<   2006年 12月 ( 9 )   > この月の画像一覧

 

ザベストテン2006 映画編

あいさつぁ、抜きだ。
ザベストテン2006 映画編。

11
父親たちの星条旗
監督:クリント・イーストウッド 出演:ライアン・フィリップ

c0005419_2234943.jpg敗戦の悲しみばかりが心を満たした。「硫黄島」はまだ観ていない。

10
太陽
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:イッセー尾形、ロバート・ドーソン、佐野史郎、桃井かおり

c0005419_223183.jpg初ソクーロフ。ヒトラーとスターリンの3部作らしいが、興味をそそる。

9
ブラック・ダリア
監督:ブライアン・デ・パルマ 原作:ジェームズ・エルロイ
出演:ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ジョハンソン、ヒラリー・スワンク

c0005419_2225231.jpgジョシュ・ハートネットはいい役者だ。ブライアン・デ・パルマは「スカー・フェイス」(83)だから信頼している。「虚栄のかがり火」(90)はもっと評価されていい。今最もすげえ女優、スカーレット・ジョハンソンは、出番が少ないのにポスター。という手法はジャッキー・チェン「ドラゴン特攻隊」(84)の手法(本当の主演はジミー・片腕ドラゴン・ウォン)。

8
カポーティ
監督:ベネット・ミラー 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー

c0005419_2223070.jpgカポーティと言えば、ザ・スミス「心に茨を持つ少年」のジャケ写。

7
楽日
監督:ツァイ・ミンリャン
出演:チェン・シャンチー、リー・カンション

c0005419_222656.jpg香港映画(といってもジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ホイ3兄弟とかあの辺の才能)を除けば、アジア全般を軽視する傾向にある俺だが、最近若干改めてきている。

6
ブロック・パーティー
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:デイヴ・シャペル、カニエ・ウェスト、モス・デフ、コモン、フージーズ、エリカ・バドゥ、ザ・ルーツ、ジル・スコット、タリブ・クウェリ

c0005419_10243929.jpgブルックリンの一角でゲリラ的に開催されたブラックミュージック・パーティーのドキュメンツ。HipHopはリズムが命で、あまりにもジャストなグルーヴはいただけないが、ザ・ルーツの面々はルーズかつタイトな演奏がすげえいい。エリカ・バドゥはやや大人しすぎたが、ローリン・ヒルはやっぱりド黒人ならではのボーカルがすげえ。

5
赤線地帯
監督:溝口健二
出演:若尾文子、京マチ子

c0005419_221045.jpg50年代の作品だが、ミゾケン・カーニバルが大々的に開催されたという事でランキング。戦後の日本、すげえ。

4
サラバンド
監督:イングマール・ベルイマン
出演:リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、ボリエ・アールステット、ユーリア・ダフヴェニウス、グンネル・フレッド

c0005419_220306.jpg初ベルイマン。映像がすげえいい。ユーリア・ダフヴェニウスという女優もかなりすげえ。

3
Exils
監督:トニー・ガトリフ
出演:ロマン・デュリス

c0005419_220915.jpgトニー・ガトリフは音楽を分かっているいい監督だ。ロマン・デュリスの髪形と帽子に憧れて、天然パーマをさらにキツくかけ、チロリアン・ハットを買って成り切った2006年の俺ではあった。

2
キングス&クイーン
監督:アルノー・デプレシャン
出演:エマニュエル・ドゥヴォス、マチュー・アマルリック、カトリーヌ・ドヌーヴ

c0005419_21594822.jpg光がいい。やっぱりブスなエマニュエル・ドゥヴォス、やや不細工なマチュー・アマルリック、いい芝居。ドヌーヴ、すげえ貫禄。

1
百年恋歌
監督:ホウ・シャオシェン
出演:スー・チー、チャン・チェン

c0005419_21593524.jpgソクーロフ、ベルイマン、デ・パルマを差し置いて06年のNo.1はなんとアジア。3部構成だが、60年代と10年代がすげえいい。「煙が目にしみる」の使い方すげえし、アフロディーテズ・チャイルドなるギリシャのバンドの「Rain and Tears」も良かった。スー・チー、すげえいい。

by ichiro_ishikawa | 2006-12-27 22:08 | 映画 | Comments(0)  

ザベストテン2006 音楽編

 この年末振り返りベストテンものは、どこの国でも恒例になっているが、商業ベースに乗っている一般の雑誌やウェッブなどの年末特集でも全然面白くないし、個人のブログとなるといよいよくだらない。マニアックで専門的なものにしろミーハー路線にしろ、結局「どう、このセンス? 」と、てめえの趣味をさらけ出して悦に入っているわけで、「その日常やら、趣味の世界やら、そんな醜悪な痴態を俺の前に見せないでくれ気持ち悪いから。誰も聞いちゃいねえぜ」というのが本音だが、そうした本音こそ醜悪極まりないので、ここでは書かない。
 というわけで、本ランキングでは、「普遍的な正しさ」という、誰にも納得のいく指標を、神に頼んで設けてもらった。「普遍的な正しさ」というと、概念的に過ぎるかもしれない。例を挙げると、「地球は回る」というのは普遍的な事実でしょう。また同様に、ポテトチップスにおいて、もっともすげえのは「のりしお」、次に「うすしお」、3位が「コンソメパンチ」というのも誰もが納得する普遍的な真理でしょう。要するに、個人の趣味、好き好きでない、誰がどう考えてもそうでしかない、というところでのランキングである。

12
At War With The Mystics
The Flaming Lips
c0005419_1953349.jpgウェイン・コイン(Vo/G)、マイケル・アイヴァンス(B)、スティーヴン・ドローズ(Ds)による3ピースバンド。83年米オクラホマにて結成。前々作『ザ・ソフト・ブレティン』(99)、前作『ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ』(02)には残念ながら及ばないが、なかなかどうして良作だ。

11
Songs And Other Things
Tom Verlaine
c0005419_19531466.jpgNYパンクの重鎮バンド、テレヴィジョンのボーカル&ギターで、パティ・スミスが「ロックの世界で一番美しい首の持ち主」と称したトム・ヴァーレインのソロ作。独特の世界は健在。もっとギターを聴きたかった。

10
Ringleader Of The Tormentors
Morrissey
c0005419_1953252.jpg言わずもがな元ザ・スミスのヴォーカル、モリッシー。とにかくジャケットが最高。曲はすげえポップで元気。声は相変わらずすげえ。ただ、Still Ill。


9
The Information
Beck
c0005419_195230100.jpg説明不要のベックちゃん。ジャケがいい。音は普通だ。『One Foot In The Grave』の世界をもう一度、という俺のラヴコールは届いているかい?


