カテゴリ:音楽( 394 )

 

U2最新シングル「VeRTigo」が凄い

U2最新シングル「VeRTigo」が、ロックの最新アンセムになった理由。

c0005419_2138153.jpg

●3分
●ド・キャッチー(ポップ)
●カッコイいいギターリフ
●シンプルなコード進行
●ソウルな歌詞
●タイトでグルーヴィーなリズム
●アメリカンロック伝統のAB形式で、かつフックの効いた曲構成

以下、すげえ点を曲の時系列で具体的に見てみよう。

0.00 ドラム、ラリー・ミューレン Jr.のバチでのカウント
0.01 出だしのジ・エッジのミュートカッティング
0.05 イントロにからんでくるボノのカウント
   「ウーノ、ドス、トレーズ、ドッコイショー!」※
0.07 続くジ・エッジの激カッコいいディストーション・ギター・リフ

つまり、ここまで7秒ですでに決まり。いわゆる秒殺というやつだ。

0.10 歌に入ってからのジ・エッジのあまり弾かないミュートカッティングと、その入って来方(きかた)
0.10 その時のアダム・クレイトンのベース・リフ(2回目のA−G#−Gはオクターブ上がる)
0.22 サビのボノのボーカルとキャッチ−なメロディ、とスペイン語の間の手    
   (Hello !、Where is It !の意)
1.10 2番でAメロが展開するときのジ・エッジのコーラスがかったディレイ・ギター
1.17 そこからサビに突入するときの歌詞
   「スゥィーンギング・トゥ・ザ・ミュージック、スゥィーンギング・トゥ・ザ・ミュージック」
1.50 と、それにかぶさる「Oh、Oh」のコーラス
1.51 サビでのボノのボーカルに絡んで来るバック・コーラス
2.20 間奏のジ・エッジのシンプルなギター
3.00 最後の「イェー、イェー、イェー」の歌詞と意味、そして曲の終わり方(果て方)

基本的に「イェー」とか「ベイビー」といった歌詞を信じる。
一歩間違えれば、威勢はいいが内容のないキッズ・チューンになってしまうが、
それがU2から発せられると、ちゃんとロックになるから不思議だ。
40歳をゆうに過ぎてもロックであるということに驚きだ。

※ボノのカウントはスペイン語で「Unos dos tres catorce」で、つまり「1、2、3、14」、最後が14なのは単なる洒落か、あるいは聖書的なちょっとした意味があるのかどうか。

c0005419_21435467.jpgc0005419_21433965.jpg
シングル「VeRTigo」


収録アルバム
『How To Dismantle An Atomic Bomb』


   

by ichiro_ishikawa | 2005-01-20 21:48 | 音楽 | Comments(2)  

ザベストテン(アメリカ編)

続編。
「俺(ギターロック好き、外国作はあまり深く聴いていない、といってもよい)が好みそうなロックの大名盤を教えてくれ」という他者からの依頼に真っ向から応えてみた。まず、普通にセレクトしていったら全部で100枚ぐらいになるが、これでは依頼の主旨にそぐわないので“バッサバッサ”と大鉈で削っていったということを付記せずにはおけない、ということを踏まえて参照されたし。また、いわゆるブルース、R&B、ソウルは入れてない(が、いずれのアルバムも、ロックである以上、ブルーズやR&Bの影響が濃いのは言わずもがな)。
※リリース順 ※1アーティスト1枚 ※コメントは随時更新予定


1『Mr. Tambourine Man』The Byrds (1965)c0005419_14461810.jpg
61〜65年ボブ・ディラン×65年ビートルズ=ザ・バーズ。ロジャー・マッギンのリッケンバッカー12弦ギターがすげえいい。



2『Blonde On Blonde』BOB DYLAN(1966)c0005419_14453129.jpg
アメリカのジョン・レノンことボブ・ディラ夫の7作目。ほか、『highwy61 Revisited』(1965)『Bring It All Back Home』(1965)『Blood On The Tracks』(1975)もド名盤。


3『Pet Sounds』The Beach Boys(1966)c0005419_14573279.jpg
偉大なるノイローゼ、ブライアン・ウィルソンが独りで作った、じわじわくる大エヴァーグリーン・アルバム。コーラスの美しさは言わずもがな、メロディーも素晴らしい。


4『The Velvet Underground & Nico』The Velvet Underground (1967)c0005419_1458143.jpg
60年代ニューヨークの質感がすごくいい。本当のことを言うと、2nd『White Light / White Heat』、3rd『Velvet Underground』がすごくいい。


5『Buffalo Springfield Again』Buffalo Springfield (1967)c0005419_14455615.jpg
ニール・ヤング、スティーヴ・スティルス在籍の短命バンドの2nd。カントリー、フォーク、R&Bぎっしりの米ロックの超名盤。ニール・ヤングのソロ、“クロスビー、スティルス、ナッシュ”も外せない。


6『Groovin'』The Young Rascals(1967)c0005419_14584217.jpg
イタリア系アメリカン・バンド。ソウルフルでハスキーなヴォーカルがいい。曲もグルーヴィでメロディアス。


7『Electric Ladyland』Jimi Hendrix(1968)c0005419_1551246.jpg
3rd。ノエル・レディング、ミッチ・ミッチェルとのエクスペリエンス名義の1st『Are You Experienced ?』、2nd『AXIS : Bold As Love』(1967)も同様に素晴らしい。このオリジナルジャケ盤は今は入手困難。


