BOX-SETベスト5
ボックス・セットは、究極の大人の買い物だ。あれは、すげえ。3枚から多いものだと10枚がワンセットになっているというボックス。子供は買えまい。
だがここでいう「大人」には、経済的な意味合いは無い。ボックスセットはワンテーマだ。ワンテーマを徹底的に掘り下げる、という行為はやはり大人だけに許されるものなのだ。読書もそうだろう。子供は好奇心の固まりで、とにかく元気だからあっちこっち飛び回って乱読、乱聴に走る。いわば無我夢中で模索する季節だ。だが元気のねえ大人は、もういろいろなことを諦めているし、自分の個性ってやつと本質的な意味で本格的に戦っているから、ひとつのことをじっくりゆっくり嗜むことをこそ、より欲する。「ちょっと80年代の歌謡曲にうもれてえ」、「ジャズをいいスピーカーで一日中あびていてえ」、「狂ったギターにやられてえ」「ああ、黒汁にまみれてえ」。
ボックス・セットには、ピンだとそこそこだがまとまるとすげえ、という例もあるが、今回は、ピンでも相当すげえのに、まとまるといよいよとんでもねえ、そんなボックス・セット、ベスト5を綴らん。
第13位
竹中直人の恋のバカンス 初回限定版DVD-BOX
竹中直人による、ビシバシステム、きたろう、温水洋一らとのコント集。ボン梶本、べっちん兄弟、ナン男らが登場。笑いのレベルで言えば「東京イエローページ」の方が格段に上でそちらのBOX化を望むが、これもまだまだ秀逸だ。
第12位
We're Gonna Rock: We're Gonna Roll
40〜50年代の、これからロックが登場せんとする息吹が感じられる秀逸なボックス。
第11位
テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX I、II
アンゲロプロスは、タルコフスキーと並ぶ、ボックスでじっくり全部観たいシネアストだ。
第10位
The Doo Wop Box
ロック前夜、アメリカのストリートを賑わしたブラック・ドゥーワップ・グループの秀逸なソングを101曲も集めた。
第9位
The Specialty Story
終戦直後のLAで、ジャンプ・ブルース、初期R&B、ゴスペル、初期ロックンロールの名曲を多数輩出したスペシャルティ・レーベルのボックス。
第8位
Hitsville USA: The Motown Singles Collection 1959-1971
南部のスタックスに比べるとよりスウィートなR&B/ソウルを手掛けたモータウンのヒットソング集。
第7位
Doctors, Professors, Kings and Queens: The Big Ol' Box of New Orleans
すげえブラック・ミュージックの宝庫、ニューオーリーンズのすげえ曲たちをグワッと集めた。
第6位
Back to Mono (1958-1969)
Brill Building Sound
ポップ職人、フィル・スペクターの大事な仕事のすべてが詰まったボックスと、50末~60年のアメリカ・メインストリームのポップの集大成。ポップ・メロディーがとんでもねえ。
第5位
Mr.BOO ! DVD-BOX (5,000セット限定生産)
サモ・ハン・キン・ポーと並ぶ香港コメディの最高峰、マイケル、サミュエル、リッキーのホイ3兄弟による名作セット。広川太一郎の吹き替えが素晴らしい。ビートルズ研究家・サミュエル・ホイの音楽も秀逸。
第4位
あしたのジョー、あしたのジョー2COMPLETE DVD-BOX
俺の根っこにはどうしたって矢吹丈がある。幼稚園で観たジョーで人生が決まった、と言ってしまっても、もうよい。申し訳ないが、ジョーは俺だ。
第3位
Atlantic Rhythm & Blues 1947-1974
The Complete Stax-Volt Singles 1959-1968
アトランティック、スタックスこそブラック・ミュージックの頂点やもしれぬ。この2ボックス(全17枚)をずーっと聴いていると、血が黒くなる。
第2位
Anthology Of American Folk Music (Edited By Harry Smith)
現存するポップ・ミュージックのおそらく一番古い音源集。今の音楽の根っこはすべてここに。
第1位
小林秀雄全集
本はこれと、あとは池田晶子全著作さえあれば、後は焼いちまってもいい。というぐらいすげえボックスセット。
by ichiro_ishikawa | 2007-09-26 01:49 | 音楽 | Comments(0)