8
Surprise
Paul Simon
c0005419_1952173.jpg言わずと知れたガイモン&サーファンクルのサイモンさん。『Graceland』(86)ばりという書評を目にしたが、さすがにそこまではいかないというのが正直なところ。だが老いて尚盛ん。いい。


7
Living With War
Neil Young
c0005419_19515092.jpg反戦〜世界平和希求アルバム。歌詞はココで全部読めるし、曲自体ネットでダウンロードできる。商売云々よりもとにかく流通ありきというニールの姿勢が見て取れる。一発録り風の楽曲群は、すげえザラザラしていて普通に金出して買いたい傑作だ。

6
I Am Not Afraid Of You And I Will Beat Your Ass
Yo La Tengo
c0005419_19512976.jpg現代のヴェルヴェット・アンダーグラウンド。『Electr-o-pura』(95)、『アイ・キャン・ヒア・ザ・ハート・ビーティング・アズ・ワン』(97)ばりの傑作やもしれぬ。


日本人の音楽編

 日本の音楽業界は、どこまで不景気なんだろうか。もうどん底らしく、2006年は3作品しかリリースされなかったようだ。

3
Soul Session
布袋寅泰
c0005419_19542267.jpg様々なミュージシャンとのセッション曲全10曲を収録。デイヴィッド・サンボーン、ブライアン・セッツァーとの共演が素晴らしいが、他はあまり良くない。Rip Sryme、土屋アンナは最悪。Charと中村達也はいい。

2
In The Mood
氷室京介
c0005419_19543463.jpg先日購入したばかりなのでまだよく聴いていないのだが、声がいい。今回は、ビート系の曲が多いようで、さほど過剰な期待は抱いていない。バラッドはさすがにすげえ。

1
Re-Cool Reflections
寺尾聰
c0005419_1954435.jpgこれはずるい企画だ。大名盤、25年ぶりのセルフカバーで、井上鑑(Key)、今剛(g)、アレックス・アクーニャ(perc)、 高水健司(b)、ヴィニー・カリウタ(ds)、林立夫(ds)、山木秀夫(ds)というとんでもないメンツで新録。悪いわけがない。


5
Overnight Sensational
Sam Moore
c0005419_1951667.jpg「ちょっと待って、今行くから」「魂男」でお馴染み、史上最高のソウル男性デュオ「サム&デイヴ」の高音担当サム・ムーアのセッション作。ゲストは、故ビリー・ブレストンから、スティーヴ・ウィンウッド、スティング、エリック・クラプトン、ロバート・ランドルフ、ブルース・スプリングスティーン、そしてマライヤン・キャリーまで。アン・ピーブルズの「I Can't Stand The Rain」でいきなりTKO。

4
What’s Going On
Dirty Dozen Brass Band
c0005419_1950466.jpgニューオーリーンズの粋な楽団がマーヴィン・ゲイの傑作をまるまるカヴァー。ニューオーリーンズR&B爆発!


3
Modern Times
Bob Dylan
c0005419_1950257.jpgボブ・ディランが地味で渋い、すげえアルバムを創った。06年で65歳だが、この人はやはりとんでもねえ。

2
Rather Ripped
Sonic Youth
c0005419_1950792.jpg毎年のようにアルバムをリリースしているソニック・ユース、ジム・オルークが日本文化を勉強するために脱退して、再び4人に戻った。


1
The River in Reverse
Elvis Costello & Allen Toussaint
c0005419_1949492.jpgコステロとアラン・トゥーサン夢の共演。文句無しの1位。


総評
今回のラインナップ、平均年齢50代。しかし、若いバンドやミュージシャンは何もリリースしていないのかね? ディスクユニオンには全然売ってないし、雑誌「UNCUT」にも「ミュージックマガジン」にも「レコードコレクターズ」にも載っていない。不思議だ。ネット販売のみとか? 

by ichiro_ishikawa | 2006-12-27 20:20 | 音楽 | Comments(0)  

James Brown (1933-2006)

c0005419_4412740.jpg


c0005419_4414757.jpg

c0005419_4421012.jpg

c0005419_4422193.jpg

c0005419_4415787.jpg

       from Saturday Night Live December 13, 1980

by ichiro_ishikawa | 2006-12-26 04:44 | 音楽 | Comments(2)  

氷室京介、この10曲

c0005419_1123024.jpg

 氷室の凄さは、何をおいても、あの声だ。暴力的で官能的。ソウルフルでワイルドでヴァイオレントでセクシー。日本では矢沢永吉のドスとセクシャリティが近いように思えるが、よりストイックで繊細でスマートであるところが、やはり矢沢とは全く異なる。海外では、コステロに近いやもしれぬ。コステロとの違いは、ツラと腕力だろうか。コステロも或る意味、暴力的だが、コステロはインテリでケンカ屋という感じではない。そうした肉体性が声に及ぼす影響は濃いのである。氷室の腕っぷしの強さは、その声に如実に現われている。チョイ不良(ワル)などちゃんちゃらおかしい、ド不良ならではの破壊力に満ち満ちている。
 パンク、エモコアでありがちなガナリ声とはほど遠く、ナルシスト系に多い醜悪な自己陶酔ハイトーンとは明らかに一線を画す。暴力的で破壊的だが繊細でストイック、繊細でストイックだが暴力的で破壊的。この相反する要素が混在しているところが、氷室の特筆すべきところだ。低音は金縛りにあってしまうほど恐ろしくセクシーで、「太い」ハイトーンは切なさを殺せない。
 素晴らしいシンガーである。