8『Kick Out The Jams』MC5(1968)c0005419_14511433.jpg
デビュー盤にしてライヴ録音。ストレートで粗削りな勢いが凄い。ザッツ・パンク。ロンドン・パンクがスウィートに過ぎるように感じるのに比べ、どこかピリッとした、引き締まった感じがいい。


9『Bitches Brew』Miles Davis(1969)c0005419_14513659.jpg
ジャズだけどロックといってもいい。不穏でおどろおどろしい雰囲気がいい。緊張感のある演奏でリラックスできないところがいい。


10『The Band』The Band(1969)c0005419_14571293.jpg
傑作『Music From Big Pink』(1968)に続く2nd。ディス・イズ・アメリカン・ロック。マーティン・スコセッシの映画『ザ・ラスト・ワルツ』もあわせて見た方がいい。


11『The Stooges』The Stooges(1969)c0005419_14575239.jpg
イギー・ポップ率いる元祖パンク。スウィートでないザクッとした質感がいい。『Fun House』 (1970)『Raw Power』(1973)もいい。イギー・ポップのソロもいい。


12『There's A Riot Goin On 』SLY& THE FAMILY STONE(1971)c0005419_1512573.jpg
ブラックミュージックとロックの壁を壊したバンドで彼らの最高傑作。ファンクの原点。邦題『暴動』。


13『Marquee Moon』Telvision(1977)c0005419_14564549.jpg
ヴェルヴェッツとR.E.M.、ソニック・ユースの間にいるNYパンクの裏のボスの1st。2本のギターを中心にしたまるで纏まりのないラフなサウンドとフランス象徴派詩人の影響が見られる歌詞がカッコいい。


14『Sign 'O' The Times』PRINCE(1987)c0005419_14542956.jpg
80年代までのアメリカン・ミュージックが全部詰まっている。プリンスはすごくいい。『Dirty Mind』(80)もいい。


15『Document』R.E.M.(1987)c0005419_14465350.jpg
ピーター・バックのギター・楽曲、マイケル・スタイプの歌詞・ボーカル、完璧。全作品すごい。


16『Daydream Nation』Sonic Youth(1988)c0005419_14562317.jpg
ロックの金字塔。完璧。すごい。カッコいい。


17『Blood Sugar Sex Magik』RED HOT CHILI PEPPERS(1991)c0005419_14551510.jpg
ベースがすごいことになっている。ギターリフのカッコ良さなど、どこをどう聴いても素晴らしい。全米大ヒットシングル「Give It Away」収録。メロディに力を入れて国民的バンドになった『Californication』もとてもいい。


18『Never Mind』NIRVANA(1991)c0005419_14531741.jpg
カート・コバーンが爆発した2nd。トータルとしては3rd『In Utero』(1993)の方がいいが、「Smells Like Teen Spirit」が入っているのでこれにならざるを得ない。


19『RAGE AGAINST THE MACHINE』
RAGE AGAINST THE MACHINE(1992)
c0005419_14545120.jpg
トム・モレロのギター(リフ系)、ザック・デ・ラ・ロッチャのラップも最高。ヒップホップ的なロック。


20『Are You Gonna Go My Way』Lenny Kravits(1993)c0005419_14485418.jpg
キャッチ−なブラック・ロック。1st『Mama Said』2nd『Let Love Rule』もすごくいい。


21『Ill Communication』Beastie Boys(1994)c0005419_14442622.jpg
白人ヒップホップ。ラップとギター、ドラム、ベースがカッコいい。


22『Orange』Jon Spencer Blues Explosion(1994)c0005419_14474942.jpg
ブルースが爆発。ベースがいないスカスカ感もいい。『Now I Got A Worry』(1996)も。


23『Mellon Collie and the Infinite Sadness』
The Smashing Pumpkins(1995)
c0005419_14555570.jpg
アメリカン・オルタナティヴ・ロックの雄の3作目で2枚組。前2作以上にBilly Coganのソングライターとしての力量が前面に。ハードでエモーショナルな1枚目とメロディアスでメランコリックな2枚目の対比がいい。


24『Odeley』Beck(1996)c0005419_14451244.jpg
完璧。すごい。カッコいい。顔は可愛い。


25『Is This It』The Strokes(2001)c0005419_1459323.jpg
シンプル・イズ・ベスト。ニューヨークの音。

by ichiro_ishikawa | 2005-01-19 15:04 | 音楽 | Comments(1)  

ザベストテン(イギリス、アイルランド編)

「俺(ギターロック好き、外国作はあまり深く聴いていない、といってもよい)が好みそうなロックの大名盤を教えてくれ」という他者からの依頼に真っ向から応えてみた。まず、普通にセレクトしていったら全部で100枚ぐらいになるが、これでは依頼の主旨にそぐわないので“バッサバッサ”と大鉈で削っていったということを付記せずにはおけない、ということを踏まえて参照されたし。また、いわゆるプログレッシヴ・ロック(ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエスetc.)は入れてない。
※リリース順 ※1アーティスト1枚 ※コメントは随時更新予定

1『Kinks』The Kinks(1964)c0005419_170424.jpg
このバンドには膨大な数の作品があるため1枚選ぶのは無理。不滅のロッククラシック「You Really Got Me」収録の1stでお茶濁し。本当は、グレイテスト・ヒッツ的なもの、とりわけパイ・レーベル時代のコンピ盤がおすすめ。


