アスリートと俺


商用で宮崎へ。野球、サッカーの各チームのキャンプ入りで、ホテル等には屈強な輩がうようよ居て、圧倒される。一般人より身体がみなふた回りぐらい大きく、所作もなんだかパワフルで、生命力の塊のやう。世界が荒廃したら生き残るのは間違いなく彼奴等だ。運動神経がよく、少年時からスポーツ漬けで、大人になつてまで日々身体を鍛え続け、日本の「運動神経がよい軍団」のトップとして活動してゐる、といふのはおそるべきことだ。

実は中学までは俺もその一員だつたが、高校で脱落した。田舎の中学校でトップでも、高校に進むと平均なみとなり、さらに上がると中、下と落ちこぼれていつたため、スパツと足を洗つたのだつた。

野球をやつてもサッカーをやつても、常に4番でピッチャー、センターフォワードを自然と任される男であつたのが、高校ぐらいから、ジャズ喫茶でマリファナを吸いながら外国の詩集や画集をめくつてゐる不健康な青年に変はつていつた。いかにも運動とは縁のない、暗い書生風情の男、に成り下がつてしまひ、今はただの哀しげで貧相な初老の男であり、曲がった腰を杖で支えながら、キャンプ入りしたトップアスリートたちを眩しく眺めてゐるばかりである。

数々の挫折を経てきたが、野球選手になれないと悟つたときが、思へば人生最初にして最も大きな挫折であり、以来、生きる術を見失つたまま今に至る。



by ichiro_ishikawa | 2018-02-08 10:24 | 日々の泡 | Comments(0)  

名前
URL
画像認証
削除用パスワード

<< 激渋 明菜ナンバー「Solit... 中森明菜の中期シングルズ >>