「アメリカン・ポップミュージック前史」年表

1776年
アメリカ、イギリスの植民地から独立国家に。
その頃からアイルランドやスコットランドの民謡の替え歌を含む白人の作品とロンドン出版の作品が出版。

  〈国勢調査1790年〉
  ●総人口393万人
  ●うちイギリス人約320万人、スコットランド人19万人
  黒人は約70万人(約18%)

  〈国勢調査1860年〉
  ●総人口3144万人(ドイツ、アイルランド移民が増加)
  ●黒人は約444万人(約14%)

1840年代
ミンストレル・ショー流行。
アメリカ史上最初のソングライターで“アメリカ民謡の父”と呼ばれるペンシルヴェニア州の白人スティーヴン・コリンズ・フォスター登場。「草競馬」「おおスザンナ」など。

1860年代
白人のヨーロッパ風歌曲中心だが、ニグロ・スピリチュアル(黒人霊歌)活発に。
ヴォードヴィル流行。

1870年代
ミュージカルがミンストレル・ショーやヴォードヴィルの要素を加え大衆演劇として発展。

1880年代
ポピュラーソングの出版社がニューヨークに集まりはじめる。

1890年代
シンコペーションに特色のあるピアノ音楽、ラグタイム誕生。スコット・ジョプリン、トム・ターピンなど。

1900年代
ニューオリンズの黒人たちがジャズを創造。

ニューヨークの音楽出版街さらに活況を呈する。T.B.ハームス、M.ウィットマーク&サンズ、ハウリー=ハヴィランド&ドレッサーなど。
楽譜購買者のために店でピアノを弾き伴奏を。
その騒がしい様子から、「ニューヨーク・ヘラルド」記者モンロー・ローゼンフェルドが、“ティン・パン・アレー”と命名。

作家陣の人材が豊かに。
ヴィクター・ハーバート(アイルランド移民)、ルドルフ・フリムル(チェコスロヴァキア移民)、シグムンド・ロンバーグ(ハンガリー移民)、ジェローム・カーン(ニューヨーク)、アーヴィング・バーリン(ロシア移民)など。

1910年代
アーヴィング・バーリン「アレキサンダーズ・ラグタイム・バンド」作曲。

W.C.ハンディ「セントルイス・ブルース」作曲。

ジョージ・ガーシュウィン「スワニー」作曲。


1920年代
クラシック・ブルース隆盛。
ベッシー・スミスなど。

カントリー&ウエスタン番組「グランド・オール・オプリ」放送
ジミー・ロジャース「ブルー・ヨーデル」(1928年)ヒット。

1930年代
●キューバのルンバ・ブーム
ドン・アスピアス楽団、ザビア・クバート楽団→マリオ・バウサ、マチートなど。
スウィング・ブーム
ベニー・グッドマンなど。
ラテン音楽ブーム
カルメン・ミランダなど。


1940年代
ビ・バップ隆盛。
チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなど。
リズム&ブルース隆盛

1950年代
モダン・フォーク運動静かな高まりを。
● ロックンロール誕生
チャック・ベリー、リトル・リチャード、エルヴィス・プレスリー、バディ・ホリー、エディ・コクランなど。
※本blog、2004年12月24日付「ビートルズが生まれた背景」参照


こうした流れを受け、ポップ・ミュージック・クラシックとも言うべき、1958〜64年の「ブリル・ビルディング・ポップ」が誕生する。
To be continued

# by ichiro_ishikawa | 2005-03-01 22:12 | 音楽 | Comments(2)  

特集「大滝詠一ベスト5」

①福生ストラット(パートII) 『ナイアガラ・ムーン』(1975年)収録
②あつさのせい 『大滝詠一』(1972年)収録
③ハンド・クラッピング・ルンバ 『ナイアガラ・ムーン』(1975年)収録
④シャックリママさん 『ナイアガラ・ムーン』(1975年)収録
⑤楽しい夜更し  『ナイアガラ・ムーン』(1975年)収録
⑥いつも夢中 『ナイアガラ・ムーン』(1975年)収録
⑦CIDER '73 '74 '75 『ナイアガラ・ムーン』(1975年)収録
⑧びんぼう 『大滝詠一』(1972年)収録
⑨ロックン・ロール・マーチ 『ナイアガラ・ムーン』(1975年)収録
⑩ウララカ 『大滝詠一』(1972年)収録


 思いきり片寄った。大名盤『ロング・バケイション』から1曲も入らないという。まあ、こうしたベスト5ものは、日々の気分で左右されるものなので、そも、あまりシリアスな順位付けはしていない。

 以下、「すごい」としか言ってない解説。

①ニューオリンズ・サウンド爆発。本家ミーターズも舌を巻くド・ファンキー・グルーヴィー・ロックンロール・チューン。「♪フッサ、行きの、切符買って〜」のノリが最高。ついでに、「♪おーまも りーに」のコーラスもカッコいい。日本語をここまでグルーヴさせる手腕、ただの手や腕じゃない。驚愕としかいえない。