2『Five Live Yardbirds』The Yardbirds(1964)c0005419_175038.jpg
1964年ロンドン・マーキークラブでの全曲カバーのライヴ作(デビュー作)。ホワイト・ブルース・ロックの名盤。ギターはエリック・クラプトン(本作発売前後に脱退)。キース・レルフのハープ、ポール・サミュエル・スミスのベースが物凄い。


3『The Who Sings My Generations』The Who(1965)c0005419_1754649.jpg
1st。モッズ(60年代イギリスの、R&B好きの不良)の象徴。不滅のロッククラシック「My Genaration」収録。ピート・タウンゼントのギター、キース・ムーンのドラムが凄い。


4『Them Again』Them(1966)c0005419_1752138.jpg
ヴァン・モリソンのバンド。“ヨーロッパの黒人”とも言われるアイリッシュのロック・サウンドの結晶。50曲入っているコンピレーション盤『The Story Of Them Featuring Van Morrison』がおすすめ。


5『The Beatles [White Album] 』The Beatles(1968)c0005419_1762361.jpg
曲数が一番多いということで。


6『Ziggy Stardust』David Bowie(1972)c0005419_1771697.jpg
いいメロディの名曲が詰まった大ポップ・ロック・アルバム。グラマラスなカッコよさ。プラスティックソウル『Young American』、ヨーロッピアンデカダンス『Low』『Heroes』、ポップ『Let's Dance』など、80年代初期までどれもいい。


7『Roxy Music』Roxy Music(1972)c0005419_17303.jpg
いかがわしい、デカダンなロンドンの香り漂う。ブライアン・イーノ在籍時の2作がいい。だが、以降も実はすごくいい。後期の『 Fresh Blood』『Avalon』はまたクールな趣きですごくいい。


8『Exile on Main St.』The Rolling Stones(1972)c0005419_16593359.jpg
『Black & Blue』までどれも名盤だが、なんだかんだいってこれが一番。ダウン・トゥ・アースな気分の時、ストーンズはビートルズを凌駕する。


9『Physical Graffiti』Led Zeppelin(1975)c0005419_1765251.jpg
ギターリフ・ロックバンド、ゼッペリン中もっともファンキーな傑作。幼稚なリフだがキャッチーで凄くいい。


10『This Yeas Model』Elvis Costello(1978)c0005419_16585254.jpg
2nd。ひねりの効いたメロディアスなポップ・ロックが全編に渡って展開。声とメロディが凄い。ギターの質感もいい。ベスト盤『Girls! Girls! Girls! 』がおすすめ。


11『Argy Bargy』Squeeze(1980)c0005419_1732930.jpg
ブリティッシュ・ポップ特有の、どこかひっかるところのあるメロディーラインがいい。どのアルバムもはずれ無し。ディフォード&ティルブルックのソングライティング・チームは、大袈裟でなくレノン&マッカートニー級。


12『The Smiths』The Smiths(1986)c0005419_174238.jpg
ジョニー・マーのギター・楽曲、モリッシーの歌詞・ボーカル、完璧。全作品すごいが、まずは『Singles』がおすすめ。


13『The Joshua Tree』U2(1987)c0005419_176337.jpg
ジ・エッジのエッジ効いたカッティング・ギターと、ボノのソウルフルなボーカル。完璧。『Boy』『October』『War』を始めどの作品もすごい。最新作もとんでもないことになっている。


14『The Stone Roses』The Stone Roses(1989))c0005419_1744218.jpg
60s的ポップなメロディ、不穏なグルーヴ。完璧。2ndも素晴らしい。必聴。


15『Pills 'n' Thrills and Bellyaches』Happy Mondays(1990)c0005419_1701831.jpg
ならず者たちのどんちゃんパーティが不穏なグルーヴで……。


16『Loveless』My Bloody Valentine(1991)c0005419_171682.jpg
ギター・ロックの金字塔。素晴らしい。すごいギター。カッコいい。


17『『Suede』 Suede(1992)c0005419_1735353.jpg
ブレット・アンダーソン(vo)&バーナード・バトラー(g)のグラマラスなコンビネーションはすごい。ポップ。


18『Definitely Maybe』OASIS(1994)c0005419_1715355.jpg
1st。2nd『(What's The STory) Morning Glory ?』(1995)も素晴らしい。以降はよろしくない。でもそれによってこの2作が色褪せるなんてことはもちろんない。


19『Bends』RADIOHEAD(1995)c0005419_1722442.jpg
ギター・ロックの金字塔。2nd。『OK Computer』(1997)も素晴らしい。『キッドA』も、そして『アムニージアック』も超いい。マニアにいくならニール・ヤングの「シナモン・ガール」を演っているブートを捜すのもいい。


20『Dig Your Own Hole』The Chemical Brothers(1997)c0005419_16572312.jpg
「Block Rockin' Beat」はデジタルなロックの名曲。痙攣する。


ちなみに、アメリカ編は30にならざるを得ない。

by ichiro_ishikawa | 2005-01-17 17:56 | 音楽 | Comments(6)  

