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GIG case of Wild Women


 マキシーン・ブラウン(69)、ビバリー・クロスビー(65)、エラ・ピーチズ・ギャレット(78)からなる、ブルーズ、ジャズ、R&B、ソウルというブラックミュージックベースのユニット、ワイルド・ウーマンのコンサートを鑑賞した。

 ジェリー・ゴフィン&キャロル・キングのブリルビル・ポップ「Oh no, not my baby」(1964)のマキシーン・ブラウンが登場というだけで見ざるを得ないし、知らなかったビバリー・クロスビー、エラ・ピーチズ・ギャレットの方も調べると相当の強者らしく、これは、というわけでマイルCSをうっちゃって赴いた。というか、黒人のばあさんたちのライブ、という時点で、行くしかないのであった。

 登場するや否や、さながらアンドレ、ハンセン、ブロディかといった、その恰幅の良さに感服させられたが、肝心の歌がこれまた抜群にうまい。ハーモニーも絶品だし、それぞれが高齢だけに、力まずに歌う感じがまた良く、とはいえ随所にクワッ!とさせられる凄まじいボーカルを繰り出すあたり、黒人はやっぱすげえ…という逆差別の思考放棄に陥らざるを得なかった。花束を寄せていた和田アキ子もすげえが、リズムがやっぱ和田の場合、演歌なのだった。彼女らはバリバリポップな選曲でも、ナチュラルなシンコペーションでブラックミュージックとなってしまうところが、やはりすげえ。

 みんなデブを隠すためもあろう瀟洒なロングドレスを身にまとっていたが、一番の巨漢のビバリーのショールが、途中、熱が入りすぎて、猪木ばりのスポーツタオルのような首の掛け方になっていたことや、最高齢のエラは、肘が肩より上に上がらないのか、ひとり振り付けを乱していた事も実に微笑ましい。

 また、ビートルズのナンバーがカバーされていたが、全部ポールの曲で、ポールの曲は誰がアレンジしても誰が歌っても名曲なのだった。ジョンの曲はカバーされない。ジョンの曲はジョン以外ありえねえということが強者になればなるほど分かるからビビッてやれねえんだろうな。シンプルすぎてアレンジしがいがないということもあろうが、ジョン以外がやるとたちまち駄曲になってしまうのだ。とはいえ彼女らなら「Don't Let Me Down」とかできそうな気がしたが。いなくても、すげえ事が証明されてしまうジョンであった…。

Maxine Brown「Oh no, not my baby」
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by ichiro_ishikawa | 2008-11-24 02:26 | 音楽 | Comments(0)  

侘び寂名曲ベスト5


 バンバンバザールの最新ブート盤「セクシャル・バイオレット」にスティング「イングリッシュ・マン・イン・ニューヨーク」のウクレレカバーバージョンが入っているが、すげえいい。
 前奏~Aメロは演奏のみで、コーラスで初めて「Oh~Oh, I'm an alien, Im a legal alien, I'm an Englishman In New~York」と全員で歌われるという構成もいいし、その時の歌の配置がバックボーカルの位置あたりに下げられているミックス(?)もすげえいい。
 「このアレンジ、すげえいいな…」と思いながら、ふと、「そういやスティングはザ・ポリースの頃からすげえいいシンガー兼ベーシスト兼メロディメイカーだったな…」という事実に思いを致した。しかもソロ時代はジャズのいいミュージシャンをバックに従えた演奏が頗(すこぶ)るゴキゲンで、侘び寂が効いている。
 「そういや侘び寂が効いている名曲ってあるな…」とリストアップしたい衝動に駆られたので、善は急ぐ。

Sting「Englishman In New York」

c0005419_041402.jpgこの曲が発表された80年代半ばという季節は、ポップソングにやたらサックスが入ってくるのだが、この曲でのサックスの入り方はそれとは一線を画すことに気づくのはよいことだ。ソプラノサックスはブランフォード・マルサリス。シンセ・ストリングスの打ち込みによる8ビートのレゲエの上に、自由なジャズが16ビートで音を並べるグルーヴがいい。「コーヒーは飲まない、紅茶が好きだね。トーストは片側だけ焼いたのが好み。会話のアクセントで分かるだろ。僕はニューヨークのイギリス人」という歌詞もいい。




