La Tristesse Durera(Scream To A Sigh)
それは「週刊新潮」最新号にて、伝えられた。
「親子ジグザグ」でババアが死んでしまったとき、「en-taxi」でオカンの死に立ち会ってしまったときと、その哀しみの深度は同じであった。
だが今回の知らせは、あまりにも唐突だった。ババアやオカンのときのように、死ぬなと祈る事さえ叶わなかった。コンビニなんかで知らされるなんて何か申し訳なく、普段は立ち読みで済ますが、この時ばかりは購入し、家に持ち帰り、書斎に籠って、ゼロから読み返した。感傷的なことを書いて恐縮だが、泣いた。
「父」のことは、彼女の文章にしばしば登場していたから、よく知っていた。まあ、文を書かない小林秀雄、みたいな人だと思っていた。「ご苦労様でした」というそのタイトルに、クワッとして、頭がガンガン熱くなった。
常に「死は、ない」という池田晶子、父の死に何を思う。
文章は、いつもどおり切れ味鋭く、覚悟の違いを見せつけている。哀しいなんて言わない。
ただ、「辛いなあ」という。まるで「寒いなあ」のトーンで。だが、この一言に、全てが見えた。彼女は深く哀しんでいる。その哀しみは俺なんぞに分かりようもなく、深く、暗い。
何で人生は、かくも辛いのか。俺は池田さんをその場で抱きしめてやりたかったから、今これを書いている。
by ichiro_ishikawa | 2006-12-07 01:37 | 文学 | Comments(0)