 というように、氷室はまず、声がものすげえのだが、今回のセレクトを終えて、メロディメイカーとしても、かなり秀逸だということに気づかされた。iTunes7にプレイリストを作って、ある程度厳選して「すげえ曲」をポンポンと放り込んでいったら、なんと40曲になってしまった。まあ20曲はあるかなという、当初の見通しは甘かった。
 Memories of Blue、Mellow、Follow the Wind、Higher Selfからほとんど全曲入ってしまうことに気づき、慌てて、各アルバムから1〜2曲という原則、あくまで原則、を打ち立てた。
 氷室は、ビート系のシングルは、そんなに良くない。氷室はアーバン・ソウル・シンガーなので、ビート系では魅力は半減してしまうのだ。じゃあ「BOφWYはどうなんだ」という。BOφWYはビート系バンドだが、布袋ビート、つまりファンキッシュなニューウェーヴ・ビートなので、それは氷室には出せないものだ。氷室がやると単なるジャストな8ビートになってしまうから、あまり面白くないのだった。
 前述した通り、氷室はアーバン・ソウル・シンガーなので、バラッドを歌わせたら、まさに面目躍如たるものがあり、なんでも凄いし、それこそ、電話帳を読み上げるだけでも聴ける声だけに、どんな曲でも切り捨てがたいのだけれど、それでは埒があかないので、今回は、メロディ(歌メロ)の秀逸さにやや重きを置いてセレクトした。
c0005419_3482730.jpg



16
STORMY NIGHT
included in the album Higher Self (1991)

c0005419_3182984.jpg氷室は、ソロになるに当たって、ポップフィールドにいながら、かつストイシズムを追求し、より内省的になっていく方向を選んだ。『Higher Self』は、ソロ3作目。ストイシズムは頂点を迎えた。

15
BLOW
included in the album SHAKE THE FAKE (1994)

c0005419_2571340.jpg珍しく矢沢的歌唱法をとったフォークブルース的な曲。こんな歌い方が出来るのは、モノホンのワルだけだ。

14
DEAR ALGERNON
released as the single &
included in the album Flowers For Algernon (1988)

c0005419_34699.jpgc0005419_31799.jpg「ひび割れた」というイントロ無しの歌出だしの曲。この「ひび割れた」の低音から、サビの「I Wanna Feel My Love」のハイトーンまで、24オクターブある。素晴らしいシンガーだ。ロックはうまさじゃない、ハートだという。俺はハートなんかなくてもうまけりゃいいと思う質、というか、ここまでうめえとハートなんてどうでもいいと思えてしまう。そこが凡百のロックシンガーと氷室が一線を画すところだ。

13
HEAT
released as the single &
included in the album I-DE-A (1997)

c0005419_3155232.jpgc0005419_3161644.jpgアップテンポのポップソング。メロディーメイカーとしての才能がグワッと発揮されている。

12
Monochrome Rainbow
included in the album Follow The Wind (2003)

c0005419_315184.jpgソロデビュー15年目、43歳にして、いまだ頂点を知らないということを知らしめたのがこの曲を収めた『Follow The Wind』で、同レベルの曲がズラリと並ぶ。サビの切なさが今、ジャストだったので今回はこの曲になった。

11
SQUALL
released as the single &
included in the album MISSING PIECE (1996)

c0005419_313650.jpgc0005419_3212524.jpg「魂を抱いてくれ」「Stay」「Waltz」と立て続けにシングルをリリースしていた95〜96年にあって、最も良く出来た曲がこの「Squall」だ。キーはかなり高い。このようなハイトーンをニワトリにならずにワイルド&セクシーを保てるという氷室のシンガーとしての力量にはホント驚かされる。



ちょっと休憩・番外編
カバー曲ベスト5

5
SUFFRAGET CITY(デイヴィッド・ボウイ '72)
released as
the B-side of the single DEAR ALGERNON (1988)

c0005419_34699.jpgアマチュア時代から氷室が愛してきたデイヴィッド・ボウイのこの曲は、ソロ初期のライヴでよく披露されていた。氷室の英語の発音は、外人より英語っぽく、かっけえ。

4
ACCIDENTS WILL HAPPEN
(エルヴィス・コステロ '80)
released as
the B-side of the single MISTY〜微妙に〜 (1989)

c0005419_321711.jpg声質がやや近いコステロも、アマチュア時代からの氷室の憧れの人。コステロの曲をここまでセクシーに歌いこなせるのはやはりすげえ。

3
たどりついたらいつも雨ふり(ザ・モップス '72)
released as
the B-side of the single DEAR ALGERNON (1988)

c0005419_34699.jpg吉田拓郎作詞作曲。氷室が拓郎を好んでいたことは有名だし、中学時代、NSPのコピーバンドをしていただけあり、根っこには日本のフォークがあるのは確かだ。1960年生まれだから、70年代が青春期で、折りしも、フォークブーム真っ只中という状況もあろう。氷室が作るメロディがどこかフォーキーな香りがするのはこの原体験があるからだ。


2
時間よ止まれ(矢沢永吉 '78)
from bootleg
闇市場で出回っているテープに収録。カラオケで熱唱する。矢沢の真似をややしているが、そもちょっと似ているので、オリジナルとも取れる。超低いキーが、恐ろしくかっこいい。間奏ではどうやら矢沢のアクションを真似ているようで、「エーちゃん、このようにやるんだよ、このように」とはしゃいでいる。途中、曲の展開を見失い間違えるも、「あ、わかった。俺プロだ」とすぐに回復。ちなみにイントロでは、「水割りをくださーいー」と当時流行っていた堀江淳の「メモリーグラス」を歌い始めるひとコマも。

