いま最も勢いのある雑誌ベストテン

 
 俺がかなりの雑誌マニアだということは意外と知られていない。
70年代後半から80年代半ば、幼少〜ローティーン期には、肉親が勤める美容室に入り浸っていた関係もあって、そこに置いてあった女性週刊誌や少年・青年漫画誌、ファッション誌はもちろん、「POPEYE」「BRUTUS」といったマガジンハウス系、そして伝説の「シティ・ロード」から「ロードショー」「スクリーン」の類にはかなり親しんで来た。
 80年代後半から90年代半ば、高校〜20代中盤期には、マガジンハウスを離れ、rockin'on系にシフト。さらに欧米、アートかぶれだったので、カルチャー誌、文芸誌から洋雑誌までも積極的に手を伸ばしていた。

 そんな、雑誌カルチャーに一家言ある俺だが、30代に入ってから、めっきり雑誌への愛情が薄れてきた。ウェブサイトという新しいメディアの影響などというキャッチーな理由からでは全くなく、思うに、やはり、世の出来事に関心がなくなってきたのではあるまいか。社会人という、世俗にどっぷりまみれた生活を日々送っていると、仏・神系、イエス様やお釈迦様、天照大神、八百万の神といった宗教、あるいはソクラテスやプラトンといった哲学、吉田兼好とか荻生徂徠といった古典文学など、あまり生活に関係のない、いや、生活に直截的な作用はないが、それを根底で支え、深いところで必ずや作用しているであろう、いわば、存在自体の大前提、みたいなところにしかあまり興味が持てないのであった。
 DAKARA、もっぱら書籍である。
 情報など要らぬ。ビジュアルも要らぬ。生活の知恵など無用の長物。本質だけをグワッとえぐっていれば、応用は利くのである。
 そんな人間がセレクトした、いま、最も勢いのある雑誌、ベストテン。


5.UNCUT(英国・ IPC MEDIA)

c0005419_2171027.jpg世界中の音楽誌がダメな今、孤軍奮闘しているのがこのイギリスのオヤジ雑誌。OVER30、あるいは40を読者に想定していると思われるが、あからさまな回顧趣味ではなく、ある程度耳の肥えたオヤジにも響くものなら新人も紹介する、要は、真にいいものを取り上げるというスタンスがいい。


4.SIGHT(rockin'on)

c0005419_2173444.jpgラス・メイヤー特集で幕を開けた「H」が女子供向けのサブカル誌に堕し、欧米誌デザイン+トレント・レズナー表紙で勢いよく創刊された「buzz」も「JAPAN」みたいにナヨナヨしはじめ、本誌「rochin'on」も増井修・田中宗一郎・宮﨑広司を失って虫の息、最後の牙城「CUT」も変な日本映画寄りになった今、かつては赤線引いて熟読玩味していたrockin'on社の作品にまったく用がなくなる中、唯一すげえのが、この総合誌。ただ版型が変わったのが惜しい。


3.en-taxi(扶桑社)

c0005419_2175688.jpg「東京タワー」を生んだことで一躍有名になったが、アレは別格として、「文学の器」「作家の遺影を撮る」「ラスト・ワルツ」などいい企画が目白押し。丸山応挙や松方弘樹、大江慎也など、俎上に載せる題材も秀逸。判型が変わったのは、やや気に入らない。


2.芸術新潮(新潮社)

c0005419_2181580.jpg芸術というやつを切るには、高尚になるか、スノッブな感じにサブっぽく軽やかになるかのどちらかで、本当にくだらねえのだけれど、この雑誌は、なんといっても本質をこそ、グワッと抉っていこうという意気込み、そして、それを形にする手腕がすげえ。「日本の仏像誕生!」「おそるべし! 川端康成コレクション」「芭蕉から蕪村へ 俳画は遊ぶ」といった、切り口にすごく工夫がある。


1.サライ(小学館)

c0005419_2183366.jpg他のジジイ雑誌が、「若者がオッサンになった」という事実に即しただけの、処世術や趣味を扱うことに終始していて全然ダメなのに対し、「古都奈良」や「落語」、「孔子論語」「小倉百人一首」といった特集の素材が硬派で気が利いているのがまず良いし、なんといっても切り口が、すげえ。要は、料理の仕方がすげえ。

by ichiro_ishikawa | 2007-02-08 02:22 | 文学 | Comments(2)  

Commented by 追浜瑕彦 at 2007-02-08 03:19 x
「AUTO SPORTS」も読んだらいいさ。貸すよ。
Commented by 浮世亭ポン太 at 2007-02-08 19:20 x
版型が結構気になるご様子
そこいくってぇと、あたしゃ大きかろうが小さかろうが関係ない
読めりゃいい!っとこう来てる。
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