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Complex


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 1990年の活動休止以来、実に21年。まさかの、ありえないライブが実現した。いまだにどこか現実ではないような感覚も残る。もうない。だから2日行った。
 ちなみにBOφWYは、200%ない。氷室が氷室である限り、ない。氷室が氷室でなくなったら氷室は引退するからどう転んでもないのであった。

 Complexは、BOφWYで日本のポップミュージックシーンの頂点に立った布袋が『GUITARHYTHM』(1988)と『GUITARHYTHM II』(1991)という音楽的に一つの最高潮に達したタイミング(1989〜1990)での活動なので、音楽的なクオリティが相当高い。吉川晃司は、アイドルからロックシンガーへと自然に推移して行く、シンガーとしてのみならずミュージシャンとして成長途上という時期にあった。
 おそらく結成時の布袋はそう認識していたはずで、BOφWY時、ミュージカル・リーダーではあったが、氷室のカリスマ性に対しては格下を認めて、そこに、サイドで自由にやる、ある種の心地よさも持っていたであろう布袋は、吉川に対しては、音楽的な事に関しては完璧に実権を握るという暗黙の前提があったと思われる。
 一方、ロックミュージシャンとして第二の音楽キャリアをスタートさせたかった吉川は、当時ロックの権化的存在であった布袋をパートナーとして得たというだけで磁場は固まり、舞台は整った、という意識であったはずだ。つまり客観的に見れば、音楽的には布袋にゆだね、自分はシンガー、パフォーマーに徹していれば安泰であったはずなのだが、吉川は布袋と「対等」に交わっていく。音楽の才能では完全に格が違うのだが、吉川のロックスピリットが、布袋に寄りかかる事を許さなかった。その思惑の齟齬が、音楽的な齟齬に直結し、「半永久的に続けるつもり」(布袋談・1989年)であった両者の意図に反して、結果的に二年という短命にComplexを終わらせたのであった。
 
 その後、布袋は、シンガー、センターに立つパフォーマー、ソロ・ミュージシャンとしての力も身につけ、吉川や氷室と「同じ土俵」で商業的にも大成功を収め、完璧に独り立つという、奇跡を起こす。吉川は、布袋から多くのものを盗み、ミュージシャンとしての実力に磨きをかけていく。
 現時点で、布袋には余裕があると見る。布袋が出来る事を吉川は必ずしも出来ないが、歌とパフォーマンスというかつては布袋が出来なかった(質の差異は問題にしていない。大きな枠として言及している)吉川が出来る事は、今や布袋も出来るのである。吉川も作曲、ギター能力は飛躍的に伸び、エンターテイナーとして第一線に君臨し続けているが、やはりミュージシャンとしての実力の差は埋まっていない。
 そうしたタイミングでの二夜限りの再結成。
 ステージにその緊張感がみなぎっていた。布袋は終始笑顔で余裕。人格者的片鱗も見せつけ、吉川は表情は硬く、布袋の凄まじいパフォーマンスについていくのに必死(あの一大パフォーマー吉川がだ)。
 だが、この再結成を持ちかけたのは吉川の方なのだ。この吉川のチャレンジをこそ何よりも評価したい。鍛え抜かれた肉体、声、パフォーマンス。若き頃のキレはさすがにないものの、45歳の今でないと出ない迫力と貫禄に満ちていた。ギターテクニックが格段に増し、ステージパフォーマンスにおいても派手に煽りまくる布袋を横に、自分の力を120%をぶつけていく吉川の気迫、スリルがもの凄かった。
 エルヴィスが晩年完璧に落ちていったのに比し、日本のエルヴィス・プレスリーである吉川は、布袋という怪物の存在で、きわめてロックであり続けている。天才・布袋と暴れん坊・吉川がぶつかることで生まれるこの緊張感と疾走感が、Complex。近年まれに見る秀逸なギグだった。

