2006年、ロンドン〜パリ雑感

 ロンドンはブリティッシュ・イングリッシュと曇天。そうしたものに代表される質感が、申し分なく、カッコいい。歩いているだけで「マイ・ジェネレーション」が、「ユー・リアリー・ガット・ミー」が流れてきそうな質感だ。これはもうしょうがない。

 パリはどうか。
 偏西風と暖流の北大西洋海流の影響で夏涼しく冬暖かいカラッとした西岸海洋性気候の心地良さがまずあった。
 そして宿泊地、つまり拠点としたカルチェ・ラタンの居心地の良さはどうだ。ソルボンヌという世界屈指の才能の集まる大学がある学生街は実に庶民的で、マルシェ(市場)があり、ジャンルの多岐に渡る本屋や映画館が多くあり、手ごろなブラッセリーやビストロ、カフェエが集まる。日常的な生活をしていく上で必要なすべてがそこにはあった。美術館めぐりや町探訪など、車やメトロ、人込みの喧噪に疲れ、ねぐらに戻るとそこにはゆったりと落ち着いた癒しの空間があるという。
 バゲットをナイフでバスッバスッと刻み、マーガリンを塗って生ハムやチーズを挟み、ワインと一緒に胃に流し込むというランチ。米と味噌汁と玉子と納豆と沢庵に相当するメニューだ。和のそれもおそろしく美味いけれど、西洋のそれも格別なものだった。日ざしが暖かく日照時間も長い春夏は大抵屋外にテーブルを並べて食す。秋冬ならさしずめペチカの前でといったところだろう。そうした日常がとても愛おしく感じる。こうした営みが何千年もここで行われてきた。そう考えると喜怒哀楽とは別の感情、ノスタルジアともいうべき気持ちで心が満たされ目頭が熱くなるのであった。
  散歩がてら大学界隈をぶらつきセーヌまで歩くとノートルダム大聖堂が聳える。夕暮れ時、落ちゆく日ざしを背に受けて手前の広場で紫煙を燻らせながら、“我らの母”を眺めるというのは、まさに至福のひとときだった。
 目が合えばボンジュー、ボンソワア、サヴァ、メルシー、オヴァアといった自然と恒常化した挨拶の慣習も良い。英語ならハロー、ハワイユー?といったところで、西洋は挨拶がいい。日本ならさしずめ「よぉ、どう?」だが、慣習として根付いているとはいえないようだ。
 いつ大地震が起きてもおかしくない日本を早く脱したい。怖くておちおちトイレにも入ってられないなんて悲惨じゃないか。

by ichiro_ishikawa | 2006-05-22 11:30 | 紀行 | Comments(0)  

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