ポップとは

 10〜20代というのはとにかく得体の知れない不満をなかば故意に燃やし続ける季節だというのは、誰にも当てはまるとは限らないが、自分はまぎれもなくそうであった。
 それは、えてして、すべて逆にいくという極めて幼稚なレベルで始まる。
 明るく前向きに声が大きくという社会的に理想的な人物像があるとしたら、とにかく暗く後ろ向きでぼそぼそとマーマー(つぶやく)ことを良しとした。テレビをはじめとする大メディアから漏れ聞こえるすべてをシャットアウトし、社交界を蔑視し独り地下室で死んだ人とのみ交わった。音楽や映画に関しても、大国アメリカ的なるものに背を向けることから始まり、イギリスのインディー・ミュージックやヨーロッパのカルト作品に耽溺した。
 30代に突入し、てめえのそれまでの人生を人並みに俯瞰できる目を獲得したとき、それらがいかにカッコ悪いか、が分かった。
 否定も肯定も、どちらにしても同じことだった。

 大滝詠一が33歳で音楽史上類い稀なる大ポップアルバム『ロング・バケイション』を作ったというのは、興味深いことだ。いうまでもなく大滝は、20代でそれまでの歌謡ポップ界を全否定して、はっぴいえんどで活動し、不滅のロックアルバム『風街ろまん』を作った人間だ。以後も自身のレーベルを立ち上げたり、おのが表現欲求に忠実な活動をしつこく続けた。そこから『ロング・バケイション』への跳躍、その歩幅が気になるのである。
 『ロング・バケイション』は大ベストセラーになり、大滝の代名詞と化した。親しみやすいメロディーと穏やかなボーカル、これぞポップ・ミュージックの核心をズバッとついた見事な傑作である。その奥に広がる実に深遠な世界、というのは確かに存在するけれど、とりあえずどうでもいいことだ。その表面の響き、そこがなぜかくもポップでなければならなかったか。それはやはり、大衆とのコミュニケーション欲求であった。てめえが独りもんもんと地下室で実験していたことが大衆とどう交わるのか、どう響くのか、どう揺り動かすのか、大滝はこれを試した、試さざるを得なかった。
 アホは天才の言う事を理解できない。天才にはアホの言うことなどまさにアホらしく、凡人の考えなど退屈でしかない。凡人はアホを蔑視し、天才を不必要に畏怖する。そんな彼らに共通に響くあるものとは何か。
 否定も肯定もつまらない。スタイルというものがどうも信用できない。そうしたもの超えた、どんなところからも遠く離れながらどこにでもいるという状態、こうしたものに、強く惹かれた。
 大滝は自分の中のアホと天才、そして最も多くを占める凡才、それらすべてを満たしうる創造を行った。『ロング・バケイション』はその結晶である。

 ジャケットを飾り、曲を大音量で聴き、ともに歌い、奏でる。歌詞(松本隆がその多くを手掛ける)を全文書き取りし、コード進行やメロディを分析し、バックグラウンドとなったであろう、フィル・スペクターなどのアメリカンポップス、ビートルズ、ビーチ・ボーイズなどのロック、プレスリーのセクシャリティ、アメリカン・ルーツミュージックといった音楽たちをことごとく参照する。そうやって、今、この『ロング・バケイション』という普遍に身を投じている次第だ。
c0005419_20461912.jpg




   
             『A LONG VACATION』大滝詠一

by ichiro_ishikawa | 2005-01-12 20:48 | 音楽 | Comments(6)  

ピーター・バラカン「アメリカン・ルーツミュージック探訪」

 1月8日、東京都写真美術館2Fカフェ・シャンブルクレールで、ピーター・バラカンの講演「アメリカン・ルーツミュージック探訪」が行われた。2回連続の第1回。今回は、「1920年代から30年代まで」ということで、その時代のアメリカ音楽のレコードを流しながら解説していくというもの。全34曲。
 その美術館で行われている写真展『明日を夢見て アメリカ社会を動かしたソーシャル・ドキュメンタリー』にちなんだ企画だ(写真展については、新世界ニューヨークというブログに詳しい)。去年から、ちょうどルーツミュージックを繙いていた矢先、しかもピーター・バラカンの著作が筆者をしてそうせしめた直接のきっかけだったということで、すぐさま駆け付けた。写真展の方は、19世紀後半から20世紀前半のアメリカの風景、特に南部とニューヨークの展示で、時代、場所的にまさにルーツミュージックが生まれ発展していった、その視覚的事実の羅列だったわけだ。メンフィス、テュペロの民家の写真があって、「ここでエルヴィス・プレスリーは黒人と精神的なファックをしていたわけか…」と、写真の前でしばらく佇み、当時に思いを馳せていた。テュペロの農村をエルヴィスと一緒に駆けずり回った。

 講演で聴くことが出来た音楽は、ブルース、フォーク、カントリー、ジャズといった様々なテイストがブレンドされていて、一口に語るのが憚られる、未分化なものが多い。音楽的には未熟だけれど(もちろん、今から見れば、ということ)、その荒削りなザックリとした質感が実に刺激的だった。また、当時はまだ電気楽器がないから、アコースティック・サウンドなのだが、ビートが強く効いていて、のちにリズム&ブルースに発展していくそのルーツであるということがよく分かった。