②本ブログ1/26付・不定期連載「このボーカルがすごい」参照

③「♪ヘーン、クラップ、ヘーン、クラップ、ッルンバッ」のノリが最高。「♪水道蛇口ひねるとジャーだよ拍手手拍子、いつでもホカホカご飯はジャーだよ拍手手拍子」という歌詞の内容の無さにも驚かされる。

④本ブログ2/24付・不定期連載「このシャックリがすごい」参照

⑤特にメロディが凄い。凄いポップチューン。「♪たのしいよ」のコーラスも楽しい。

⑥「グンナイベイビー」でお馴染み日本が誇る激凄コーラスグループ、キングトーンズとの共演。「♪ジニジニバ、ジーニジニバッ」のコーラスが面白凄い。コーラスが大滝のメインボーカルよりやや前に出たミックス加減もいい。大滝の唄うメロディーラインの旋律も物凄いことになっている。聴いていると物凄すぎて顔が紅潮して汗が出てくる。

⑦CM曲。すげえサイダーが飲みたくなってくる。完璧なCMソング。これはクライアントは仰天だろう。売り上げが500%伸びたという(推定)。メロディーがキャッチーだが奥深い。とんでもないメロディーメーカーだ、大滝は。

⑧「福生ストラット」と同様、ウルフルズがカバーしたことで有名なファンキーチューン。「♪あせだ、クニッ! クニッ!(汗だくに)」や、「♪宝クジッ!クジッ!」、「♪食べるニクニクッ(肉)」と、またしても日本語のリズムとメロディーの乗せ方が、グワッと憎い。

⑨またしてもニューオリンズ・サウンド爆発。腰をくねらせながらウキウキ大行進したくなる。また途中のエルヴィス・プレスリーの物真似がすごい。サビの「♪ロックンロール・マーチ」に対する「♪ゴー!ゴー!」というバカコーラスも気分を高揚させる。

⑩フィル・スペクタープロデュースの「ダ・ドゥー・ロン・ロン」へのあからさまなオマージュ。こんなにもあの「ポップネス」を自分のものにできるとは、どんだけ50〜60'sアメリカンポップスに造詣が深いんだ、という驚きのナンバー。

# by ichiro_ishikawa | 2005-02-25 20:49 | 音楽 | Comments(0)  

不定期連載「このシャックリがすごい」

第1回「シャックリ・ママさん」by 大滝詠一
収録アルバム『ナイアガラ・ムーン』(1975年)

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 シャックリ・ママさん台所
 水を飲んでも びっくりしても
 どうにもシャックリ止まらない

 シャックリ・ママさんお洗濯
 洗剤値上がり止めたいけれど
 まずはこのシャックリ止めて

 シャックリ・ママさん庭掃除
 帚かかえて歌唄う
 背中で鳴ってるトランジスター・ラジオ

 シャックリ・ママさん編みもの
 手を止すませて呟いた
 どうも浮き世は儘ならぬ

 シャックリ・ママさん大欠伸
 手で口押さえお茶にごし
 肩がこったとひねる首


 ロックンロール・オリジネイターのひとり、バディ・ホリーが生みの親とされるシャックリ唱法というのがあって、やる人がやるとこれがすこぶるカッコいい。この「シャックリ・ママさん」はそのタイトルからしてあからさまな、シャックリ唱法やってます宣言にして、シャックリ唱法の金字塔である。

 大滝詠一『ナイアガラ・ムーン』の楽曲は、サウンドとボーカルが抜群にカッコ良く、歌詞もなんだか英語のようで、普通に聴いている分には高級なアメリカのロックを聴いている感覚にとらわれる。なんといってもノリが素晴らしく音楽に合わせ腰をくねってダンスせざるを得ない。ところが歌詞をよく聴いてみると、実は日本語なのである。そして、意味がとんでもなくくだらない。中ではまだマシな方であるこの「シャックリ・ママ」さんも、こんなカッコいいサウンドとボーカルでこんなこと言ってんの!?とずっこけてしまう。

 大滝詠一はこの『ナイアガラ・ムーン』ではありとあらゆるサウンドと唱法を駆使していて、それはあたかもミュージック大全集の様相を呈している。ロックンロール、ルンバ、カントリー、ドゥーワップ、ポップ、ファンク、ニューオーリンズ……。どれも著しくハイ・クオリティで、歌詞が著しくくだらないという。
 ともすると、この高級感がスノッブになり権威主義的になりがちだけれど、決してそうならず、むしろそうしたものの対極にあり得るのは、全編を貫く主調低音——グルーヴとセクシャリティのためだ。どんな高級なことをやろうとも、常にどんな主義主張とも相容れない位置にい得る。すなわちロックである。そこが大滝が、立教出の天才音楽家・細野晴臣や、文学青年・松本隆、ギター小僧・鈴木茂とまったく違うところだ。大滝詠一の根本にはプレスリーがある。

