び4人に戻った。
1
The River in Reverse
Elvis Costello & Allen Toussaint
コステロとアラン・トゥーサン夢の共演。文句無しの1位。
総評
今回のラインナップ、平均年齢50代。しかし、若いバンドやミュージシャンは何もリリースしていないのかね? ディスクユニオンには全然売ってないし、雑誌「UNCUT」にも「ミュージックマガジン」にも「レコードコレクターズ」にも載っていない。不思議だ。ネット販売のみとか?
by ichiro_ishikawa | 2006-12-27 20:20 | 音楽 | Comments(0)