メモ「人間の器量」


 二枚腰、三枚腰の見方、複眼で見なければ解らないのが、人間という生き物の厄介なところです。

 急ぐということは、それだけ考えないということであり、見ないということでもある。
 急いで先へ先へと進んでゆく人たちが見逃してしまうものを見つける。見て考える。

 ゆっくり進むというのは、一人で進むという事です。孤立することです。孤立した人間ほど、世間との付き合いを考えなければならない。冷静に自分を認識し、世間との距離を精確に見極めなければならないのです。

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福田和也「人間の器量」(新潮新書)より

by ichiro_ishikawa | 2010-01-01 20:48 | 文学 | Comments(0)  

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