2017年 09月 02日 ( 1 )

 

音楽と文学と政治


音楽と文学といふのが40年来の趣味であるが、それらは生き方や信念と密接であるため、趣味といふと少し軽いのであるが、実際、趣味であり、嗜好性が強く、俺が好きなものがいいものといふ態度の中に存してゐるものである。

一方、政治といふのは、生活、文化の管理である。完璧を求めず平均性に重きを置き、人々の暮らしをより良く保つていく仕事だ。
俺はその仕事自体に携はつてをらず、政治家は嫌ひだけれど実際には、選挙によつて選んだ政治家にその役割を任せてゐる。

ところで、政治を扱ふ音楽、文学といふものが多くあり、たまに物議を醸すが、その議論は大抵くだらない。

たとへば、音楽に政治を持ち込むな云々。
音楽が政治を扱つてなんら問題はない。時の政権批判であれ、感謝であれ、反戦表明であれ、なんでも構はない。音楽は音楽だ。

たとへば、文学は絵空事だ云々。
その通りだが、絵空事で何ら問題はない。文学は文学だ。

どちらにしても、政治を扱ふ音楽や文学は、政治そのものではないといふことが重要だ。音楽や文学は政治的な実効力を一ミリも持たない。何より、完璧を求めず平均性に重きを置き、人々の暮らしをより良く保つていくものではない。

その点を踏まへてゐないから、音楽や文学が政治的に問題となるとき、いつだつてそれは的外れだ。

音楽や文学が政治を扱ふとき、説教くさくなることがある。あるひは、あたかも音楽や文学によつて政治的な実効力を行使させようといふ意志が内在することがある。さうすると得てして、その政治的妥当性に焦点が移行して、音楽的、文学的なクオリティが下がりがちだ。だからさういふ意味で、音楽的、文学的なクオリティの低さとして、批判されることは別によい。ただ、政治的な実効力の無さを批判することは的外れだ。

音楽や文学は音楽や文学であり、それを享受する人間の精神の根本を揺さぶるものだ。つまり政治とは一番遠いところにある。
ただ、政治を行うのも政治家ひとりひとりの精神であり、音楽や文学は政治家の精神も揺さぶるので、さういふ意味で言ふ限りにおいては、最も実効性のあるものである。

by ichiro_ishikawa | 2017-09-02 20:55 | 音楽 | Comments(0)