# by ichiro_ishikawa | 2005-02-24 20:26 | 音楽 | Comments(2)  

吉川晃司私論

吉川晃司ライヴリポート
2005年2月1日 日本武道館 
「KOJI KIKKAWA 20th〜21st LIVE GOLDEN YEARS“Thanks 0201”」

 吉川は一時、異様なまでにロックにこだわっていた時期がある。西暦でいうと1986年から1989年、1965年生まれの吉川が21〜24歳の時期である。作品でいうと、布袋寅泰もギターで参加している『Modern Time』以降、COMPLEX期までである。
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 とはいえ、吉川は映画スター兼アイドル歌手としてデビューしたものの、作曲家陣はNOBODY(「モニカ」)、大沢誉志幸(「La Vi En Rose」)といったロック寄りのミュージシャンが顔を並べていて曲自体はロック調だったし、テレビでのパフォーマンスも従来のアイドルの型をはみだすものだった。 1985年の紅白歌合戦ではギターを燃やしステージで叩き割りNHK出入り禁止処分を受けたりしている。要するに、所属事務所、渡辺プロダクションからはアイドルという枠でプロデュースされながらも、内に煮えたぎるロック的なるものは常に燃え続けていた。
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 そうした内なるロック的なものを発散させるためにアイドルという居方(いかた)が窮屈になっていたのが、86年頃で、折しも隣の畑、ロックシーンでは、インディーズとメジャーの垣根が崩れはじめんとしていた頃だった。吉川は、同業のアイドル歌手らとの付き合いを一切せず、布袋寅泰をはじめとするBoφWY一派、大沢誉志幸、尾崎豊、岡村靖之、アン・ルイスらと親交を深めていた。アイドル歌手=テレビサイズ、という枠から自由な彼らのスタンスに吉川は憧れ、アイドルと呼ばれることを嫌悪し、それがテレビ出演拒否、自作自演への渇望、ロックサウンドの追及といった行動に現れていった。
 当然の成りゆきなのか、レコードセールスは下降線を辿り、煮詰まり、一時、活動を中止する。ちょうどその頃、盟友、布袋寅泰がBOφWYを解散した。
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「とりあえずソロアルバムを1枚作りたい」という布袋の意志を汲み、その間吉川は1年の充電期間を経て、1989年春に満を持して布袋寅泰とのユニット、COMPLEXとして再活動することになる。てめえの存在感がハンパでない布袋は、その前に立てるシンガーは、氷室京介以外では吉川しかいないと思っていたし、ロック・ミュージシャンというステイタスをなんとか掴みたかった吉川にとっても、布袋というロックの代名詞的人物とユニットを組むということは、その最も有効な手段だった。
 だが、そのCOMPLEXは2枚のアルバムを残し、活動を休止する。「仲のいい者同士がユニットを組むと別れたときにその溝は仲が良かった分だけ修復不能なぐらい深くなる」という、結成時の2人に音楽評論家・渋谷陽一がなかば冗談半分に呈した苦言が不幸にも的中してしまう。
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 原因は音楽的方向性の不一致だが、内実は音楽的なものではなく、互いが求める位置関係の不一致だ。具体的にいえば吉川をマリオネット的に扱いたかった布袋、布袋のロック的なるものを取り入れつつもやはり自分を主役に置きたかった吉川、という図式がある。普通に考えれば、吉川は作曲家としての布袋にしっかりと寄り添い、自分は歌詞に集中してシンガーとしてやっていればバンドのクオリティ的には申し分ないはずだったが、「俺も曲を書く」だったのである、吉川は。そうした「俺が俺が」と前に出ざるを得ないこの2つの超個性は、袂を分かつことになる。
 だが、COMPLEXでロック・ミュージシャンとしてのステイタスを得た吉川は、そのロック・スピリットをより研ぎ澄ました方向で走る。音楽的にはさまざまなものを布袋から吸収し、大衆に訴えうるロックというものを学んだと言える。楽曲はロック的な意味でよりポップになり、それは、「せつなさを殺せない」(93年)、デビュー10周年という節目での「KISSに撃たれて眠りたい」(94年)、そして30歳を迎えるにあたっての所信表明「Boy's LIFE」で完成する。
 その後はもう、ロックとかアイドルとか歌謡曲といったカテゴライズがまったく不要になっていく、存在がロックという、真の意味でのロック・ミュージシャン吉川晃司ができあがったわけである。近年のテレビバラエティや映画、CMへの出演というのはなんのことはない、何をやっても吉川ならロック、そこまで来ているのである。
 そんな吉川の魅力とは外的にはアクションと色気、内的には破天荒なところだろう。
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「ロックとは成熟にはなく、熟すまでの緊張にある」とは大滝詠一の言葉だが、まさにそうした緊張が吉川には常にある。それが、ああしたアクションと色気につり合っている。そして、それはあのタッパ、肩幅でなければなし得ないものである。
 吉川はロックであり、アイドルである。というか、ロックとはアイドルでなければならない。エルヴィスがまさにそうであった。歪ませたギターをうつむきながらかき鳴らせば文学的でロックだ、ロックはとは知性だ、といったありふれたテーゼを文字どおり一蹴する。吉川は言うだろう、ロックはセックス&バイオレンス、そしてユーモアだ。
 今日も吉川はベタな英語風日本語でシャウトし、バック宙を決め、シンバルを蹴り挙げ、腰をくねらせてダンスする。それが吉川晃司だ。