 アメリカン・ミュージックというのは、簡単に言えばアフロ・ビートとヨーロッパの民族音楽の融合だ。そもアメリカという国は、ヨーロッパとアフリカの幸福な出会いによって生まれた。
 音楽の歴史的な部分に強く惹かれる。それは、その時々の音楽好きたちの心の有り様がリアルに明かされるからだ。彼らは、異物との出会いによって強い内省を起こし、異物を必死に模倣し、やがて凌駕していく。音楽に限らず表現においては、この、他者に驚く、という事態が必ず起こる。歴史を繙いていくと、なぜ彼らがそうした音楽を作り出したのか、作り出したい衝動に駆られたのか、そういう気持ちを共有できる。これがスリリングだ。
 アメリカのヨーロッパ移民とアフリカ移民がお互い触発し合い、ブルース、ジャズ、ゴスペル、カントリー、フォークを生み、リズム&ブルースへと発展させていく。そんなR&Bに驚いたビートルズらイギリス人。逆にビートルズに驚いたボブ・ディラン。バッファロースプリングフィールドが「分かった」日本人は、はっぴいえんどを作った。こうした長い長い音楽の歴史が、確実に、今につながっている。
 ジャンル別けという行為は面白い。それは、マーケティングの手段としては格別騒ぐことはないのだけれど、前述したような、ミュージシャンが味わった他者への驚きを感じてみる、という意味ではとても刺激的なのである。いいものはいい、音楽に理屈はいらない。確かにそうなのだけれど、その芳醇な音楽を深く味わってくと、なぜいいのかを考えて自分を納得させずにはいられなくなるし、他人に伝えるためには理屈、すなわち言葉によって、その「いい、というそれ」を整えていくという行為がやはり必要なのだ。

 要は、音楽を抱きしめたいのである。ルーツを繙き、歴史のつなぎ目に思いを馳せることで、それは少しは達成できる。
c0005419_21253530.jpg


→The Definitive Charley Patton
(録音1929.06.14 - 1934.02.01)
バラカンが紹介した曲にThe Masked Marvel名義の「Mississippi Boweavil Blues」があったが、The Masked Marvelとは、このチャーリー・パットンのこと。早速購入、聴いた。すごくいい。これを聴いてベック(・ハンセン)の凄さもまたわかった次第。

by ichiro_ishikawa | 2005-01-11 21:33 | 音楽 | Comments(2)  

2004年ベストアルバム15

c0005419_3203237.jpg
1.Delivery Man / Elvis Costello


c0005419_320941.jpg
2.How to Dismantle an Atomic Bomb / U2


c0005419_3205526.jpg
3.Sonic Nurse / Sonic Youth


c0005419_3212343.jpg
4.Around the Sun / R.E.M.


c0005419_1771989.jpg
5.With the Lights Out / Nirvana


c0005419_176439.jpg
6.You Are the Quarry / Morrissey


c0005419_1992411.jpg
7.To the 5 Boroughs / Beastie Boys


c0005419_3215761.jpg
8.Kasabian / Kasabian


c0005419_3223255.jpg
9.Franz Ferdinand / Franz Ferdinand


c0005419_3221543.jpg
10.22 / 22-20's


c0005419_1910195.jpg
11.Musicology / Prince


c0005419_3264259.jpg
12.Damage / Blues Explosion


c0005419_199044.jpg
13.Encore / Eminem


c0005419_1994397.jpg
14.Over the Counter Culture / Ordinary Boys


c0005419_1910293.jpg
15.Always Outnumbered, Never Outgunned / The Prodigy



「聴いた回数÷入手してから経った日数」によって選出。モリッシーが意外と少なかった。エミネムはゲップの音がなければもっと上位に食い込んだはず。

c0005419_13124921.gifc0005419_13123990.gifc0005419_13122454.gif
日本編・第1位:
『ALL NIGHT POTATO LONG』『夏はあきらめた』『BOOT Paint it Black』/ バンバンバザール

by ichiro_ishikawa | 2004-12-31 03:29 | 音楽 | Comments(2)  

氷室京介 TOUR 2004 "SOUL STANDING BY〜"最終公演 国立代々木競技場第一体育館 2004年12月25日

c0005419_0393839.jpg
1.VIRUS  
(from『Follow the wind』2003)
2.Weekend Shuffle
(from『Follow the wind』2003)
3.Claudia
(from『Follow the wind』2003)
4.NATIVE STRANGER
(『I・DE・A』1997)
5.WILD AT NIGHT
(『HIGHER SELF 』1991)
6.FOOL MEN'S PARADE
(from『Follow the wind』2003)
7.MOON
(『HIGHER SELF 』1991)
8.DON'T SAY GOOD BYE
(B-side of the single「VIRGIN BEAT」1994, 『SHAKE THE FAKE』)
9.YOU'RE THE RIGHT
(B-side of the single「KISS ME」1992, 『MEMORIES OF BLUE』1993)
10.LOVER'S DAY
(B-side of the single「JEALOUSYを眠らせて」1990)
11.STAY
(『MISSING PIECE』1996)
12.Wild Romance
(single 2004)
c0005419_23639100.jpg
13.GONNA BE ROGUE?
(B-side of the single「Girls Be Glamourous」2001)
14.LOVE SHAKER
(from『Follow the wind』2003)
15.Girls Be Glamorous
(『beat haze odyssey』2000, single 2001)
16.To The Highway
(BOφWY『BOφWY』1985)
17.No! N.Y.
(BOφWY『Moral』1982)
18.Angel
(single 1988, 『FLOWERS FOR ALGERNON』1988)

encore
19.REVOLVER
(B-side of the single「Girls Be Glamorous」2001, 『Ballad 〜La Pluie』2001)
20.Still The One
(『MELLOW』2000)
21.ダイヤモンド・ダスト
(single 1999, 『MELLOW』2000)

encore 2
22.Only You
(BOφWY『Beat Emotion』1986)
23.ROXY
( 『FLOWERS FOR ALGERNON』1988)
24.TASTE OF MONEY
( 『FLOWERS FOR ALGERNON』1988)
25.KISS ME
(single 1992, 『MEMORIES OF BLUE』1993)

encore 3
26.BEAT SWEET
(BOφWY『Beat Emotion』1986)
27.RENDEZ-VOUS
(BOφWY『PSYCHOPATH』1987)