1
クローズ・アップ(中山美穂 '85)
sung in TV 夜のヒットスタジオデラックス
as BOφWY (1986)

c0005419_2152420.jpgc0005419_21124548.jpg

オープニングのメドレーで中山美穂のこの曲を歌って、氷室は中山にマイクを渡した。BEAT EMOTIONを引っ提げたツアーの真っ最中のTV出演で、声はややかれ気味の中、甘いポップソングを掠れたハイトーンでワンコーラス熱唱した。すげえセクシー。「美穂ちゃんのファンだそうで。どういうところが好きですか?」という芸能界的な質問には、「顔です」と即答。88年のレコード大賞での受賞コメントでも、「ファンのみんなとスタッフの力と、それからあとは俺の実力だと思います」と述べた。奥歯にモノの挟まったような建前だらけの無責任なTV界に対し、タイマンで、正面からつばを吐く氷室。かっけええ。しびれる。




10
D'ecadent
included in the album Memories of Blue (1993)

c0005419_258923.jpg傑作『Memories Of Blue』の中のこの曲は、歌謡曲好きの俺の琴線にビンビン触れて来るメロディが至極秀逸なナンバー。

9
Lover's Day
included in the single JEALOUSYを眠らせて (1990) & others

c0005419_39288.jpg氷室はシングルのB面がものすげえという伝説はここから始まった。クリスマスに聴きたい超ラブソング。

8
MISTY
released as the single &
included in the album NEO FASCIO (1989)

c0005419_321711.jpgc0005419_3261213.jpgこの曲はとてもマニアックで、キャッチーとはほど遠いのだが、なぜか心をグワッと掴んで離さない媚薬のような魔力があるナンバー。氷室の声をじっくりと堪能できる切ないミディアムバラッド。

7
So Far So Close
included in the album MELLOW (2000)

c0005419_313048.jpg『Mellow』は氷室初のバラッドアルバムで(70%がバラッドという意味で)、ビート系よりもバラッドを聴きたい人には待ってました的な作品なのだが、もう本当にとんでもない大傑作だ。どれも外せないのだが、1アルバムにつき1曲という原則を貫いた結果、「ええい、ままよ」とこの曲を選んだ。アクースティック・ギターの伴奏で、「夜の深さに漂いながら」とボーカルが入って来た瞬間、クワッとなってしまい、エンディングまでずっとクワッとしっぱなしなのだった。

6
Memories Of Blue
included in the album Memories of Blue (1993)

c0005419_258923.jpg『Memories Of Blue』は怪物アルバムでものすげえのだけれど、その中の最高傑作はやっぱりこのタイトルトラックか。淡い切なさというものがヒリヒリとオイルの匂いと共に漂っている。

5
TENDERLY
released as the b-side of the single SLEEPLESS NIGHT~眠れない夜のために~ (1999)

c0005419_2592111.jpgシングルのB面で、フォーク色の強いメロディが素晴らしくいい。

4
MIDNIGHT EVE
released as the b-side of the single 魂を抱いてくれ(1995) &
included in the album MISSING PIECE (1996)

c0005419_3102649.jpgc0005419_3143282.jpgこの企画を始めようと思ったとき、1位はこの曲だろうと思っていた。そのぐらいすげえ曲だが、これもシングルのB面。アーバン・ソウルの最高傑作だ。

3
Urban Dance
released as the single (1992) &
included in the album Memories of Blue (1993)

c0005419_3105755.jpgc0005419_258923.jpgロキシー・ミュージックの最高傑作「Same Old Scene」を彷彿させる氷室極上のアーバンソウル。ドラムにアンディー・ニューマーク、ベースにトニー・レヴィンといった後期ロキシーのサウンドデザインを担ったミュージシャンを迎え、日本人には絶対出来ないと思われたロキシー・サウンドを歌うという偉業を成し遂げた。

2
Good Luck My Love
released as the single(1992) &
included in the album Memories of Blue (1993)

c0005419_3112382.jpgc0005419_258923.jpg氷室は「わがままジュリエット」の頃から、この手の、「トニック・コードに帰結しない楽曲」、つまりある意味、歯切れの悪い、余韻を残しまくってフェードアウトしていく、という楽曲をよく作るのだが、その最高峰がこの曲。後ろ姿だけしか映らないPVも秀逸で、ミステリアスでワイルドでセンシティヴでヴァイオレントでソウルフルでセクシーな氷室が全部詰まっている。ああすげえな、この曲は。1位だ。

1
DON'T SAY GOOD BYE
released as the b-side of the single VIRGIN BEAT &
included in the album SHAKE THE FAKE (1994)

c0005419_318755.jpgc0005419_2571340.jpg「さよならと言わないで」という邦題は、バンバンバザールの「さよならと言ってくれ」と対になるようだが、実は同じだ。切ないのに明るい、バラッドなのにテンポのいい、すげえグッドメロディのこの曲が今回のナンバーワン。

 これらの例によってすげえとしか言っていないコメントは、もちろん曲を聴きながら書いているのだが、つまり、とんでもない声をずっと聴いているという事で、後頭部がずっとピキピキと痛く、終始クワッとなりっぱなしなのだから、文が拙いのはしょうがないし、いずれにせよ、音楽について言葉で何か言うというのは本当に痛々しい行為だな。

c0005419_2225291.jpg



by ichiro_ishikawa | 2006-12-22 00:01 | 音楽 | Comments(2)  

氷室京介のPodcastがすげえ

 すげえことが起こっている。
 Podcastという新しいメディアに氷室は食いついた。
 事務所や企業からのオファーがあったわけでもなく、自発的に、氷室が、LAの自宅兼スタジオから肉声を発している。
 氷室の声が聞けるというだけで、それがただ電話帳を読み上げていくだけだとしても、それは大変貴重なものなのだが、ここでは、氷室の考えている事が聴けるという事が、殊更、重要である。氷室は『Memories of Blue』(1993)以降、詩を書く事をやめているので、メディアへの露出の極端な少なさとも相まって、氷室の「内面」は、意外と謎が多かったから、これは、本当に大変な事件なのだ。
「スポンサーがいないというメディア、つまり拘束される規制がなく、物事の本質をオブラートに包む事なく、核に向って発せられる」場所から、氷室は肉声を発する。
 「奇麗事じゃなく、利害関係無しに、台本も無しにバンバン行く」。