※写真はパープルスネーク吉川晃司より無断で拝借しております。

Webザテレビジョンでのリポート

# by ichiro_ishikawa | 2005-02-02 18:13 | 音楽 | Comments(4)  

不定期連載「このボーカルがすごい」

第1回「あつさのせい」
収録アルバム:『大瀧詠一』大滝詠一(1972年)

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あつさでのぼせ上がった
こころは宙に浮いたまま
ウロウロ フラフラ
身体はもぬけの殻なんだ
落ち着かないんだ
ソワソワしてしまって
八つ当たりのし通し
あつさのせい

妙に怒りっぽいんだ
なんでも癪の種なんだ
だからいざこざおこすんだ
御機嫌ななめなんだ
全然スカッとしないんだ
へんてこな気持ちなんだ
あつさで気が狂ったみんな
あつさのせい

声質ははっぴいえんどのロック路線。
かなり黒人的なグルーヴを出している。
ことばのタメ、息の抜かせ方、語尾の響かせ方、息を「発語」するところなど、
素晴らしい。聴きどころ満載。日本語の文節を解体した節回しもカッコいい。

# by ichiro_ishikawa | 2005-01-26 22:00 | 音楽 | Comments(2)  

U2最新シングル「VeRTigo」が凄い

U2最新シングル「VeRTigo」が、ロックの最新アンセムになった理由。

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●3分
●ド・キャッチー(ポップ)
●カッコイいいギターリフ
●シンプルなコード進行
●ソウルな歌詞
●タイトでグルーヴィーなリズム
●アメリカンロック伝統のAB形式で、かつフックの効いた曲構成

以下、すげえ点を曲の時系列で具体的に見てみよう。

0.00 ドラム、ラリー・ミューレン Jr.のバチでのカウント
0.01 出だしのジ・エッジのミュートカッティング
0.05 イントロにからんでくるボノのカウント
   「ウーノ、ドス、トレーズ、ドッコイショー!」※
0.07 続くジ・エッジの激カッコいいディストーション・ギター・リフ

つまり、ここまで7秒ですでに決まり。いわゆる秒殺というやつだ。

0.10 歌に入ってからのジ・エッジのあまり弾かないミュートカッティングと、その入って来方(きかた)
0.10 その時のアダム・クレイトンのベース・リフ(2回目のA−G#−Gはオクターブ上がる)
0.22 サビのボノのボーカルとキャッチ−なメロディ、とスペイン語の間の手    
   (Hello !、Where is It !の意)
1.10 2番でAメロが展開するときのジ・エッジのコーラスがかったディレイ・ギター
1.17 そこからサビに突入するときの歌詞
   「スゥィーンギング・トゥ・ザ・ミュージック、スゥィーンギング・トゥ・ザ・ミュージック」
1.50 と、それにかぶさる「Oh、Oh」のコーラス
1.51 サビでのボノのボーカルに絡んで来るバック・コーラス
2.20 間奏のジ・エッジのシンプルなギター
3.00 最後の「イェー、イェー、イェー」の歌詞と意味、そして曲の終わり方(果て方)

基本的に「イェー」とか「ベイビー」といった歌詞を信じる。
一歩間違えれば、威勢はいいが内容のないキッズ・チューンになってしまうが、
それがU2から発せられると、ちゃんとロックになるから不思議だ。
40歳をゆうに過ぎてもロックであるということに驚きだ。

※ボノのカウントはスペイン語で「Unos dos tres catorce」で、つまり「1、2、3、14」、最後が14なのは単なる洒落か、あるいは聖書的なちょっとした意味があるのかどうか。

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シングル「VeRTigo」


収録アルバム
『How To Dismantle An Atomic Bomb』


   

# by ichiro_ishikawa | 2005-01-20 21:48 | 音楽 | Comments(2)  

ザベストテン(アメリカ編)

続編。
「俺(ギターロック好き、外国作はあまり深く聴いていない、といってもよい)が好みそうなロックの大名盤を教えてくれ」という他者からの依頼に真っ向から応えてみた。まず、普通にセレクトしていったら全部で100枚ぐらいになるが、これでは依頼の主旨にそぐわないので“バッサバッサ”と大鉈で削っていったということを付記せずにはおけない、ということを踏まえて参照されたし。また、いわゆるブルース、R&B、ソウルは入れてない(が、いずれのアルバムも、ロックである以上、ブルーズやR&Bの影響が濃いのは言わずもがな)。
※リリース順 ※1アーティスト1枚 ※コメントは随時更新予定