Sade「Please Send Me Someone To Love」

c0005419_042269.jpgパーシー・メイフィールドの1950年のブルーズ・バラッド。アート・ループのスペシャルティのナンバーだ。チャンピオン・ジャック・デュプリー、B.B.キング、エッタ・ジェイムズ、グラディス・ナイトといったブルーズメンやソウルの面々、はたまたグレイトフル・デッドというロックバンドまでこぞってカバーしている超名曲だが、俺が好きなのはブリティッシュ・ブラック、シャーデーのバージョンだ。すげえいい。




Squeeze「She Doesn't Have To Shave」

c0005419_1464852.jpgスクイーズの第1位の名曲。スクイーズこそ侘び寂びミュージックの代表格。ピーター・バラカンは、あいつらは60年代のソウルが大好きだからね、と言っていた。




Squeeze「Up The Junction」

c0005419_1471467.jpgスクイーズの第2位の名曲。「She Doesn't Have To Shave」を探していたら見つけてしまったので入れざるを得なくなった。ほかにも関連動画としていろいろあったがキリがないので右手で画面を隠して見えないようにして本画面をキャプチャーした次第だ。




Bryan Ferry「Will You Love Me Tomorrow」

c0005419_153380.jpgかのビートルズも憧れたジェリー・ゴフィンとキャロル・キングの夫婦ペンによるこの超名曲は、誰もが一度はカバーするのだが、侘び寂びが効いた名カバーと言えば英国ダンディズムの体現者ブライアン・フェリーのバージョンだ。この、ちっとダサい感じがいい。そういや今のところ全部イギリスだな。侘び寂びはやはり孤立した島国にこそ生まれるのだろう。




Bryan Ferry「Smoke gets in your eyes」

c0005419_26324.jpgブライアン・フェリーの名カバーという事で芋づる式に出てきてしまうのがこの「煙が目にしみる」。近年ではホウ・シャオシェンの映画「百年恋歌」(2006年)で使われて爆発的にヒットしたプラターズの超有名曲で、これも古今東西の誰がカバーしてもそれなりにハマるのだが、やはりフェリーが侘び寂び面ではずば抜けている。このライブバージョンはレコードよりよくないが、疲れた男の哀愁が漂っていてなかなかいい。



続く(おそらく永遠に)…。

by ichiro_ishikawa | 2008-11-14 00:36 | 音楽 | Comments(2)  

池田晶子の最新作


「さて死んだのは誰なのか」という墓碑銘を残し、昨年2月に他界した池田晶子の最新作が上梓されるという。
 未発表原稿を集めたもので、その名も『人生は愉快だ』。
 毎日新聞社から定価1,575円で2008年11月刊行。
 いま地震が起きたら、小林秀雄全集と共に、池田晶子全著作だけは持って逃げる、途中よろめいても著作を抱えた手ははなさず、顔面で受け身を取る事も辞さない、そのぐらい大事な池田晶子全著作。ああ、池田晶子、考える人…。男の中の男…。小林秀雄のソウルの継承者…。なぜ死んだか…。

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by ichiro_ishikawa | 2008-11-05 02:13 | 文学 | Comments(2)  

ザ・スミスのシングルEPボックス発売


 なんだかんだ言って、洋楽チャート俺部門のベスト1であり続けているザ・スミスのシングルEPボックスセットが、10,000セット限定アイテムとして12月8日に発売されるという。

 本ボックスは復刻モノ取り扱いレーベルとして俺の評価が高いRhinoのUKによる企画で、12枚の7インチ・アナログ盤を収録。うち10枚は当時のオリジナル盤を復刻したもので、残り2枚は非超レア・アイテム。もともと4thシングルとして発売される予定だった「Still Ill」のDJプロモ用プレス盤と、オランダのみで発売された「The Headmaster Ritual」が今回復刻されるとのこと。