 パイロット版の今回、氷室が語っていることは、なんと、イジメで自殺問題。
 手前味噌で恐縮だが、奇しくも、骨子は、本ブログで俺が書いた事と同じであった。
 やはり、氷室はこの問題に敏感に反応したし、報道の仕方・考え方に疑問を抱いていた。
 氷室はいじめられている連中に言う。
「耐えてください、としか言えない」
 そして、いじめている連中には…
「お前らこそ死ねよ。ほんとふざけんなよ。やるならタイマンでやれよ。徒党を組んでいじめるなよ弱いものを」と、あのすげえ声で、ブっとばす。
 オブラートに包まずに物事の本質をズバっと射抜いたセリフに、シビれた。
 ものすごい迫力である。ちびった。
 はっきり言ってこのPodcastはものすごい。必聴。
 やっぱり、氷室は、すげえ。

iTunes Store内「Kyosuke Himuro Podcast」(free)
himuro.com
topページ右上のバナーからイージーアクセス




by ichiro_ishikawa | 2006-12-22 00:00 | 日々の泡 | Comments(0)  

長渕のラブソング、この10曲

 c0005419_211727.jpg
 長渕はシンガーラブソングライターとして相当秀逸で、ハイブロウで、すげえセンスのいい歌手だ。「筋肉バカ右翼」という近年のレッテルは、いよいよレッテルに過ぎない。
 とはいえ、メロディこそハイクオリティであれ、コード進行などはごく普通のポップソングと変わらないし、歌詞を見てもそんなに「詩人」然としているわけでもない。
 特筆すべき点は、「男ごころ」というものを恐ろしく生々しく、ともすれば耳を塞ぎたくなるほど、リアルに抉って来るというところにある。

 c0005419_21125835.jpg
 長渕のラブソングで特徴的なのは、「君にさよならを言わなければならない、気まぐれな男の苦しさと哀しみ」が、ほとんどだということだ。愛は、生まれ、生き、そして死ぬ。長渕が繰り返し歌うのは、「愛の死」なのであった。
 恋とは必ず傷つくものだ。寺尾聰は低音で言った。「傷つかない恋なんて たぶん恋じゃないぜ」(「Habana Express」)。

 そんなもの、本当は耳を塞いでいたい。だから、すこぶるうまくいっている時、人は長渕を聴かないが、本当に疲れ果てたとき、長渕に手が伸びるのではないか。長渕を聴く人は、恋の病で昏睡状態にある人だけである。長渕の歌は痛切なのだ。
 ラブの哀しみはいろいろあろう。片思い、フられての別れ、死別…。一番キツイのは、言わずもがな、「君にさよならを言わなければならない」時である。それはあまりにもキツく、できれば「さよならと言ってくれ」と歌いたいのだった。


18. 結晶
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『Captain of the Ship』1993.11.1)


17. 心配しないで
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『Captain of the Ship』1993.11.1)

c0005419_2032886.jpg■あの「Captain of the Ship」の前後に配されたせいで、影が薄くなっているのが残念だ。「坊さん後」、珍しいラブソングの佳曲である。


16. I love you
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『Japan』1991.12.14)

c0005419_204096.jpg■いつの世にもいるブランドに群がるバカ女。長渕は「そんなことより俺はお前をベッドに引きずり込み、お前の胸にしゃぶりつく」のだが、それは「女の前で三つ指をつき舌の先を転がすよな玩具の様な優しい男にゃなりきれねえ」(同アルバム収録「俺の太陽」)からだ。だが真意は、最後のこのフレーズなのだ。「そりゃお前が言う一流という意味も分かるけど 愛し愛される怖さを知る一流になりたい」


15. 女よ、GOMEN
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 矢島賢
(included in『Jeep』1990.8.25)

c0005419_2043348.jpg■ロック調のエレキサウンドだが、シングル「JEEP」のカップリングでは「女よ、ごめん」というタイトルで、アクースティックヴァージョンとなっていて、そちらの方が比較的いい。「とんぼ」をすでに経て、“気難しくこええ大御所”が定着してきた当時、90年の2月28日に出演した夜のヒットスタジオで、「硬派」「男」「魂の叫び」みたいなキャッチをかぶせられることに閉口した長渕は、「あれ〜? なんで〜?」とずっこけ、「俺は女のケツばっか追いかけていただけ」と、居を正して恐る恐る接して来た古館を逆にずっこけさせた。過剰に「硬派」のレッテルが貼られる事が多いが、長渕は本来はナンパであり、本気でナンパだから硬派なのであった。「考えてみりゃ女にゃ謝りっぱなしだった」と、この曲ではストレートに吐露するが、長渕のたいていのラブソングはこの謝罪の念を詩的に表現している事が殆どだ。まあ、女の方は、ケロッと忘れていて「ん?何が?」みたいなもんなのだけれど。


14. 生意気なパートナー
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
(included in『Hungry』1985.8.22)

c0005419_2052447.jpg■これは、俺への愛を失った君への何故ラブソング。「報われぬ愛ほど惨めなものはないと分かったとき 別れ上手なお前を今では愛しく思える それは強がりじゃなくて 嵐の後の静けさよ」


13.
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三
(included in『Jeep』1990.8.25)

c0005419_2043348.jpg■得意の「E、G#m7、C#m、F#m7、A、B使い」のラブソング。モチーフは「Time Goes Around」に近い。


12. シェリー
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 笛吹利明
(included in『昭和』1989.3.25)

c0005419_2054727.jpg■オープンGチューニングによる、add9や13thを多用した、長渕の中では最も凝ったコードからなる感動作。2分音符を効果的に使った間の効いたアルペジオが美しくせつない。


11.
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『Japan』1991.12.14)

c0005419_204096.jpg■「シェリー」「海」と続く、ヤクザ期ラブソング3部作の3作目。「行かないでくれ 抱きよせるたび 哀しみに打ちつけられるのは 愛してるからだ」