ハイライトは5回。
ひとつ目は、7.「MOON 」から「DON'T SAY GOOD BYE」、「YOU'RE THE RIGHT」、「LOVER'S DAY」のミドル・バラッド特集。この辺は、シンガー/ソングライターとしての面目躍如。今回は、シングルのB面に収録された曲が多かった。氷室は、A面でキャッチーさを追求し(ポップ・アーティストであることにこだわる氷室の誠意)、B面で、メロディ・メイカーとしての自分を追及している。氷室のソングライティング能力はB面にあり、だ。超一流のポップ・ソングである。

2つ目は、16.「To The Highway」、17.「No! N.Y.」の、BOφWY連打。特に、布袋の「No! N.Y.」をやったという。これがDVD化されれば、また作詞者・深沢和明(元BOφWY/現・俳優)に印税が入る。

3つ目は、encoreの『Mellow』特集・「REVOLVER」「Still The One」「ダイヤモンド・ダスト」。椅子セットで、じっくりと唱った。『Mellow』は「大人しめの曲ばかりを集めたアルバム」という表現を本人はしていて、ライヴではほとんど披露しないことになっていたので、ここで聴けたのは嬉しい。『Mellow』こそ、氷室がビート・シンガーを脱した=BOφWYの呪縛から完全に抜け出た金字塔である。「名詞代わり」という一連のシングルは、ある意味ノベルティ・タイプの曲であり、氷室が本当に一番やりたいのは、『Mellow』のような楽曲群なのであろう。こうしたバラッドでこそ氷室は真価を発揮する。

そして、encore 2のまさかの「Only You」、「KISS ME」。「Only You」はキーを下げていたため、今ひとつだったが、披露したというだけでそれは価値あることだ。

最後に、「本日の公演は終了しました」のアナウンスのあとに始まったencore 3。「BEAT SWEET」、「RENDEZ-VOUS」。もう氷室は、普通にBOφWYをやれるようになった。

氷室京介は、どこにも属さない、あの居方(いかた)がすごい。
今回は、マイクというかPAの質が高かったのか、ヴォーカリスト、氷室京介の最高のステージが観れた。
あのとんでもない声が、よりクリアに場内に響いたように感じた。
氷室の本質はやはり、あの声にある。
氷室ならたとえ電話帳の朗読会でも、俺は行く。
あのソウルフルで、セクシーで、激しく、切なく、哀しいヴォーカルは、実は、ジョン・レノン以上であるということに、ロックファン、特に洋楽ファンは気付いてもいい。あのファッションやステージアクション、音優先の歌詞、世界観、歌謡曲チックなメロディ、ポップチャートでの活躍、ビジュアル系なる日本の恥ずべきジャンルを作ってしまったこと、などなどは、まったく取るに足らない、氷室というミュージシャンのほんの尻尾の数々である。あの、圧倒的な声量と声域、低音のセクシーさ、ハイトーンの伸びと艶やかさ、精確な音程。そうしたシンガーとしての才能にこそ、おそらく氷室自身も最も自負する、氷室の本質がある。

by ichiro_ishikawa | 2004-12-26 00:07 | 音楽 | Comments(3)  

ビートルズが生まれた背景

ルーツ・ミュージックを繙いているうちに、
ビートルズが生まれた背景を、わかりやすく書いてみたくなったので、書く。

【まず、R&Bありき——ロックンロール前夜〜誕生 1950年代】

30年代にエレクトリックギター、40年代にエレクトリックベースが発明され、ブルースやブキウギをベースに強く烈しいビートを注入した黒人音楽R&Bが誕生。

この黒人のカッコいい音楽に、白人も飛びつき、「模倣」。
これがロックンロールとなった。

エルヴィス・プレスリー、バディ・ホリー、エディ・コクラン(以上、白人)
チャック・ベリー、リトル・リチャード、ボ・ディドリー、ファッツ・ドミノ(以上、黒人)
といった面々がシーンを担う。

一方、白人メジャー・シーンでは、ミュージカルや映画音楽の流れで、ティン・パン・アレーと呼ばれるニューヨークのブロードウェイの一角から生み出される甘いポップスが流行。

そんな中……

【ロックンロール、死す→ブリル・ビルディング・ポップス隆盛】

58年にエルヴィス・プレスリーが徴兵され、59年にバディ・ホリーが飛行機事故で死に、リトル・リチャードが飛行機事故で九死に一生を得たショックで宣教師に転向、60年にチャック・ベリーが投獄され、エディ・コクランが事故死。シーンを担ったロックンローラーたちは文字どおり、消えたのだった。

ロックンロールの火は一気に消沈した。

ここで勃興するのが、ティン・パン・アレーのポップス。
ただし、ロックンロールの洗礼を受け、これまでの毒にも薬にもならないポップスは、深みを増した形で新しく生まれ変わっていた。
当時のポップス製造所は、ブロードウェイ1619番地のブリル・ビルディングという所にひしめいたため、ブリル・ビルディング・サウンドと総称される。