1『Mr. Tambourine Man』The Byrds (1965)c0005419_14461810.jpg
61〜65年ボブ・ディラン×65年ビートルズ=ザ・バーズ。ロジャー・マッギンのリッケンバッカー12弦ギターがすげえいい。



2『Blonde On Blonde』BOB DYLAN(1966)c0005419_14453129.jpg
アメリカのジョン・レノンことボブ・ディラ夫の7作目。ほか、『highwy61 Revisited』(1965)『Bring It All Back Home』(1965)『Blood On The Tracks』(1975)もド名盤。


3『Pet Sounds』The Beach Boys(1966)c0005419_14573279.jpg
偉大なるノイローゼ、ブライアン・ウィルソンが独りで作った、じわじわくる大エヴァーグリーン・アルバム。コーラスの美しさは言わずもがな、メロディーも素晴らしい。


4『The Velvet Underground & Nico』The Velvet Underground (1967)c0005419_1458143.jpg
60年代ニューヨークの質感がすごくいい。本当のことを言うと、2nd『White Light / White Heat』、3rd『Velvet Underground』がすごくいい。


5『Buffalo Springfield Again』Buffalo Springfield (1967)c0005419_14455615.jpg
ニール・ヤング、スティーヴ・スティルス在籍の短命バンドの2nd。カントリー、フォーク、R&Bぎっしりの米ロックの超名盤。ニール・ヤングのソロ、“クロスビー、スティルス、ナッシュ”も外せない。


6『Groovin'』The Young Rascals(1967)c0005419_14584217.jpg
イタリア系アメリカン・バンド。ソウルフルでハスキーなヴォーカルがいい。曲もグルーヴィでメロディアス。


7『Electric Ladyland』Jimi Hendrix(1968)c0005419_1551246.jpg
3rd。ノエル・レディング、ミッチ・ミッチェルとのエクスペリエンス名義の1st『Are You Experienced ?』、2nd『AXIS : Bold As Love』(1967)も同様に素晴らしい。このオリジナルジャケ盤は今は入手困難。


8『Kick Out The Jams』MC5(1968)c0005419_14511433.jpg
デビュー盤にしてライヴ録音。ストレートで粗削りな勢いが凄い。ザッツ・パンク。ロンドン・パンクがスウィートに過ぎるように感じるのに比べ、どこかピリッとした、引き締まった感じがいい。


9『Bitches Brew』Miles Davis(1969)c0005419_14513659.jpg
ジャズだけどロックといってもいい。不穏でおどろおどろしい雰囲気がいい。緊張感のある演奏でリラックスできないところがいい。


10『The Band』The Band(1969)c0005419_14571293.jpg
傑作『Music From Big Pink』(1968)に続く2nd。ディス・イズ・アメリカン・ロック。マーティン・スコセッシの映画『ザ・ラスト・ワルツ』もあわせて見た方がいい。


11『The Stooges』The Stooges(1969)c0005419_14575239.jpg
イギー・ポップ率いる元祖パンク。スウィートでないザクッとした質感がいい。『Fun House』 (1970)『Raw Power』(1973)もいい。イギー・ポップのソロもいい。


12『There's A Riot Goin On 』SLY& THE FAMILY STONE(1971)c0005419_1512573.jpg
ブラックミュージックとロックの壁を壊したバンドで彼らの最高傑作。ファンクの原点。邦題『暴動』。


13『Marquee Moon』Telvision(1977)c0005419_14564549.jpg
ヴェルヴェッツとR.E.M.、ソニック・ユースの間にいるNYパンクの裏のボスの1st。2本のギターを中心にしたまるで纏まりのないラフなサウンドとフランス象徴派詩人の影響が見られる歌詞がカッコいい。


14『Sign 'O' The Times』PRINCE(1987)c0005419_14542956.jpg
80年代までのアメリカン・ミュージックが全部詰まっている。プリンスはすごくいい。『Dirty Mind』(80)もいい。


15『Document』R.E.M.(1987)c0005419_14465350.jpg
ピーター・バックのギター・楽曲、マイケル・スタイプの歌詞・ボーカル、完璧。全作品すごい。


16『Daydream Nation』Sonic Youth(1988)c0005419_14562317.jpg
ロックの金字塔。完璧。すごい。カッコいい。


17『Blood Sugar Sex Magik』RED HOT CHILI PEPPERS(1991)c0005419_14551510.jpg
ベースがすごいことになっている。ギターリフのカッコ良さなど、どこをどう聴いても素晴らしい。全米大ヒットシングル「Give It Away」収録。メロディに力を入れて国民的バンドになった『Californication』もとてもいい。


18『Never Mind』NIRVANA(1991)c0005419_14531741.jpg
カート・コバーンが爆発した2nd。トータルとしては3rd『In Utero』(1993)の方がいいが、「Smells Like Teen Spirit」が入っているのでこれにならざるを得ない。


19『RAGE AGAINST THE MACHINE』
RAGE AGAINST THE MACHINE(1992)
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トム・モレロのギター(リフ系)、ザック・デ・ラ・ロッチャのラップも最高。ヒップホップ的なロック。