10. PLEASE AGAIN
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『License』1987.8.5)

c0005419_2081222.jpg■俺への愛を失った君への何故ラブソング。「鏡の前で身を沈めながら髪を梳かしてる 行き詰まる様な苦しさが胸に突き上げて来た」。ここで俺は嘔吐する。よく死ななかったな。


9. 俺たちのキャスティングミス
作詞・作曲 長渕剛 / Strings Arr. 瀬尾一三
(included in『Stay Dream』1986.10.22)

c0005419_2062189.jpg■「Hello 悲しみよ!」「少し気になった Breakfast」へと続く『Stay Dream』内、悲しみ3連打の幕開けをなすラブソング。


8. 少し気になったBreakfast
作詞・作曲 長渕剛
(included in『Stay Dream』1986.10.22)

c0005419_2062189.jpg■映画「タクシードライバー」からの引用と思われる朝食の光景をイントロに、君にさよならを言わなければならない、気まぐれな男の苦しさと哀しみが綴られていく。「愛し合いたい俺がいる 一人に酔いたい俺がいる 夢が叶えば壊したい 気まぐれな俺の愛の形」


7. COME BACK TO MY HEART
作詞・作曲・編曲 長渕剛
(included in『Hold Your Last Chance』1984.8.18)

c0005419_2094850.jpg■愛が壊れた男の痛切な叫び。「恋なんてもう二度とするものか 愛してるなんてもう二度と誰が言うものか 壊れた愛のかけらを一つ二つ広い集めて 放り投げたため息に君の笑顔が映っている いい加減な暮らしの残り火よ 消え失せろ 思い出にしがみつくほど僕は弱虫じゃないんだ」 


6. TIME GOES AROUND
作詞・作曲・編曲 長渕剛
(included in『Hold Your Last Chance』1984.8.18)

c0005419_2094850.jpg■エレキギターによるアルペジオがかなり衝撃的な情事ソング。別れではなく最中を描いている。「ろくなもんじゃねえ」以前に「ピピイピーピピ」とハミングしている。


5. パークハウス 701 in 1985
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『License』1987.8.5)

c0005419_2081222.jpg■「一緒にいることが結構つまらない」というドキッとするフレーズ、及びEの低音でギターが刻まれていくイントロから、「愛情…それは何? 愛情…寂しがり屋たちの残酷なメロディー」というエンディングまで、終始後頭部の奥の方をピキピキさせる。長渕ラブソングの真骨頂、君にさよならを言わなければならない男の苦しさ、である。「一人が寂しいからこそ二人になった けど 二人になったら窮屈になるのかい 愛って奴は何て身勝手なもの そう考えたらあまりに哀しくて」「恋と愛と暮らしと男と女 愛の形はやっぱり変わってっていくもの そいつを分かりたくない俺は愚か者 いったい 幾つさよならを言えばいいのか」。


4. 何の矛盾もない
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『License』1987.8.5)

c0005419_2081222.jpg■Cadd9(4capo)を基調に展開する究極のラブソング。この曲以降、ミュージシャンの中でCadd9は「なんの矛盾もない」と同義になった。再婚相手の志穂美悦子に贈った歌というのは有名だが、とことん徹底して個人的であればそれは普遍に達するということが証明されている。


3. Don't Cry My Love
作詞 吉見佑子、長渕剛 / 作曲 長渕剛
編曲 瀬尾一三、長渕剛
(included in『Heavy Gauge』1983.6.21)

c0005419_2091992.jpg■石野真子との蜜月時に作られた曲だが、リリース時には離婚。結果的にその別れを象徴する曲となった。ここまで「別れの哀しみ」を正確に綴った曲は空前にして絶後ではないか。「きっと同じ人生(みち)を同じ歩幅で歩いて行けたら 君をこんなに疑わせずに済んだのかもしれないね ひとつになっても ひとつになれないよ」


2. 交差点
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 笛吹利明、長渕剛
(included in『時代は僕らに雨を降らしてる』1982.9.1)

c0005419_2010815.jpg■「君の胸の痛みが僕に分かるといいね 無理に笑顔で別れた涙色の哀しい交差点」「行かないで 僕の側から 泣かないで もう離しはしないから」


1. 愛してるのに
作詞・作曲 長渕剛 / 編曲 瀬尾一三
(included in『時代は僕らに雨を降らしてる』1982.9.1)

c0005419_2010815.jpg■「ひとつだけ聞いてもいいかい」。その第一声で、“あ、哀しいことが起こってしまう”と感じる。案の定、「出会った頃の二人に 今すぐ戻れるならば きっとうまく行けるさ こんなに愛してるのに」

by ichiro_ishikawa | 2006-12-17 04:14 | 音楽 | Comments(1)  

バンバンバザール、この10曲


 今、日本でいちばんすげえバンドは、バンバンバザールだ、という事実に異論を唱える人はいないはずだが、いや、そも「事実」に異論を挟む余地などないわけだが、話が「その中で、どの曲が最もすげえのか」というトピックに及ぶと、これは、一筋縄ではいかない。決定するのに2〜3年はかかるし、その間に新曲が出たりすると、またそれらを全体の中に位置づけて考えざるを得ず、かつ既存曲の位相もそれら新曲によって変わってくるので、一から決め直しということになってなかなか終わらないし、さらには、その時々の気分というやつも、かなりセレクトに作用して来るが故に、いよいよ「こりはもうだむだ」となる。この仕事に比べたら国家の外交政策や予算決議なんてのは、一瞬で済むのでは? と思えてしまう、そんな難事に真っ向から挑んだ力作が、今回の企画である。この文は以下のセレクトを終えてから書いているが、相当疲弊している。セレクトの時点でかなりドタマを消耗しているから、とにかく解説がぐだぐだで「すげえ」としか言っていないが、ブロムという特性を生かして、ちょくちょく加筆訂正をしていく所存。言い訳ではない。こういうのは、とにかく走り出す事に意義がある。あまり時間が経つとすぐまたランキングが変わって来るから、それでは参りましょうか、レディース&ジェントルメン、マダメムシュー、「バンバンバザールこの10曲」。

