哀悼、池田晶子 この10冊

池田晶子の墓碑銘(エピタフ)は、
「さて、死んだのは誰か」
だという(週刊新潮「人間自身」最終回より)。
死して尚、根源的な謎を問い続ける池田晶子。しびれる。
その墓は、世界思索遺産として認定されるべきやもしれぬ。

「池田晶子、この10冊」として、カウントダウン方式でその「思索」を列挙していくが、数多ある著作の中、結局、書いていることはただひとつ、「ある」と「ない」とは? それを、いろいろと角度を変えて、鋭く問うているだけなのである、実は。


11.魂を考える
(法蔵館 1999年4月)

c0005419_528416.jpg壁に釘が刺さっていて、外套がかかっている。釘を外せば外套は落ちる。これが精神と肉体の関係である。とベルクソンが言っていると小林秀雄が言っている。そのように、精神と肉体は明らかに別物で決して平行関係にはないが、どういうわけか一緒になっている。そのあり方を、池田晶子は魂(プシューケー)という。


10.考える日々
(毎日新聞社 1998年12月)

c0005419_5271517.jpgサンデー毎日の連載をまとめたシリーズ。現在「3」まで出ている。同じ週刊誌である週刊新潮の連載「人間自身(旧題:死に方上手)」は「41歳からの哲学」「勝っても負けても 41歳からの哲学」「知ることより考えること」としてまとめられており、こちらも秀逸。


9.事象そのものへ!
(法蔵館 1991年7月)

c0005419_5265324.jpg事象そのもの、とは、「ある」という事態、そのこと。


8.新・考えるヒント
(講談社 2004年2月)

c0005419_5262754.jpg小林秀雄、晩年の名著シリーズのカバー。こんな芸当が出来るのは、池田晶子だけ。本ブログ、池田晶子と小林秀雄参照。


7.REMARK 01 Oct.1997〜28 Jan.2000
(双葉社 2001年2月)

c0005419_526596.jpg池田晶子の貴重なメモ集。文章という形になる前の思索の断片集。国宝。


6.睥睨するヘーゲル
(講談社 1997年1月)

c0005419_5254668.jpg自分で考えろ、ということだ。


5.オン!—埴谷雄高との形而上対話
(講談社 1995年7月)

c0005419_5252121.jpg考える人・埴谷雄高(はにや ゆたか)との、文字通り次元の違う形而上対談。
国宝ともいえる超一級の思索の記録がここにに。


4.死と生きる—獄中哲学対話
(新潮社 1999年2月) ※死刑囚・陸田真志との共著(往復書簡)

c0005419_525040.jpg死刑判決を受けたSMクラブ経営者殺人犯人との往復書簡。 善と悪、生と死の根源的な謎を語り合う。


3.帰ってきたソクラテス
(新潮社 1994年10月)

c0005419_5244237.jpgソクラテスが現代によみがえり、市井の人々と対話をするという「悪妻に訊け」「さよならソクラテス」と続く最もキャッチーなシリーズの1作目。「死んだのは誰だ!」は、確かこの本の最後でソクラテスが毒杯を仰いだ後にプラトンか誰かが吐いた言葉だと記憶しているのだが、単行本を人に貸していて手元に無く、文庫本を買いに行って確かめたのだが、改稿されていて、件の箇所がなくなっている。本、返してもらわねえと。あるいは、別の本だったやも。誰か教えてくれ。


2.メタフィジカル・パンチ—形而上より愛をこめて
(文芸春秋 1996年11月)

c0005419_5242258.jpg「小林秀雄への手紙」収録。これは本当に涙が出てくる。文学史上最高の恋文である。吉本隆明より江藤淳より小林秀雄を分かっていることがわかる。


1.残酷人生論—あるいは新世紀オラクル
(情報センター出版局 1998年3月)

c0005419_524760.jpg私が僭越ながら思う、池田晶子の最高傑作。シンプルにズバッ、ズバッと問われ続け、最後にストーンと問いの深みに落とされる。読後、しばらく恍惚にも似た放心状態に陥り、「ある」と「ない」の謎のとりこになる。池田晶子全著作の要約編といってもいい。

by ichiro_ishikawa | 2007-03-09 05:12 | 文学 | Comments(2)  

Commented by qeb at 2007-03-09 10:27 x
先を越されました、このエントリーに。
改めてみると、すごい人ですね、本当に。
5位の「オン」に一票
Commented by 右田二郎 a.k.a 小林 at 2007-03-09 23:43 x
『人間自身』最終回——この清冽な言葉に諧謔のタッグマッチ。
圧倒的な凄みにゾクッときた。「底が抜ける」感覚は何度も味わ
わせてもらったけど、〆の一言が永遠の謎掛けとは!
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