hear me talkin' bout Hip Hop


 俺が、実は大のHip Hop(RAP)好きだということを知っている人は、80年代後半から90年代前半にかけて俺と交際があった人で、そのほとんどはすでに故人だから、大抵の人にとっては「おや、意外」ということになろうし、そも、その「俺」って誰? と訝る人がそれ以上に多くいることは、変人の皮をかぶった常識人である俺には、重々分かっている。

 俺は71年生まれだから物心がついた14歳の時には、すでに海外においてロックは下火だった。いわゆるニューウェイヴのムーヴメントが終焉を迎え、MTVがすっかり市民権を得た頃。それでも、エルヴィス・コステロは健在だったし、ザ・スミスやU2、その後もストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデーズ、ラーズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが登場し、アメリカではR.E.M.やソニックユース、ナヴァーナ、ペイヴメントらが出て来たから、かなり同時代のロックは充実していて、同時に60〜70年代の音楽をひも解く作業にも忙しかったから、そんなロック下火の状況を憂いてる暇はなかった。

 そんな中、初期ロックのような“勃興感”、爆発力でもって、ミュージックシーンを跋扈(ばっこ)していたのが、ヒップホップとエレクトロ・ミュージックだった。ロックを求めてロンドンに渡った92年は、街中がテクノとヒップホップに席巻され尽くしていて、「あれ?」と拍子抜けしたものだ。ロックは明らかに流行遅れになっていた。基本的に流行に左右される質ではない俺でも、その“グワッと何かが始まっている感”には、惹き付けられずにはおれなかった。

 ヒップホップは70年代末に勃興しており、俺が飛びついた時にはすでに音楽専門誌でも十分話題になっていたので、ロックはもちろんヒップホップにおいても俺は遅れて来たファンなのだが、ヒップホップが自分にとって最も響く部分というのは、そのメッセージやギャング的なライフスタイルではなく、「英語」のノリだ。
 高校時分に「小林克也のアメリ缶」を聞いて英語を学んだとき、小林克也の英語はラップだった。英語の、あの変な母音と、子音の連なり、ハネる感じに魅力を感じたものだ。英語の特徴を、日本語との違いにスポットを当てていうと、まず母音の種類が多い事、子音がそれぞれ独立している事、すべての言葉にアクセントが付く事の3つだ。日本語にない母音は聞き取れないし、独立して鳴らされる子音の連なりは、とても日本語耳には追いつけず、言葉の中、文の中でのアクセントのつかない部分は看過されがちだ。どうでもいいか。というか、知ってるか。
 というわけで、マイ・フェイヴァリッ・ヒッホッ(78〜94)、ベスト5。

13.My Philosophy / Boogie Down Productions (1987)
あのKRS ONEを擁した、ブロンクスを代表するオールドスクールの超大型ユニット。87年の名作『Criminal Minded』をリリース後、ストリートの喧嘩の仲裁に入ったメンバーの、スコット・ラ・ロックは射殺された。こういう切った張った感も、ヒップホップの凄さだ。
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12.Straight Outta Compton / NWA (1988)
アイス・キューブ、Dr.ドレーを擁したギャングスタ・ラップのパイオニア。
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11.Planet Rock / Afrika Bambataa (1982)
エレクトロファンクの先駆けにして、クール・ハーク、グランドマスター・フラッシュと並ぶ、ヒップホップの創始に関わった3大DJのひとり。さらにハウス、デトロイト・テクノなどのエレクトロミュージックにも影響を及ぼした重鎮。
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10.Boom Shake The Room / DJ Jazzy Jeff and The Fresh Prince (1992)
初めて訪れたロンドンでこの曲がずーっと1位だったのには閉口した。The Fresh Princeは、ウィル・スミス。
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9.Sure Shot / Beastie Boys (1994)
ピースティ・ボーイズは白人だけに、すごくポップで、スタイルから入っているところがいい。多分インテリだ。
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8.The Message / Grandmaster Flash & The Furious Five (1979)
グランドマスター・フラッシュは、アフリカ・バンバータ、クール・ハークと並び、ヒップホップの創始に関わり、スクラッチを発明した人物と言われている。このオールド・スクール感が俺は好きなのだった。
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7.Walk This Way / Run-D.M.C featuring Aerosmith (1986)
ロックとヒップホップの政権交代劇をビデオクリップによって見せつけた。でも、「Walk This Way」というスティーヴン・タイラーのだみ声の迫力はすげえし、洒落がわかっていて良い。
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6.Subterranean Homesick Blues / Bob Dylan (1965)
ディランの曲はほとんどがラップっちゃあラップだ。
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5.It's The End Of The World As We Know It (and I Feel Fine...) / R.E.M. (1987)
この名曲も、ラップっちゃあラップだった。ちなみにマイケル・スタイプはモリッシーの唯一の友達。そしてマイケル・スタイプが凄くおしゃれだという事に気づくのは良い事だ。
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4.Loser / Beck (1994)
ロックで唯一ヒップホップに対抗できたのがベックだ。これが出た時はレコード屋に勤めていたのだが、この輸入盤のシングルが飛ぶように売れていたのを思い出す。
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3.Fight The Power / Public Enemy (1989)
最高にカッコいい。低い声がチャックD、高いのがフレイヴァー。
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2.Nuthin' But A G Thang / Dr. Dre featuring Snoop Dogg (1992)
えれえかっけえ。ドスの効いた低い声がDr.Dre、背と声が高いのがスヌープ・ドギー・ドッグ。4分40秒ごろに出て来る子供は可愛い。
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1.Rapper's Delight / Sugarhill Gang (1978)
Chicの「Good Times」をサンプリングしてできた、ヒップホップの金字塔。デカ、デブ、チビのバランスがいい。あと、英語の音が面白い。i said a hip hop the hippie the hippie to the hip hip hop, a you dont stop the rock it to the bang bang boogie say up jumped the boogie to the rhythm of the boogie, the beat.
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by ICHIRO_ISHIKAWA | 2008-02-18 14:25 | 文学 | Comments(1)  

Commented by CASE at 2008-02-19 01:10 x
確かに、意外っちゃあ意外。
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