11
江戸川橋
(from『リサイクル』94年)
c0005419_054137.gif「もうレコードは帰らない」。貸しレコード屋というのが繁盛した80年代。3200円もするLPなんてそうそう買えない子供は、貸しレコード屋に足繁く通った。そして「もしも良かったら レコード返して ついでに映画でも観ましょう なんて言えるわけがない」

10
君のいない夏
(from『4』99年)
c0005419_0542718.gif「去年の今頃はベタベタはりついて暑苦しかった 君はいないのね」「君のいない夏のりきる」。ほんとそうだ。

09
夏だったのかなぁ
(from『4』99年)
c0005419_0542718.gif吉祥寺の路上時代からのナンバーで、バンバンバザールのテーマと言える。これぞ楽団。来るぞ、来るぞ、あの楽団がやって来る。という、高揚感。

08
プリーズ・ドント・トーク・アバウト・ミー
(from『歌は廻る』97年)
c0005419_0551157.jpg30年代に作られたアメリカのスタンダード。フランク・シナトラやサミー・デイヴィスJr.といった大エンターテイナーから、ビリー・ホリデイ、サッチモといったジャズマンまで実に様々な人が演(や)っている。曲は言わずもがなだが、なんといっても訳詞がすげえ。「今んなってぐすぐず言うんじゃないよ 2人の間もはいこれまでよ」。「どうぞあなたは右に 私は左に 別れのキスしたら ほんじゃ達者でなっちこって」。お前みたいな女とはさっさと別れるぜ、なのか、それとも、哀しみ故の強がりなのか、もしや、君を哀しませないためのわざとの憎まれ口なのか。

07
盛り場に出ていこう
(from the Live Album『HIGHLIGHT』00年)
c0005419_0562152.jpg「女にフラれて哀しい時 借金抱えて苦しい時 布団かぶって寝込んでないで 盛り場に出て行こう」。『できました』(95年)にも収録されているが、ここでは吾妻光良が参加しているというのが凄い。スキャット合戦、シャレ合戦は圧巻だし、少しディレイさせてかぶせてくる吾妻のコーラスには、ゾクッとくる。歌詞もふざけていながら、グワッと立ち上がる気にさせてくれる、明るいものとなっている。「タクシー乗ったら2割増 ほんとは明日6時に目覚まし だけとウチより全然マシ」のライミングもいい。今タクシーは3割増で、物価の変動が見て取れる。

06
別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ
(from『できました』95年)
c0005419_0564258.jpg「盛り場に出ていこう」と並ぶジャイヴ・ミュージックの最高傑作。「近所の床屋で髪の毛刈りに来たんだぜ 別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ」「紳士服の青山でスーツ仕立てに来たんだぜ 別にわざわざお前に会いに来たんじゃないぜ」。最近、こう、嘯(うそぶ)ける男がいなくなった。ちなみに、途中のスキャットも最高だ。


05
スウィングしなけりゃ意味ないね
(from Bootleg)
オリジナル盤未収録。重鎮デューク・エリントンの超有名曲で、たいていのジャズメンが演(や)っている。バンバンヴァージョンは、前半がグワッと演奏、後半にヴォーカルが入ってくるという構成で、日本語も交じる。こういう事が出来るからバンバンバザールはすげえ。

04
Wild About My Lovin'
(from Bootleg)
オリジナル盤未収録。ライヴで披露されたこの曲は、トラディショナルナンバーで、1928年録音のJim Jackson、現代では、Lovin' SpoonfulやJim Kweskin & The Jug Band、DAN HICKS & THE HOT LICKSなど、アメリカン・ルーツ・ミュージックに造詣の深い粋なミュージシャンが、こぞって演奏している。アメリカの原風景を思い起こさせるルーズでブルージーなギターと歌が、すげえいい。決して流暢ではないが、音から真似たと思われるアクセントやイントネーションといったツボをおさえた、福島流英語が冴え渡っている。


03
5月の午後
(from『Gentleman』03年)
c0005419_057292.gifなんといってもボブ・ディラン「Blowin' In The Wind」ばりのイントロのギターがとんでもない。こういうシンプルで朴訥な素晴らしい曲を聴くと、ほんと死にたくなる、いや、間違い、ほんとクワッときてしまう。


02
夏のイメージ
(from『十』05年)
c0005419_057899.gifブルーズからジャイヴ、ジャズ、カントリー、フォーク、ロック、昭和歌謡とあらゆる音楽をやり尽くして来たバンバンバザールは、最新作においてまたひとつ新たな側面を見せつけた。「夏の扉」とか「渚のカンパリソーダ」とかを連想させる80sフレイヴァー色濃い歌謡曲。イントロのギターリフがすでにすげえし、歌伴でのリフもシンプルですげえし、「本当は何もいらな〜いけれど」の「な〜い」のところがものすげえ。こういうシンプルな演奏とポップなメロディというのは、超絶技巧でマニアックな曲を作るのより、よほど難しい。


01
さよならと言ってくれ
(from『スゲ・バン・バ!!』01年)
c0005419_0575570.gif『4』(99年)で世界を完成させたかに見えたバンバンバザールは、この曲によってさらに新たなる地平へと歩み出た。「2001年・俺レコード大賞」の大賞受賞曲。ギターのイントロだけですでにすげえし、「道ばたで見つけた小さな恋の思い出は タバコの吸い殻みたいに捨てる」「君の部屋で流れてた小さな恋のメロディは へたくそな鼻歌みたいに忘れる」「いつもの調子で いつもの感じで 階段降りてゆくから 泣いたりしないで さよならと言ってくれ」と、抜き書きしている最中になんだか泣けて来た。最高のラブソングは何故にいつも別れの歌なのか。



参考までに
WILD ABOUT MY LOVIN'

Well, now, listen here people
'Bout to sing a song
I'm goin' to St. Louis
And I won't be long.

Cause I'm wild about my lovin'
I like to have my fun.
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come.