今回のベスト5
1 CRY FOR LOVE
2 GOOD SAVAGE


COMPLEX「日本一心」セットリスト
2011.7.31 TOKYO DOME

01. BE MY BABY
02. PRETTY DOLL
03. CRASH COMPLEXION
04. NO MORE LIES
05. 路地裏のVENUS
06. LOVE CHARADE
07. 2人のAnother Twilight
08. MODERN VISION
09. そんな君はほしくない
10. BLUE
11. Can't Stop The Silence
12. CRY FOR LOVE
13. DRAGON CRIME
14. ROMANTICA〜PROPAGANDA
15. IMAGINE HEROES
16. GOOD SAVAGE
17. 恋をとめないで
18. MAJESTIC BABY
<アンコール>
19. 1990
20. RAMBLING MAN
<ダブルアンコール>
21. AFTER THE RAIN(朱いChina)

by ichiro_ishikawa | 2011-07-31 23:58 | 音楽 | Comments(0)  

仲井戸麗市×バンバンバザール


仲井戸麗市がやって来る ヤア!ヤア!ヤア!
バンバンバザール presents
勝手にウッドストック 10周年
※2004年版のレポートはこちら


THE仲井戸麗市BOOK
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by ichiro_ishikawa | 2011-07-27 01:45 | 音楽 | Comments(0)  

哀悼 エイミー・ワインハウス

Amy Winehouse
1983年9月14日 - 2011年7月23日
ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリスン、カート・コバーンと同じ、享年27…。
















by ichiro_ishikawa | 2011-07-24 16:49 | 音楽 | Comments(0)  

追悼 中村とうよう

 中村とうよう 1932年7月17日 - 2011年7月21日

 中村とうよう氏が亡くなった事を今朝ピーター・バラカンのラジオで知った。
 中村とうよう氏はミュージックマガジンの創始者で音楽評論家。私はロッキング・オン渋谷陽一派だったので、かの有名な中村・渋谷論争で完敗した中村氏を、その事実のみで軽視していたのだが、30代に入ってから自分の音楽的嗜好がルーツミュージック、ジャズ、ワールドミュージックに傾いていくにつれ、ブラックミュージックのピーター・バラカン、ルーツ研究のハリー・スミス、アラン・ローマックスと共に日本の重鎮中村とうようの著作物も積極的に読むようになったのだった。
 音楽批評の可能性を果敢に模索し、私に、吉本隆明から小林秀雄に最終的に行き着くための、批評の入り口を示してくれたのは紛れもなく渋谷陽一だが、19世紀後半から現在までのポップミュージックの全体を客観的体系的に捉え直す思索に一役買ってくれたのが中村とうよう氏であった。
 どちらも出版人で大衆音楽についての文章を書くため、つい同じ土俵で語られがちだが、文章の内容から言えば、渋谷は批評、中村は研究という全く異なる仕事をしているといえる。
 以下、中村とうようベスト5.

大衆音楽の真実』 (ミュージックマガジン、1985年)
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アメリカン・ミュージック再発見』(北沢図書出版、1996年)
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by ichiro_ishikawa | 2011-07-22 09:37 | 文学 | Comments(0)  

河野裕子読本

歌人・河野裕子
(1946年7月24日 - 2010年8月12日)

手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が
(2010年 絶唱)
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河野裕子読本 角川『短歌』ベストセレクション
7月23日発売。
家族への愛を死の直前まで歌い続けた歌人・河野裕子。
彼女が主要舞台の一つとした雑誌『短歌』に遺した歌と文章、特集記事、撮り下ろし写真などから、その足跡を改めて追った一冊。
夫・永田和宏、子・淳、紅の3人による家族座談会も新たに掲載。

by ichiro_ishikawa | 2011-07-21 18:55 | 文学 | Comments(0)  

小林秀雄全文芸時評集


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『小林秀雄全文芸時評集 上』 (講談社文芸文庫)
7月9日発売
昭和5年から昭和9年前半までの20余篇を収録。
昭和9年後半から昭和16年までの20余篇収録の下巻は8月11日発売。

by ichiro_ishikawa | 2011-07-18 21:35 | 文学 | Comments(0)  

モリシー23歳→51歳



モリシーの最新ライブ。
Morrissey 「This Charming Man」(2011)


28年前。
The Smiths 「This Charming Man」(1983)

by ichiro_ishikawa | 2011-07-05 01:34 | 音楽 | Comments(0)