2006年、ロンドン〜パリの旅・後書き

 喜怒哀楽の喜と楽というのは、言葉に整える価値があまりない。
 93年から書き続けている日記をひもとくと、書いてあるのはすべて喜怒哀楽の怒と哀。特に哀。何も書いていない時期というのが所々にあるが、その時期は、まあ、楽しかったのだろう。あるいは忙しかったのだろう。そんなときは、言葉に帰らないものだ。文を書くやつというのは、えてして暗い。
 そういう意味では、今回の旅行で書くことはないのであった。「楽しかった思い出」なんてうっとおしいもの、きょうび、犬も食わない。
 とはいえ、「くわっ!」という感動は確かに多々あって、それらはぜひとも言葉に整えたいと思うのだけれど、ロンドン、パリの凄さなんていうものは、古今東西の文豪が書き尽くしているので、いまさら俺がしゃしゃり出る必要を感じない。願わくば永井荷風の「ふらんす物語」を、布袋寅泰の「よい夢を、おやすみ」を読まれんことを。
 それにしても日本はダメだな。全然ダメだ。「つまんねえ歌が流行っているっていうことは、俺たちのレベルが低いってことだしよ?」と、誰かが言っていたのを否が応でも思い出さずにはいられない。そろそろ、どうにかしないとな。

by ichiro_ishikawa | 2006-05-23 23:19 | 紀行 | Comments(0)  

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