Well, now Sargent Jones
Chief of police
The women 'round here
Won't let me see no peace

Chorus:
Cause I'm wild about my lovin'
I like to have my fun.
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come

Well, now hello central
What's the matter with your line
I want to talk to that
High broad of mine

Cause I'm wild about my lovin'
I don't bite my tongue
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come.
If you wanna be a girl of mine
You got to bring it with you
When you come.

by ichiro_ishikawa | 2006-12-14 01:06 | 音楽 | Comments(2)  

La Tristesse Durera(Scream To A Sigh)

 呑気に「お笑いベスト5」なぞ書いている中、池田晶子のご尊父が亡くなられていた。
 それは「週刊新潮」最新号にて、伝えられた。
「親子ジグザグ」でババアが死んでしまったとき、「en-taxi」でオカンの死に立ち会ってしまったときと、その哀しみの深度は同じであった。
 だが今回の知らせは、あまりにも唐突だった。ババアやオカンのときのように、死ぬなと祈る事さえ叶わなかった。コンビニなんかで知らされるなんて何か申し訳なく、普段は立ち読みで済ますが、この時ばかりは購入し、家に持ち帰り、書斎に籠って、ゼロから読み返した。感傷的なことを書いて恐縮だが、泣いた。
 「父」のことは、彼女の文章にしばしば登場していたから、よく知っていた。まあ、文を書かない小林秀雄、みたいな人だと思っていた。「ご苦労様でした」というそのタイトルに、クワッとして、頭がガンガン熱くなった。

 常に「死は、ない」という池田晶子、父の死に何を思う。
 
 文章は、いつもどおり切れ味鋭く、覚悟の違いを見せつけている。哀しいなんて言わない。
 ただ、「辛いなあ」という。まるで「寒いなあ」のトーンで。だが、この一言に、全てが見えた。彼女は深く哀しんでいる。その哀しみは俺なんぞに分かりようもなく、深く、暗い。

 何で人生は、かくも辛いのか。俺は池田さんをその場で抱きしめてやりたかったから、今これを書いている。

by ichiro_ishikawa | 2006-12-07 01:37 | 文学 | Comments(0)  

すげえお笑い、ベスト5

 こう見えても(どう見えてる?)俺はお笑いが大好きで、お笑いは、音楽、文学、映画に並ぶ4大趣味であると同時に、“笑わせる”ことで食っている「芸人」は、“ボールを思いっきり投げる”ことで食っている「左腕」、“歌う”ことで食っている「歌手」と並ぶ、憧れの3大職業の1つなわけだ。
 常に、どいつが一番おもしろいか、に目を光らせているし、テレビや映画、本などでの秀逸なギャグは無論、日常生活における誰かのギャグ、みたいなものも、イタリアのカーフ革製のノートに、モンブランのマイスターシュトックの細字で、「秀逸ギャグ覚え書き」としてメモを残している次第だ。
 基本的には、一筋縄ではいかないシュール(レアリスティック・ピロー)なものを好むが、ベタなギャフン・ギャグも否定はしないし、「ははーん」とうなってしまうような、安心して見られる/聞ける、古典的名人芸のようなものも嫌いじゃない。そういう意味では間口は広い。

なにはともあれ、「ロックとは、つまるところ、ユーモアだ」
 by アクション俳優・銃(がん)すぐる
というわけで、すげえお笑いベスト5。


9.夕やけニャンニャン(タイマンテレフォン、ボブに挑戦)
c0005419_3085.jpgTV。85年4月〜87年・フジテレビ系。
今観たらそんなに面白くないやも知れぬが、素人をぶっとばす石橋が最高。

8.まんがチョップ'84
c0005419_31446.jpgTV。'84年4月〜9月・フジテレビ系。定時前の5分番組。週3回の変則オンエア。 前年にシャネルズから改名したラッツ&スターが「大森笑劇研究会」の名義で出演。舞台の基本設定は就寝時間を迎えたタコ部屋で、8人が布団に潜った状態でテンションの低い雑談を展開する。

7.スネークマン・ショー
c0005419_312528.jpgラジオ/CD。桑原茂一率いるコントユニット。主なメンバーに咲坂守こと小林克也、畠山桃内こと伊武雅刀。代表作に「ジャンキー大山ショー」「急いで口で吸え」など多数。

6.マージナルマン
c0005419_314542.jpgTV。91年4月〜7月・TBS。リリー・フランキーが構成作家を務め、ユリ・サリバンとして出演もしていた深夜のコント番組。他の出演者に、加藤賢崇、宍戸留美、ヒロ荒井(キツイ奴ら)。

5.とんねるずのオールナイトニッポン
c0005419_32969.jpgラジオ。85年10月~92年10月・ニッポン放送。「なんでもベスト5」「ばばあの知恵」(うちのばばあは、自転車ですれ違う時いちいち降りる/うちのばばあは、クソするとき泣く/うちのばばあのむいたりんごは味が変、など)等の、リスナー投稿が秀逸。とんねるずのキャリアの最高峰。「コラーッ!とんねるず」(85年〜89年・日本テレビ)もすげえ。画像は「オールナイトフジ(初登場)」

4.システムキッチン(visualbum/松本人志)
c0005419_343764.jpgビデオ作品。95年。松本と浜田の頂点。板尾が冴える「古賀」も傑作。「ガキ使」は言わずもがな。

3.恋のバカンス
c0005419_345553.jpg
TV。94年・TBS。ナン男、チャーリー・ボブ彦、ボン梶本、とっくりブラザーズなど名キャラクターを生んだ竹中直人の笑いの集大成。

2.Mr.Boo!シリーズ全部
c0005419_35164.jpg映画。70〜80年。マイケル、リッキー、サミュエルのホイ3兄弟による香港コメディ。広川太一郎の吹き替えも秀逸。サミュエルによる各テーマ曲はビートルズ(ポール寄り)ばり。

1.東京イエローページ
c0005419_35329.jpgTV。89年10月〜90年9月・TBS。サラリーマンコント、家族コント、クイズコントといった名作がズラリ並んだ竹中直人の笑いの集大成。



補遺:これこれも相当おもしれえ。
c0005419_3485128.jpgc0005419_3534451.jpg

by ichiro_ishikawa | 2006-12-06 02:12 | 日々の泡 | Comments(1)