Singles Box [7 inch Analog] / The Smiths
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 これは果たして買うべきか。音源という側面から言えば不要。全部持っているし、全部歌えるし、ギターも全部弾ける(←ここはジョーク)。ただ、7インチのシングルEPという「モノ」、そして「ジャケ」、という価値はどうか。7インチのシングルEP、そう、俺にとって音楽とは、7インチのシングルEPだった。すべてはここから始まったのだ…。あの時、俺がそんなものに夢中になっていなかったら、きっと今頃は、裁判官か文部科学省の役人にでもなっていた事だろう。ジュリー・デルピーあたりと結婚し2、3人の子供をもうけ、田園調布に家を建てていた事だろう。
 そういうイージーな道を選ばなかったのは、すべて7インチのシングルEPのせいだ、そう言い切ってかまわない。

 たらればは、もう止そう。
 ザ・スミスは言わずもがな、シングルとジャケットが、いい。

「僕たちのシングルに独自の命がある。『ザ・クイーン・イズ・デッド』だけを聴いてもこのグループの事は分からない。僕たちのシングル観を知らなくてはだめなんだ」(ジョニー・マー)


特別企画「ザ・スミス シングル写真館」
<参考文献>
●http://www.passionsjustlikemine.com/smiths-d.htm
●「スミス:モリッシー&マー全曲解説」 ジョニー ローガン
●「ザ・スミス・ストーリー—心に茨を持つ少年」 ミック ミドルズ
●「ザ・スミス ファイル」


Hand In Glove
(May 1983)
c0005419_2255985.gif 写真は、1972年にサンフランシスコのターゲット・スタジオでルー・トーマスが撮ったジョージ・オマラ(マーガレット・ウォルターの1978年の本「The Nude Male」に収録)。バンド名がプリントされているのはUKオリジナル盤のみ。このジャケットは、1984年に12インチ・シングルとしてリリースされた「Still Ill」のドイツ盤でも使われた。


This Charming Man
(October/December 1983)
c0005419_2281223.jpg 写真は、ジャン・コクトー原作・監督・脚本の映画『オルフェ』(1949年)のジャン・マレー。


What Difference Does It Make?
(January/April 1984)
c0005419_228468.jpg このUKオリジナル版のモデルは、1965年の映画『The Collecor』のテレンス・スタンプ。ただし当人の許可を得ていたなかったため、後にモリッシーが同じ構図で同じポーズをとった写真に差し替えられた。


Heaven Knows I'm Miserable Now
(May 1984)
c0005419_2292178.gif1984年4月にはサンディ・ショウのボーカルでのシングルもリリースしている。写真はShoplifters Of The World Unite Nicholson。彼女の自伝「Spend Spend
Spend」(1977年)から採られた。同書からは、85年4月のシングル「Barbarism
Begins At Home」、88年に切られたCDシングル「Headmaster Ritual」でも使われている。


William, It Was Really Nothing
(August 1984)
c0005419_2294973.jpg1980年から1982年に“A.D.S. speakers”の広告に使われた写真がカバーを飾っている。法的理由から(こういうの多し)、1987年の再発時には、後に、アルバート・フィニーの1967年の映画「チャーリー・バブルズ」のビリー・ホワイトローの画像に差し替わった。さらに、1988年のCDシングルとしての再発時には、1964年の映画「ザ・レザー・ボーイズ」のコリン・キャンベルの画像に差し替わっている。その画像は、それ以前の1986年にリリーされたシングル「Ask」のドイツ盤でも使われていたもの。コレクター泣かせ(喜ばせ?)のザ・スミスであった。


How Soon Is Now
(February 1985)
c0005419_112165.gifこの曲は「William, It Was Really Nothing」のB面に収録されていたが、好評につき、1984年の秋に「William〜」と色あしらい違いの同画像ジャケで、EEC、オランダ、スペインでA面シングルとしてリリースされた。これは翌年2月にUK、アメリカで改めてシングルとしてリリーされた盤のジャケ。画像は1958年の映画「Dunkirk」のSean Barrett。アメリカ盤12インチには、1984年にグラストンベリーで撮られたメンバー写真がジャケを飾っている。


Shakespeare's Sister
(March 1985)
c0005419_2305077.gif写真は、1960年から現在まで続くイギリスの長寿ソープ・オペラ「Coronation Street」のPat Phoenix。