20『Are You Gonna Go My Way』Lenny Kravits(1993)c0005419_14485418.jpg
キャッチ−なブラック・ロック。1st『Mama Said』2nd『Let Love Rule』もすごくいい。


21『Ill Communication』Beastie Boys(1994)c0005419_14442622.jpg
白人ヒップホップ。ラップとギター、ドラム、ベースがカッコいい。


22『Orange』Jon Spencer Blues Explosion(1994)c0005419_14474942.jpg
ブルースが爆発。ベースがいないスカスカ感もいい。『Now I Got A Worry』(1996)も。


23『Mellon Collie and the Infinite Sadness』
The Smashing Pumpkins(1995)
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アメリカン・オルタナティヴ・ロックの雄の3作目で2枚組。前2作以上にBilly Coganのソングライターとしての力量が前面に。ハードでエモーショナルな1枚目とメロディアスでメランコリックな2枚目の対比がいい。


24『Odeley』Beck(1996)c0005419_14451244.jpg
完璧。すごい。カッコいい。顔は可愛い。


25『Is This It』The Strokes(2001)c0005419_1459323.jpg
シンプル・イズ・ベスト。ニューヨークの音。

# by ichiro_ishikawa | 2005-01-19 15:04 | 音楽 | Comments(1)  

ザベストテン(イギリス、アイルランド編)

「俺(ギターロック好き、外国作はあまり深く聴いていない、といってもよい)が好みそうなロックの大名盤を教えてくれ」という他者からの依頼に真っ向から応えてみた。まず、普通にセレクトしていったら全部で100枚ぐらいになるが、これでは依頼の主旨にそぐわないので“バッサバッサ”と大鉈で削っていったということを付記せずにはおけない、ということを踏まえて参照されたし。また、いわゆるプログレッシヴ・ロック(ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエスetc.)は入れてない。
※リリース順 ※1アーティスト1枚 ※コメントは随時更新予定

1『Kinks』The Kinks(1964)c0005419_170424.jpg
このバンドには膨大な数の作品があるため1枚選ぶのは無理。不滅のロッククラシック「You Really Got Me」収録の1stでお茶濁し。本当は、グレイテスト・ヒッツ的なもの、とりわけパイ・レーベル時代のコンピ盤がおすすめ。


2『Five Live Yardbirds』The Yardbirds(1964)c0005419_175038.jpg
1964年ロンドン・マーキークラブでの全曲カバーのライヴ作(デビュー作)。ホワイト・ブルース・ロックの名盤。ギターはエリック・クラプトン(本作発売前後に脱退)。キース・レルフのハープ、ポール・サミュエル・スミスのベースが物凄い。


3『The Who Sings My Generations』The Who(1965)c0005419_1754649.jpg
1st。モッズ(60年代イギリスの、R&B好きの不良)の象徴。不滅のロッククラシック「My Genaration」収録。ピート・タウンゼントのギター、キース・ムーンのドラムが凄い。


4『Them Again』Them(1966)c0005419_1752138.jpg
ヴァン・モリソンのバンド。“ヨーロッパの黒人”とも言われるアイリッシュのロック・サウンドの結晶。50曲入っているコンピレーション盤『The Story Of Them Featuring Van Morrison』がおすすめ。


5『The Beatles [White Album] 』The Beatles(1968)c0005419_1762361.jpg
曲数が一番多いということで。


6『Ziggy Stardust』David Bowie(1972)c0005419_1771697.jpg
いいメロディの名曲が詰まった大ポップ・ロック・アルバム。グラマラスなカッコよさ。プラスティックソウル『Young American』、ヨーロッピアンデカダンス『Low』『Heroes』、ポップ『Let's Dance』など、80年代初期までどれもいい。


7『Roxy Music』Roxy Music(1972)c0005419_17303.jpg
いかがわしい、デカダンなロンドンの香り漂う。ブライアン・イーノ在籍時の2作がいい。だが、以降も実はすごくいい。後期の『 Fresh Blood』『Avalon』はまたクールな趣きですごくいい。


8『Exile on Main St.』The Rolling Stones(1972)c0005419_16593359.jpg
『Black & Blue』までどれも名盤だが、なんだかんだいってこれが一番。ダウン・トゥ・アースな気分の時、ストーンズはビートルズを凌駕する。


9『Physical Graffiti』Led Zeppelin(1975)c0005419_1765251.jpg
ギターリフ・ロックバンド、ゼッペリン中もっともファンキーな傑作。幼稚なリフだがキャッチーで凄くいい。


10『This Yeas Model』Elvis Costello(1978)c0005419_16585254.jpg
2nd。ひねりの効いたメロディアスなポップ・ロックが全編に渡って展開。声とメロディが凄い。ギターの質感もいい。ベスト盤『Girls! Girls! Girls! 』がおすすめ。