プロデューサー
●ジェリー・リーバー&マイク・ストーラー
50年代から活躍。黒人R&Bに影響を受けた白人。ドリフターズ、コースターズほかを輩出。黒いポップスを創造。

●フィル・スペクター
リーバー&ストーラーの元で修行。偏執狂的資質から、音を重ねまくりウォール・オブ・サウンド(音の壁)と呼ばれるサウンド・デザインを構築。ロネッツ、クリスタルズほかを輩出。大滝詠一のルーツ。

作詞・作曲家コンビ
●ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング
●バリー・マン&シンシア・ウェイル
●ニール・セダカ&ハワード・グリーンフィールド
●ジェフ・バリー&エリー・グリニッチ
●バート・バカラック&ハル・デイヴィッド

特徴は、やはり、R&BとR&Rの影響が強いこと。但し、大手レコード会社によるヒットチャート狙いなので、「ポップ」たることが主眼。R&B、R&R愛好家が、そうした外的制約を受けながら、創造したものが、このブリル・ビルディング・サウンドであり、その葛藤の結晶のなんと眩しいことよ。

そんな中、やはりイギリスやアイルランドでも、わかってる若者たちは、ブルーズ、R&Bに熱狂していた。つまり、イギリス版ブリル・ビルディング・サウンドが、ビートルズら港町リヴァプール・サウンド、ロンドンやブライトンのモッズであった。
ただし、直前というか同時に、アメリカでぼっ発したブリル・ビルディング・サウンドの「ポップネス」の洗礼を浴びていたということが大重要だと思う。
ブリルが、R&BやR&Rをまぶしたポップスだとすれば、
ブリティッシュ・サウンドは、ポップスのポップネスを昇華させたR&B、R&Rである。

要は、黒人と白人が何度も何度も交わってスパイラルに上昇していく過程で、大爆発を起こしたのがザ・ビートルズであった。

by ichiro_ishikawa | 2004-12-24 21:23 | 音楽 | Comments(0)  

ザ・ドリフターズ

 ソウル概要の旅が終わったことは前に書いたけれど、今、深化に向かっている。ソウルを深化させると、まずポップに行き着いた。
 ソウルは、アメリカ深南部で生まれたブルースがヴキウギ系ジャズなどの影響でリズム的に強化されR&Bとなり、そこにゴスペル的な唱法が取り入れられ、そのスタイルができた。というのが、その成り立ちだが、ブルースやゴスペル関係を繙いていきたいという欲求がつのる一方で、R&B〜ソウルと相互に影響を及ぼしあっていたポップの世界をまず詳らかにしなければという必要というか、てめえに対する使命感を感じる。
 スタックス、アトランティック、マッスル・ショールズ(スタジオ?)、モータウンといったレーベルに代表されるソウル・ミュージックを聴いていて思うのは、そのベースとして確かにブルース、ゴスペル、R&B(レイ・チャールズなどにはジャズも)といったルーツ・ミュージックの気配を感じるけれど、やっぱり一番大きいのはポップではないかということだった。音楽の内容的形態にはさまざまなジャンルというか冠がかぶせられるが、ポップというのはジャンルではない。ブルース(たとえば7th系、AA'B形式)やジャズ(スウィング、テンションノート、ブルーノート、即興など)という音楽的形態を普遍的なレベルに昇華させる作用、これがポップなのではないかと思う。ただそれは、誰にでも楽しめるようにシュガーコーティングするということではなく、豊じょうで実験性に富んだ音楽を、音楽的教養の有無や感性の敏鈍にかかわらず、その胸にダイレクトに訴えかけさせる工夫であって、それは他者とのコミュニケーションの意志に裏打ちされており、他者とのコミュニケーションとは、つまるところ、てめえとの問答、自己を深く掘り下げる作業に他ならない。これに成功すること、つまりポップであることは、真の意味で究極の自己錬磨だ。