Barbarism Begins At Home
(April 1985)
c0005419_3103061.jpg「Heaven Knows I'm Miserable Now」でも使われていた「Spend Spend Spend」(1977年)から採られたViv Nicholsonの別画像。


The Headmaster Ritual
(early summer 1985)
c0005419_3112818.jpgこれは12インチ盤のジャケットで、ロデオ服の若い少年は、1965年の映画「The
Uncle」から採られたロバート・ダンカン。7インチ盤は、赤地にタイポグラフィをあしらったものだが超レア・アイテムとなっている。1988年のCDシングル化の際には、「Spend Spend Spend」(1977年)から採られたViv Nicholsonのまた別の画像が使われている。


That Joke Isn't Funny Anymore
(July 1985)
c0005419_2312570.jpgウクライナのJulia Solntsevaの映画「The Enchanted Desna」(1965年)より。フランス盤は色の処理が若干異なっている。


The Boy With The Thorn In His Side
(September 1985)
c0005419_2315962.jpgCecil Beatonが1949年に撮影したトルーマン・カポーティ。カナダ盤はバンド名が黒になっている。


Bigmouth Strikes Again
(May 1986)
c0005419_233018.jpg1948年にNelva Jean Thomasが撮ったジェームズ・ディーン。バンド名が「Smiths」だけなのは、本作と「Panicの2枚のみ。



Panic
(July/September 1986)
c0005419_233214.jpg1967年のイギリスのテレビ番組「Man In A Suitcase」のスター、Richard Bradford(て誰だよ)。


Some Girls Are Bigger Than Others
(Autumn 1986)
c0005419_2335968.gif写真はYootha Joyce。「Ask」 と同様で色のあしらい違い。7インチと12インチではわずかにタイポグラフィーが異なる。


Ask
(October 1986)
c0005419_2342631.jpg1965年の映画「Catch Us If You Can」(アメリカでは「Having A Wild Weekend」として知られる)のYootha Joyce。ドイツ盤とオーストラリア盤以外はすべて共通の画像だが、色のあしらいとバンド名の色が各国盤で全て異なる。ドイツ盤は1963年の映画「The
Leather Boys」のColin Campbell で、同画像は、1988年のCDシングル「Headmaster Ritual」でも使われている。オーストラリア盤は、1986年のツアー・ポスターの前に立つモリッシーの画像。


Shoplifters Of The World Unite
(January 1987)
c0005419_2345527.jpg1955年のエルヴィス・プレスリー。彼のヘアドレッサーが撮影したエルヴィス最初のプレスショット。ついにミュージシャンの画像をジャケにしちゃうつけ。エルヴィスのレコードだと思ってしまうが、ある意味エルヴィスのレコードなのでOKだ。


There Is A Light That Never Goes Out
(January 1987)
c0005419_2354833.jpgアイス・キャンディーを食らう少年。この写真のポスターは、1986年の「The Queen Is Dead」ツアーでも売られていた。


Sheila Take A Bow
(April 1987)
c0005419_2361680.jpg映画「Women In Revolt」(1971年)のCandy Darling。Candy Darlingは、James Lawrence Slatteryと言う名のドラッグ・クイーン。


Girlfriend In A Coma
(August 1987)
c0005419_2364071.jpg画像は、「A Taste Of Honey」の1961年版から採られた劇作家Shelagh Delaney。アルバム「Louder Than Bombs」でも使われた。



I Started Something I Couldn't Finish
(6 November 1987)
c0005419_237228.gifBill Naughtonの芝居「All in Good Time」(1963年)を基としたイギリスのコメディ映画「The Family Way」 (1966年)のAvril Angers。


Stop Me If You Think You've Heard This One Before
(November 1987)
c0005419_2372570.gif「The Family Way」(1966年)のMurray Head。例によって各国盤で色違い。


Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me
(11 December 1987)
c0005419_2383245.jpg写真は、50年代後半から60年代前半に活躍したイギリスのポップシンガー、Billy
Fury。

by ichiro_ishikawa | 2008-11-03 02:41 | 音楽 | Comments(0)