11『Argy Bargy』Squeeze(1980)c0005419_1732930.jpg
ブリティッシュ・ポップ特有の、どこかひっかるところのあるメロディーラインがいい。どのアルバムもはずれ無し。ディフォード&ティルブルックのソングライティング・チームは、大袈裟でなくレノン&マッカートニー級。


12『The Smiths』The Smiths(1986)c0005419_174238.jpg
ジョニー・マーのギター・楽曲、モリッシーの歌詞・ボーカル、完璧。全作品すごいが、まずは『Singles』がおすすめ。


13『The Joshua Tree』U2(1987)c0005419_176337.jpg
ジ・エッジのエッジ効いたカッティング・ギターと、ボノのソウルフルなボーカル。完璧。『Boy』『October』『War』を始めどの作品もすごい。最新作もとんでもないことになっている。


14『The Stone Roses』The Stone Roses(1989))c0005419_1744218.jpg
60s的ポップなメロディ、不穏なグルーヴ。完璧。2ndも素晴らしい。必聴。


15『Pills 'n' Thrills and Bellyaches』Happy Mondays(1990)c0005419_1701831.jpg
ならず者たちのどんちゃんパーティが不穏なグルーヴで……。


16『Loveless』My Bloody Valentine(1991)c0005419_171682.jpg
ギター・ロックの金字塔。素晴らしい。すごいギター。カッコいい。


17『『Suede』 Suede(1992)c0005419_1735353.jpg
ブレット・アンダーソン(vo)&バーナード・バトラー(g)のグラマラスなコンビネーションはすごい。ポップ。


18『Definitely Maybe』OASIS(1994)c0005419_1715355.jpg
1st。2nd『(What's The STory) Morning Glory ?』(1995)も素晴らしい。以降はよろしくない。でもそれによってこの2作が色褪せるなんてことはもちろんない。


19『Bends』RADIOHEAD(1995)c0005419_1722442.jpg
ギター・ロックの金字塔。2nd。『OK Computer』(1997)も素晴らしい。『キッドA』も、そして『アムニージアック』も超いい。マニアにいくならニール・ヤングの「シナモン・ガール」を演っているブートを捜すのもいい。


20『Dig Your Own Hole』The Chemical Brothers(1997)c0005419_16572312.jpg
「Block Rockin' Beat」はデジタルなロックの名曲。痙攣する。


ちなみに、アメリカ編は30にならざるを得ない。

# by ichiro_ishikawa | 2005-01-17 17:56 | 音楽 | Comments(6)  

ポップとは

 10〜20代というのはとにかく得体の知れない不満をなかば故意に燃やし続ける季節だというのは、誰にも当てはまるとは限らないが、自分はまぎれもなくそうであった。
 それは、えてして、すべて逆にいくという極めて幼稚なレベルで始まる。
 明るく前向きに声が大きくという社会的に理想的な人物像があるとしたら、とにかく暗く後ろ向きでぼそぼそとマーマー(つぶやく)ことを良しとした。テレビをはじめとする大メディアから漏れ聞こえるすべてをシャットアウトし、社交界を蔑視し独り地下室で死んだ人とのみ交わった。音楽や映画に関しても、大国アメリカ的なるものに背を向けることから始まり、イギリスのインディー・ミュージックやヨーロッパのカルト作品に耽溺した。
 30代に突入し、てめえのそれまでの人生を人並みに俯瞰できる目を獲得したとき、それらがいかにカッコ悪いか、が分かった。
 否定も肯定も、どちらにしても同じことだった。

 大滝詠一が33歳で音楽史上類い稀なる大ポップアルバム『ロング・バケイション』を作ったというのは、興味深いことだ。いうまでもなく大滝は、20代でそれまでの歌謡ポップ界を全否定して、はっぴいえんどで活動し、不滅のロックアルバム『風街ろまん』を作った人間だ。以後も自身のレーベルを立ち上げたり、おのが表現欲求に忠実な活動をしつこく続けた。そこから『ロング・バケイション』への跳躍、その歩幅が気になるのである。
 『ロング・バケイション』は大ベストセラーになり、大滝の代名詞と化した。親しみやすいメロディーと穏やかなボーカル、これぞポップ・ミュージックの核心をズバッとついた見事な傑作である。その奥に広がる実に深遠な世界、というのは確かに存在するけれど、とりあえずどうでもいいことだ。その表面の響き、そこがなぜかくもポップでなければならなかったか。それはやはり、大衆とのコミュニケーション欲求であった。てめえが独りもんもんと地下室で実験していたことが大衆とどう交わるのか、どう響くのか、どう揺り動かすのか、大滝はこれを試した、試さざるを得なかった。
 アホは天才の言う事を理解できない。天才にはアホの言うことなどまさにアホらしく、凡人の考えなど退屈でしかない。凡人はアホを蔑視し、天才を不必要に畏怖する。そんな彼らに共通に響くあるものとは何か。
 否定も肯定もつまらない。スタイルというものがどうも信用できない。そうしたもの超えた、どんなところからも遠く離れながらどこにでもいるという状態、こうしたものに、強く惹かれた。
 大滝は自分の中のアホと天才、そして最も多くを占める凡才、それらすべてを満たしうる創造を行った。『ロング・バケイション』はその結晶である。

