I'm Not There


 いきなり「Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again」が鳴り響き、「Like A Rolling Stone」、「I'm Not There(ソニック・ユース・バージョン)」で幕を閉じるまで、全編ディラン・ソング(ヨ・ラ・テンゴなど他者によるカバー含む)が流れっぱなし! トッド“ベルベット・ゴールドマイン”ヘインズ監督によるボブ・ディランの伝記的映画『I'm Not There』は、そういうことになっていた。

 c0005419_0273130.jpg日本一般公開に先駆けること半年、ある筋から試写会のチケットを譲り受け、渋谷のシネマライズで本作を観る機会に恵まれた。各方面で絶賛の嵐という触れ込みだったが、個人的には正直、映画としてはイマイチだった。ディランは、アルバムですべてを物語る類いの最たる人なので、アルバム以外はコンサート・フィルムぐらいしか、取り立てて必要とも思えない。監督のトッド・ヘインズが、映画人として、なんとかディランという存在を映画で表現したかった、その気持ちは分かるし、失敗しているとも思わないが、あれらの曲をあんなに流してしまったら、それらがすべてを凌駕してしまうのはやむを得ない。可愛そうだが、映画人の出る幕では無かった。
 本作は、ディランの人生の6つの時期を切り取り、それぞれが違う俳優によって演じられ、それぞれが必ずしも時系列ではなく綴られていく。時期、キャストは以下の通り。

●アルチュール・ランボオ(ベン・ウィショー)
65〜66年頃のディラン。当時インタビューで答えていたようなセリフを交えながらナレーター的な役割を務める。ディランはランボオにひどく影響を受けていたことで有名。
●ウディ・ガスリー(マーカス・カール・フランクリン)
62年にデビューする前のディラン。ディラン(この映画での名はウディ・ガスリー)が入院中のウディ・ガスリー(ややこしい)を見舞うエピソードは良かった。
●ジャック・ロリンズ(クリスチャン・ベイル)
60年代初頭、ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジで、新進プロテスト・フォーク・シンガーとして華々しくデビューを飾った頃のディラン。
(『時代は変わる』『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』)
●ジョン牧師(クリスチャン・ベイル/二役)
70年代後半〜80年代前半、再生派キリスト教(ボーンアゲイン・クリスチャン)の洗礼を受け、聖書の物語に傾倒していた頃のディラン。
(『スロー・トレイン・カミング』『セイヴド』『ショット・オブ・ラヴ』)
●ロビー・クラーク(ヒース・レジャー)
『フリーホイーリン』のジャケで有名なガール・フレンド、スーズ・ロトロと、65〜77年の元妻サラという2人の女性のあいだで揺れるディラン。
●ジュード・クイン(ケイト・ブランシェット)
65〜66年、エレクトリックなロックへと転身を遂げた頃のディラン。本作のメインで、ウィンスレットは頑張っているが、途中から、どうしてもケイト・ブランシェットにしか見えなくなって困った。
(『ブリンギン・イット・オール・バック・ホーム』『ハイウェイ66リヴィジテッド』『ブロンド・オン・ブロンド』)
●ビリー・ザ・キッド(リチャード・ギア)
66年のバイク事故後、ウッドストックで隠遁生活を送っていた頃のディラン。ミスキャスト…。
(『ジョン・ウェズリー・ハーディング』『ナッシュヴィル・スカイライン』『パット・ギャレット&ビリー・ザ・キッド』、ローリングサンダー・レヴュー)

 何はともあれ、サウンドトラックがものすげえ。
 ソニック・ユース、ヨ・ラ・テンゴ、テレヴィジョンのトム・ヴァーレイン、ウィルコのジェフ・トゥイーディー、元ペイヴメントのスティーヴン・マルクマスと、完全にそっち方面の面々がずらりと並ぶ。またこのサントラのためだけに結成されたザ・ミリオンダラー・バッシャーズのメンツは、リー・ラナルド&スティーヴ・シェリー(ソニック・ユース)、ネルス・クライン(ウィルコ)、トム・ヴァーレイン、ジョン・メデスキー、スモーキー・ホーメル、トニー・ガルニエ(現ディランバンドのベース)。
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by ichiro_ishikawa | 2007-12-24 00:19 | 音楽 | Comments(1)  

Commented by Tambourine Man at 2007-12-24 22:11 x
贔屓のBen WhishawがKieth に続いてのDylan役。ジャンキー顔ってこと?TRAILER見たら予想以上の好みに仕上がってました。そそられる…
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