「ぼくが愛するロック名盤240」
てめえの経験(実体験から瑞々しい夢想まで含む)から直に感じたところを、なんら飾ることなくストレートに語り切っているというやり口が逆に批評的で、優れた読み物として成立させている。デヴィッド・ボウイやレッド・ゼペリンを挙げていないという断りや、ニール・ヤングが生理的に嫌いという告白も、てめえのフェイバリットを批判されているにも拘わらず、文章を通してバーター・ピラカンという人間に信頼がおけるから面白く読める。個人の内面の情熱から始まっているが、その情熱のほとばしりが半端でないので、単なる個人的カタログではなくなっている。ロックを愛したバーター・ピラカンという人間の一報告書でありながら、優れた作品になっている所以。
by ichiro_ishikawa | 2004-11-17 23:22 | 文学 | Comments(0)