 ジャケットを飾り、曲を大音量で聴き、ともに歌い、奏でる。歌詞(松本隆がその多くを手掛ける)を全文書き取りし、コード進行やメロディを分析し、バックグラウンドとなったであろう、フィル・スペクターなどのアメリカンポップス、ビートルズ、ビーチ・ボーイズなどのロック、プレスリーのセクシャリティ、アメリカン・ルーツミュージックといった音楽たちをことごとく参照する。そうやって、今、この『ロング・バケイション』という普遍に身を投じている次第だ。
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             『A LONG VACATION』大滝詠一

# by ichiro_ishikawa | 2005-01-12 20:48 | 音楽 | Comments(6)  

ピーター・バラカン「アメリカン・ルーツミュージック探訪」

 1月8日、東京都写真美術館2Fカフェ・シャンブルクレールで、ピーター・バラカンの講演「アメリカン・ルーツミュージック探訪」が行われた。2回連続の第1回。今回は、「1920年代から30年代まで」ということで、その時代のアメリカ音楽のレコードを流しながら解説していくというもの。全34曲。
 その美術館で行われている写真展『明日を夢見て アメリカ社会を動かしたソーシャル・ドキュメンタリー』にちなんだ企画だ(写真展については、新世界ニューヨークというブログに詳しい)。去年から、ちょうどルーツミュージックを繙いていた矢先、しかもピーター・バラカンの著作が筆者をしてそうせしめた直接のきっかけだったということで、すぐさま駆け付けた。写真展の方は、19世紀後半から20世紀前半のアメリカの風景、特に南部とニューヨークの展示で、時代、場所的にまさにルーツミュージックが生まれ発展していった、その視覚的事実の羅列だったわけだ。メンフィス、テュペロの民家の写真があって、「ここでエルヴィス・プレスリーは黒人と精神的なファックをしていたわけか…」と、写真の前でしばらく佇み、当時に思いを馳せていた。テュペロの農村をエルヴィスと一緒に駆けずり回った。

 講演で聴くことが出来た音楽は、ブルース、フォーク、カントリー、ジャズといった様々なテイストがブレンドされていて、一口に語るのが憚られる、未分化なものが多い。音楽的には未熟だけれど(もちろん、今から見れば、ということ)、その荒削りなザックリとした質感が実に刺激的だった。また、当時はまだ電気楽器がないから、アコースティック・サウンドなのだが、ビートが強く効いていて、のちにリズム&ブルースに発展していくそのルーツであるということがよく分かった。

 アメリカン・ミュージックというのは、簡単に言えばアフロ・ビートとヨーロッパの民族音楽の融合だ。そもアメリカという国は、ヨーロッパとアフリカの幸福な出会いによって生まれた。
 音楽の歴史的な部分に強く惹かれる。それは、その時々の音楽好きたちの心の有り様がリアルに明かされるからだ。彼らは、異物との出会いによって強い内省を起こし、異物を必死に模倣し、やがて凌駕していく。音楽に限らず表現においては、この、他者に驚く、という事態が必ず起こる。歴史を繙いていくと、なぜ彼らがそうした音楽を作り出したのか、作り出したい衝動に駆られたのか、そういう気持ちを共有できる。これがスリリングだ。
 アメリカのヨーロッパ移民とアフリカ移民がお互い触発し合い、ブルース、ジャズ、ゴスペル、カントリー、フォークを生み、リズム&ブルースへと発展させていく。そんなR&Bに驚いたビートルズらイギリス人。逆にビートルズに驚いたボブ・ディラン。バッファロースプリングフィールドが「分かった」日本人は、はっぴいえんどを作った。こうした長い長い音楽の歴史が、確実に、今につながっている。
 ジャンル別けという行為は面白い。それは、マーケティングの手段としては格別騒ぐことはないのだけれど、前述したような、ミュージシャンが味わった他者への驚きを感じてみる、という意味ではとても刺激的なのである。いいものはいい、音楽に理屈はいらない。確かにそうなのだけれど、その芳醇な音楽を深く味わってくと、なぜいいのかを考えて自分を納得させずにはいられなくなるし、他人に伝えるためには理屈、すなわち言葉によって、その「いい、というそれ」を整えていくという行為がやはり必要なのだ。

 要は、音楽を抱きしめたいのである。ルーツを繙き、歴史のつなぎ目に思いを馳せることで、それは少しは達成できる。
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→The Definitive Charley Patton
(録音1929.06.14 - 1934.02.01)
バラカンが紹介した曲にThe Masked Marvel名義の「Mississippi Boweavil Blues」があったが、The Masked Marvelとは、このチャーリー・パットンのこと。早速購入、聴いた。すごくいい。これを聴いてベック(・ハンセン)の凄さもまたわかった次第。

# by ichiro_ishikawa | 2005-01-11 21:33 | 音楽 | Comments(2)