 ソウル前夜の50年代当時のポップスは、ニューヨーク・マンハッタンの28番通りの一角、ティン・パン・アレーがその主たる発信源だった。そこのブリル・ビルディングという所で、さまざまなポップ職人たちがさまざまなポップスをプロデュースしていた。その中でも、最近のお気に入りは、ザ・ドリフターズだ。ドリフターズといえばローリング・ストーンズが1stでカバーした「アンダー・ザ・ボードウォーク」などで名前を聞き齧ってはいたものの、そこから本家に辿っていくことがこれまでなぜかなかった。今さらながらその世界に入っている。
 代表曲の「Save The Last Dance For Me」は「ラストダンスを私に」という邦題だけれど、その日本語では語の外に含ませている「Save」という言い回しがすごくいい。「Save」で、目的語が「The Last dance」とは。
 昔のコーラスグループというのはリード・シンガーがコロコロ変わるのだけれど、ドリフターズで言えば、ベン・E・キング時代のものが特に気に入った。そして、キモは、ドリフターズにはジェリー・リーバーとマイク・ストーラーという名ソングライター・タッグがバックについている、ということだ。
 1959年にペン・E・キングがリードシンガーとして加入してからの1stシングルは、ペン・E・キング、ジョージ・トレッドウェル、ラヴァー・バターソンの共作で、リーバー&ストーラーのプロデュースによる「ゼア・ゴーズ・マイ・ペイビー」。このリーバー&ストーラーのプロデュース力が凄い。ペン・E・キング一流のハイトーンによるリードのバックで、グループは違うキーでコーラスをつけている。またバックで延々と鳴っている調子はずれのティンパニーがすごく変だ。そしてメロディアスながらちょっとひねくれたメロディ。そうしたちょっとねじれた感覚を実験的に取り入れながら、全体として非常に親しみやすくサウンドデザイする手腕。c0005419_2333757.jpgこれぞポップという、このポップミュージックの見本ともいえる楽曲をはじめとして、「トゥルー・ラヴ、トゥルー・ラヴ」「ダンス・ウイズ・ミー」、「デイス・マジック・モーメント」「ラスト・ダンスは私に」といったシングルが立続けに連打されたのだから、これは凄すぎる。いやがおうでも「おおリーバー&ストーラー!」と発語せざるを得ない。
 「ラスト・ダンスは私に」が発売された1960年暮れに、キングはドリフターズを脱退し、後に「スパニッシュ・ハーレム」をリリースするが、この曲もリーバー&ストーラーがプロデュースをし、さらに作曲にはリーバーに加えフィル・スペクターが参加している。この曲はアリーサ・フランクリンのカバーもあるが、やっぱり曲自体が凄いのだと再認識。
 その後キングがてめえ独りで作った「スタンド・パイ・ミー」は、言わずもがなジョン・レノンの『Rock'n'Roll』でもカバーされている名曲。この背後にリーバー&ストーラーやフィル・スペクターがいるかどうかは今はわからない(後で調べて更新する)。余談だが、フィル・スペクターといえばMr.mono、ウォール・オブ・サウンドであるが、最近、フィル・スペクターのアレンジが気にいらねえと言って新生『Let It Be』が生まれたり、当のフィル・スペクター自身が殺人罪で投獄されたりで、「あのとんでもない才能にすっかり逆風が吹いてるな」と、ジュリー・エレクトロのボーカル&ギター小林崇にインタビューしたところ、「というか、ステレオになった時からずっと逆風」と至極まっとうな答えが返ってきたことを今思い出して一人苦笑した。

 リーバー&ストーラー、あるいはジェリー・ゴフィン&キャロル・キングといった、50〜60年代、レノン&マッカートニー以前(または、その同時代)のソングライター・チームに今、とても興味が涌いている。バート・バカラック&ハル・デイヴィス、そしてその前にコール・ポーターやガーシュウィンもいるし、この辺はまだまだ深い。近々、ポップミュージック・クラシック特集を本サイトで展開しようと思っている。当然、大滝詠一や山下達郎に話は及ぶだろうし、ことによると布袋寅泰や中村一義、そしてバンバンバザールも登場するやもしれぬ。

by ichiro_ishikawa | 2004-12-15 20:32 | 音楽 | Comments(5)  

エルヴィス・コステロ LIVE at 新宿厚生年金会館 速報!

 思いきりシンコペーティヴなボーカルアレンジで決めた3rd『Armed Forces』のオープニングチューン「Accidents Will Happen」で始まり、「Radio, Radio」「Blame It On Cain」「(I Don't Want To Go To) Chelsea」といった初期、70年代の曲から、「High Fidelity」、「Blood & Chocolate」といった中期、そして「13 Steps Lead Down」、「Sulky Girl」といった90年代のナンバー、そして最新作からは「Country Darkness」「Either Side Of The Same Town」、オーディエンスとのコール&レスポンスとなった「Monkey To Man」「The Delivery Man」「Bedlam」「Nothing Clings Like Ivy」、そして必殺の「There's A Story In Your Voice」を披露。普通、長いキャリアのミュージシャンは、初期〜中期あたりが最盛期で、ライヴでもその辺寄りの選曲を期待してしまうものだが、ことコスキヨに限っては、新作を聴きたいと思う。なぜなら常に最新作が最高傑作だから。時の経過によって全体を俯瞰する目を獲得してからはそれが最高かどうか変化はするが、少なくとも発売から1年間は最高傑作であり続ける。これはすごいことだ。だから、今回も新作からの曲を期待した。
 終始、ハイライトだったが、とりわけアカペラで始まった「I Can't Stand Up For Falling Down」ラスト「(What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding」がヤバかった。「平和と愛と相互理解について歌って何がおかしい?」というポップ・ソングは、シニカルな傍観主義や、無反省な現状肯定主義、夢想に過ぎない理想主義などすべての意匠を疑ってみせる、エルヴィス・コステロというミュージシャンの核心だ。今回のライヴ、惜しむらくは、「Accidents〜」以降『Armed Forces』からの曲が1曲もなかったこと、アンコールが1回だけだったこと、永遠の第1位「Alison」「Everyday I Write The Book」「Pump It Up」をやってくれなかったことだ。まあ、名曲が200曲ぐらいあるからどうやったって2時間のライブではそうした不満は出るのだけれど。やっぱりコスキヨの場合、全公演を網羅するしかないな。

 来週の金曜には元ジ・アトラクションズにして現ジ・インポスターズのスティーヴ・ナイーヴが青山CAYでソロ・ライヴをやるとの知らせが。行くしかない。また、ソニック・ユースが3月にやってくるとは初耳。しかも日程がR.E.M.とドかぶり! ちなみに、ダン・ヒックス&ザ・ホット・リックスも2月に来日する。05年は、早々からライブ三昧にならざるを得ない。

コステロのいいwebsite

by ichiro_ishikawa | 2004-12-09 00:16 | 音楽 | Comments(3)